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比率分析の限界と注意点

比率分析の限界と注意点

【比率分析の限界と注意点】
ここまでは収益性・効率性・安全性・成長性といった分析をその「比率」で見てきました。

 

比率分析は先にも触れたように、会社の「規模」や収益や費用の「額」に左右されないという客観性に優れた分析方法です。

 

しかし、この分析方法にも限界があり、いくつかの注意点があります。

 

特に、異なる会社を比較する際には注意が必要です。

 

ここでは注意点を4つあげておこうと思います。
具体的には以下の4点です。

 

・会計方針の違い
・簿価と時価の違い
・目に見えない資産の違い
・業界の違い

比率分析の限界と注意点

これらの注意点を1つずつ確認し、冷静な分析を心がけましょう。

 

 

・「会計方針」の違い
まずそれぞれの会社の「会計方針」の違いを挙げることができます。

 

会計には「継続性の原則」があるため、原則的には会社は毎期同じ会計方針を採用しています。

 

しかし、会社同士を比較する場合は、それぞれの会社がどのような方針で行っているかを確認する必要があります。

 

減価償却費の計上方法や引当金の判断基準などでどのような方法を採用しているか確認し、異なる場合はその違いを加味して行わなければならないということです。

 

 

・「簿価と時価」の違い
簿価と時価の違いも見逃せません。

 

貸借対照表上の固定資産は原則取得価格で表記されています。

 

このため、総資産額は実際とは大きく差がある場合があります。

 

固定資産は価格の高いものが多いため、特に土地などの取得価格と時価の差は金額的に大きくなっている可能性があるのです。

 

そしてこのような状況は、フェーズが違う会社を比較する場合に起こりやすいと言えます。

 

例えばこれまで見てきたS社とY社の場合、S社は歴史があって成熟していると考えられ、Y社は成長期にあると考えられます。

 

もしそうだとすると、S社の固定資産は取得したときの価格から考えると時価が膨らんでいる可能性があり、実際の資産価値は簿価以上になっているかもしれないということになります。

 

そしてY社はまだ取得して間もない資産が多いとすると、そのような差は少ない可能性が高くなります。

 

この場合は、Y社の簿価は実際の価値に近く、S社の簿価は実際とは異なっている可能性が高いということになります。

 

 

・「目に見えない資産」の違い
目に見えない資産とは、例えば「ブランド」やその会社が持つ「技術力」などです。

 

現在S社は売上や利益の鈍化が目立ち、苦境に立たされている状態であると分析できました。

 

しかし例えば、S社には信頼性が高く技術力で他社に負けないブランドがあるとしたら、そのブランドと技術力を使って新事業展開を行えば業績が大きく回復する可能性もあります。

 

また、Y社が好調な業績を背景に人材採用に力を入れ、技術力の高い従業員の採用を進めていれば、その人材力は今後のY社の発展に大きく寄与する可能性があります。

 

このように、数値化できない「会社力」についても、比率分析では測れないのです。

 

 

・「業界」の違い
最後は業界の違いです。

 

今回比較したS社とY社は同業他社であるため、その収益構造や費用構造は似たような状況であるはずです。

 

よって、比較的正確な判断を行うことが可能です。

 

しかし、比較する会社の業界が異なる場合は注意が必要です。

 

業界は資本集約型と呼ばれる固定資産が多い業界や、労働集約型と呼ばれる人件費が大きい業界など、様々です。

 

例え規模が同じだとしても、業界が違えば客観的な比率による比較は難しいものになります。

 

例えば昔ながらの卸売業などは、商品を仕入れてすぐに店舗などに卸すため、その利益率は非常に低いことが普通です。

 

しかし大量の棚卸資産を回転させているために、低い利益率でも問題なく経営を行うことが可能です。

 

このような業界の特性を考えたうえで比較を行わなければなりません。

 

現在は、業界の壁は「あってないもの」になりつつあります。

 

しかし、業界によってその資産構造や利益構造は異なる場合が多いということは理解しておきましょう。

 

以上が比率分析における注意点です。

 

これらはいずれもただ数値を追うだけでは気がつかない「落とし穴」であると言えます。

 

数値だけに目を奪われて落とし穴に落ちてしまわないよう、心がけましょう。


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