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損益分岐点分析から見た利益向上策 その1

損益分岐点分析から見た利益向上策 その1

【損益分岐点分析から見えてくる利益向上策】
損益分岐点分析を行うと、様々な利益向上策を検討することが可能となります。

 

ここでは自動車部品販売会社S社の製品aと製品bについての損益分岐点分析の結果から、これらの製品の利益向上策をどのように考えたらよいか検討していきます。

 

製品aと製品bの売上高と費用、損益分岐点売上高は以下の通りです。
(ここでは1個単位の販売価格を売上高と考えています。)

 

≪製品a≫
売上高           1000
費用(変動費)       800
費用(固定費)       100
利益             100
損益分岐点売上高    500

 

≪製品b≫
売上高           1000
費用(変動費)       600
費用(固定費)       300
利益             100
損益分岐点売上高    750

 

 

【利益を向上させる3つの方法】
まず、最終的に利益を向上させるための方策を考えてみましょう。

 

利益を向上させるには、以下の3つの方法があります。

 

1.売上高を伸ばす
やはりまずは売上高を伸ばすことです。

 

売上高を伸ばすには、「客単価を上げる」、「顧客数を増やす」のいずれかが必要です。

 

客単価を上げるためには、既存顧客がより製品を多く買ってくれるようにサービスを手厚くする、あるいは顧客が望む新製品を開発するなどの方法があります。

 

また、顧客数を増やすには広告やインストアでの販売促進活動などがあります。

 

2.変動費用を抑える
変動費を抑えるための方法としては、原材料費の削減などがあります。

 

原材料費を削減するには、仕入れ先と交渉を行って一括あるいは一定期間の仕入れを約束して仕入単価を下げる、あるいは仕入先を複数とすることで競争させるなどの方法があります。

 

3.固定費用を抑える
固定費用については、その削減はなかなか容易ではありません。

 

設備や人員などの見直しは常に必要と言えますが、早急な判断はその後の製品の品質維持や生産体制に大きな影響を与える可能性があるため、長期的な視点に立ち、明らかに削減が可能と思われる費用を削減するという慎重さが必要です。

 

 

そしてこれらの3つの方法は決して独立しているわけではなく、どれもすぐにできるというものではありません。

 

例えば一般的には売上を伸ばすには費用をかけざるを得ず、費用を抑えると売上を伸ばすのが難しくなります。

 

よって、ただ「ノルマとして目標売上高を設定する」、「経費削減を呪文のように唱える」だけでは収益性の上昇につながるとは限りません。

 

むしろ売上高と費用構造のバランスが崩れ、逆効果となる可能性も生まれてきます。

 

現在の売上と費用の構造と損益分岐点売上高から、最終的に利益を伸ばすためにどうしたらよいかということを具体的に考える必要があるということになります。

 

 

【製品に合った利益向上策とは?】
では製品aと製品bを比較し、それぞれにあった利益向上策を考えてみましょう。

 

製品aと製品bには、売上と利益は同じでも、以下のような違いがみられます。

 

・変動費は製品aのほうが高い。
・固定費は製品bのほうが高い。
・損益分岐点売上高は製品aのほうが低い。

 

 

≪変動費が高く、損益分岐点売上高の低い製品aの場合≫
まず変動費が高く、損益分岐点売上高の低い製品aを考えてみましょう。

 

変動費が高いということは、原材料や生産に伴う労務費や経費が高いということになります。

 

このことから製品aは、「比較的品質重視で、機械では量産が難しい製品」である可能性が高いということになります。

 

また、損益分岐点売上高は低く、価格競争に対するある程度の余裕もあります。

 

しかし、売上が高まったとしても変動費の割合も高いために大きな利益の向上にはつながりにくい製品です。

 

この場合の利益向上策は、他社との差別化をアピールし、自社製品ならではの強みを生かして「品質重視の顧客との関係強化」、あるいは「他社との差別化を訴えた新規顧客の獲得を行う」ということになります。

 

そしてそれには、あくまでもその「品質を落とさない」ことや「顧客の信頼を失わない」ことが必要です。

 

よって変動費の可能な限りの削減努力は必要ですが、過度な削減は品質低下につながる可能性があります。

 

また損益分岐点売上高が低いことを考えると、無理に費用を抑えなくても十分な利益を得られます。

 

量産体制を取って売上を拡大させるよりも、この製品なら大丈夫と顧客に信頼してもらうことを重視すべきと言えます。

 

 

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