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財務諸表から業界の特徴を分析 その1

財務諸表から業界の特徴を分析 その1

【財務諸表から業界の特徴を分析】
会社の健康状態を見るカルテとも言える財務諸表は、当然のことながら会社によって異なります。

 

業績の上がっている会社と業績が落ち込んでいる会社とでは、B/S、P/L、あるいはC/Sもまるで異なるものとなります。

 

そして財務諸表は、その「業種」によってもその特徴は大きく異なります。

 

よって、同じ業界で財務諸表を分析する場合は特に問題がありませんが、異なる業種の会社を比較するときにそのような「特徴」を知っておかなければ、誤った判断をしてしまう可能性があるということになります。

 

よってここでは、業種の違いから、その業界の「財務諸表の特徴」について考えてみましょう。

 

なお、業種とは産業の種類のことを指し、業界とは同じ業種の集まりのことを言います。

 

そして異なる業種では財務諸表は異なり、同じ業界内では似たものになる傾向が強くなります。

 

今回は、日本の代表的な業種である「サービス業」、「不動産業(デベロッパー)」、「小売業」、「情報通信(IT)業」、「製造業」について、その業界の財務諸表の特徴を考えてみたいと思います。

 

 

【サービス業の特徴】
一口にサービス業と言っても世の中には様々なサービスが存在します。

 

飲食店なども飲食を提供するというサービスですが、ここでは主に「娯楽」を提供するサービス業について考えてみます。

 

例えば映画館やテーマパーク、有料の公園などです。

 

このようなサービス業は、まず娯楽を提供するための「場所」や「設備」を必要とします。

 

映画館であれば一定のスクリーン数や座席、飲み物などの売店などが必要となり、テーマパークや公園であればある程度の広さの土地や遊ぶための施設、レストランやグッズの販売店などが必要になります。

 

このため、固定資産が多くなり、結果的に総資産額も膨らむことに特徴があります。

 

そしてその資産を購入・維持するするための資金を自己資本だけで賄うことは難しく、借入という形を取ることが多くなります。

 

よって負債額が大きくなり、自己資本比率が低い場合が多くなります。

 

しかし、このようなサービス業は基本的に顧客は個人(Consumer)であり、その支払いは現金払いが多いことから資金繰りに窮するということは比較的少なく、自己資本比率の悪化が必ずしも財務状態の悪化につながるとは言い切れません。

 

 

【不動産業(デベロッパー)の特徴】
不動産業は、一般には不動産の売買や賃貸を仲介する会社を指す場合が多いですが、ここでは自ら不動産開発を行う会社(デベロッパー)について考えてみます。

 

デベロッパーが不動産開発を行う場合、特に大規模マンションや商業施設などの場合はその開発期間が長期に渡ることとなります。

 

このため、開発途中、あるいは販売前の不動産は在庫扱いとなって財務諸表上の棚卸資産が大きくなります。

 

そして棚卸資産は流動資産となりますが、デベロッパーの棚卸資産はその特性から販売までの期間が非常に長期にわたることとなり、結果的に棚卸資産となっている間はそれにかかるコストを長期資金で賄う必要が出てきます。

 

よって、デベロッパーは流動資産と長期資金(長期借入金や自己資本)が多いことが特徴となります。

 

また、販売については購入者からすると住宅ローンなどで購入することが一般的です。

 

しかし住宅ローンはあくまでも金融機関と購入者との契約であり、デベロッパーには販売された段階で購入者と住宅ローン契約を結んだ金融機関から現金が入金されます。

 

よって、販売が良好な場合は現金は回収しやすいですが、不動産は販売価格が非常に高額となるため、販売できずに空き部屋や空き店舗が多く発生してしまえば、多額の棚卸資産が消化できないこととなり、資金繰りに困窮する可能性が高くなります。

 

 

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