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損益分岐点分析の活用法 その3

損益分岐点分析の活用法 その3

【レストラン経営を行っているM社が抱えている問題:顧客に人気のある主力メニューが3種類あるが、3種類を万遍なく調理していると作業効率が低下するため、利益率の高い2つに絞り作業を効率化したい】

 

レストラン経営を行っているM社は、現在ビーフカレー、ハンバーグ、エビフライをその主力メニューとしています。

 

いずれも人気はあるのですが、M社はほぼ家族経営であるために人手が足りず、3種類を調理していると注文を受けてから出すまでに時間がかかり、顧客の回転が悪くなるなどの弊害が出ています。

 

よって、利益が出ているビーフカレーとハンバーグに絞り、赤字であるエビフライはメニューから外したいと思っています。

 

メニューをビーフカレーとハンバーグに絞ることはM社にとって最適な選択と言えるでしょうか?

 

 

≪M社が抱える問題の解決方法≫
まず、M社が提供している3種類のメニューの売上高と費用、利益を確認しましょう。

損益分岐点分析の活用法

これを見ると確かに営業利益はビーフカレーとハンバーグが黒字なのに対して、エビフライは赤字です。

 

エビフライをメニューからはずしてビーフカレーとハンバーグに絞るのが妥当のようにも思えます。

 

しかしここでただエビフライをはずしてしまうと、それは「何となく経営」です。

 

まずは変動費率と限界利益率を見てみましょう。

 

・ビーフカレー
変動費率 = 9000÷15000 = 0.6
限界利益率 = 1-0.6 = 0.4(40%)

 

・ハンバーグ
変動費率 = 5500÷10000 = 0.55
限界利益率 = 1-0.55 = 0.45(45%)

 

・エビフライ
変動費率 = 2500÷5000 = 0.5
限界利益率 = 1-0.5 = 0.5(50%)

 

営業利益を見ると、「ビーフカレー>ハンバーグ>エビフライ」となっていましたが、限界利益率は、「ビーフカレー<ハンバーグ<エビフライ」となっています。

 

ここで限界利益率の意味をもう一度復習してみましょう。

 

限界利益率とは、売上が1単位上がったときに、利益がどのくらい上がるかという指標です。

 

そうすると、売上を伸ばすほどに利益があがる順番が、「ビーフカレー<ハンバーグ<エビフライ」であるということになります。

 

よって、利益率を考えた場合に最も力を入れるべきメニューの順番が1.エビフライ、2.ハンバーグ、3.ビーフカレーということです。

 

管理会計の面から見れば、実はメニューからはずすべきはビーフカレーで、最も力を入れるべきメニューはエビフライなのです。

 

このように経営資源の有効活用と複数の商品の中で力を入れるべき製品を決めていく手法は「プロダクトミックス(販売的にはセールスミックス)」などと呼ばれ、複数の商品を持つ会社でよく使われる手法です。

 

ただしこれには以下のような注意点があります。

 

1.ビーフカレーを好きで来てくれている顧客離れを防ぐ対策が必要。

 

2.エビフライの売上を伸ばすための対策が必要。

 

現在最も売上があるのはビーフカレーです。

 

よって、ビーフカレーをやめる→顧客が離れていくという状況だけは避けなければいけません。

 

そしてエビフライは現時点ではまだ売上が少ないため、顧客が美味しいと思っていない可能性があります。

 

エビフライが顧客の好みに合わせた味にしてさらに宣伝を行うなど、顧客が「好んで注文する状態」を作らなければならないと言えます。

 

このように、管理会計による意思決定は、ただその採算性や利益率だけを考えるのではなく、商品の品質やそのマーケティング方法なども考えたうえで行わなければなりません。

 

実際はビーフカレーが一番売れている以上、現段階でビーフカレーをメニューから外すという選択肢はほとんど考えられません。

 

それよりもエビフライの売り上げをどのように今より上げるのかを考える方が優先でしょう。

 

意思決定会計では、様々な活動との兼ね合いで行われなければならないのです。

 

 

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