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損益分岐点分析から見た利益向上策 その2

損益分岐点分析から見た利益向上策 その2

≪固定費が高く、損益分岐点売上高の高い製品bの場合≫
次は製品bです。

 

製品bは固定費の割合が高く、損益分岐点売上高が高くなっています。

 

このことから製品bは「生産の自動化が進んでおり、変動費の割合が低い分生産量が増えれば増えるほど利益は大きくなる製品」である可能性が高いと考えることができます。

 

そして損益分岐点売上高が比較的高いため、少量生産では利益が出しにくいが大量生産によって利益率を大きく高められる製品でもあります。

 

よってこの場合の利益向上策は、「できるかぎりさらなる自動化を進めて変動費を削減し、かつ大口顧客などにアプローチして売上を拡大し、規模の経済性を高める」こととなります。

 

なお、規模の経済性とは例えば通信などのインフラ業界などを考えるとわかりやすいですが、膨大な設備投資を行うことで他社の参入を難しくし、かつ固定費の割合を高めることで「売れば売るほど利益が大きくなる」ことを目指す戦略です。

 

 

【リスクにも考慮しよう】
損益分岐点分析は、上記に挙げた利益向上策だけではなくそのリスクも炙り出すことができます。

 

まず製品aについてですが、製品aはその品質を重視しているため、例えば技術力の低下や信用の棄損などが起きると顧客は離れていってしまう可能性があります。

 

また、規模の大きな競合他社が同様の製品を発売すれば、価格競争に巻き込まれる可能性も出てきます。

 

よってこのようなことを常に想定し、高いレベルの品質と顧客に対するまめなケアを常に継続しなければならないと言えます。

 

一方で製品bは固定費が高く、損益分岐点売上高も高くなっています。

 

この場合、売上高の減少による打撃は製品aに比べると大きくなります。

 

電車などを考えるとわかりやすいですが、鉄道は満員でも乗客がいなくても、同じように電車は運行され、アナウンスがされ、窓口には担当者が配置されています。

 

また線路や電車のメンテナンスなども常に必要です。

 

これらはほぼすべて固定費と考えることができます。

 

すると満員電車の時は大きく利益が出ることとなりますが、乗客がいない場合はその膨大な固定費だけがかかり、損失も大きくなってしまうということになります。

 

製品bはこのような状態に近いということです。

 

このことは、固定費が大きい製品は、売上が伸びれば利益が加速度的に大きくなる半面、売上が伸びなければその固定費が足元を救い、経営が一気に危うくなるということを意味しています。

 

先ほど例に挙げた電車などは地域によって棲み分けができているため、比較的顧客の奪い合いということは起こりにくくなっています。

 

しかし、例えば携帯電話各社にはそのような棲み分けはありません。

 

そのため、頻繁に新機種を発売したりキャンペーンを行ったりして、顧客を囲い込む戦略を行っています。

 

固定費の大きさが、激しい顧客の奪い合いに繋がっているのです。

 

つまり固定費が大きい製品は、「ハイリスクハイリターン」であるということです。

 

損益分岐点を分析することによって、このようなリスクも把握できます。

 

 

【製品によって利益向上策を使い分けよう】
費用を固定費と変動費に分類し、損益分岐点分析を行うことにより、製品ごとの戦略を具体的に考えることが可能となります。

 

S社の場合、これらのことに考慮せずに何となくその販促活動を考え、例えば製品aと製品bで利益向上策を真逆にしてしまうと、売上とその利益はうまく伸びていかず、経営に致命的な打撃を与えることにもなりかねません。

 

特に小規模な会社で、製品のラインナップが乏しい会社の場合はその打撃は大きいものになります。

 

最終的な意思決定には、これらのデータ分析にプラスして経営者レベルの判断が必要になります。

 

しかしそれはあくまでも根拠が必要であると認識し、効率的で合理的な意思決定を目指しましょう。

 

 

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