「事業が求められている背景」の作成
今回は「事業が求められている背景」の作成について説明していきます。
この文章を読むことで、「事業計画書における外部環境の把握と分析」について学ぶことができます。
外部環境を明確にするために
事業計画書の中で「外部環境の把握・分析」は重要です。
企業が周りの環境に影響を受けず、単体で成り立っているのであれば、外部環境のことを無視してもよいでしょう。
しかし、外部との関係なしにビジネスは成り立たないのです。
よって、外部の環境を把握して分析し、「自社の事業が求められている背景」を事業計画書の中でも書いていくことになります。
では、外部環境とはどのようなものでしょうか?
ここでは主に以下の4つを見ていきましょう。
1.経済の状況
2.社会の情勢
3.政治の情勢
4.技術革新の状況
それぞれ具体的に見ていきましょう。
1.経済の状況
事業に直接関わってくる外部環境が「経済」です。
地域の経済状況、日本の経済状況、世界の経済状況と、それぞれ関わってくる度合は違いますが、最も直接的に影響を受けやすい外部環境と言えるでしょう。
株価や為替の動向などの短期的なものや、GDPや消費者物価指数などの動向も含まれます。
このような、経済の状況を把握・分析をします。
2.社会の情勢
社会情勢も影響を受ける外部環境です。
社会情勢ですので、人々の思考や嗜好がどのように変化しているかなどを把握することになります。
少子高齢化などによる社会構造の変化などもここで調査・分析していきます。
よって、調査機関などが調査したデータを活用したり、国などが発行している白書を活用したりすることで社会情勢を把握することができます。
3.政治の情勢
政治(国)の方針が事業に影響を及ぼすことも多くあります。
業種によっては規制を強めたり、規制緩和が起きたりすることによって事業の将来に大きな影響を与えます。
また、直接影響を受けない場合でも、原油などのエネルギー資源が政治的な理由で高騰・下落すれば、間接的に影響を受けるような場合もあります。
そのため、政治(国)の情勢も把握しておく必要があります。
4.技術革新
技術革新の状況からも影響を受けます。
今まで最新の技術を活用して事業をしていたとしても、それが技術革新によって時代遅れになる可能性もあるからです。
特に情報技術(IT)は、技術革新のスピードが速いので、情報把握もリアルタイムに行う必要があります。
以上の4つの外部環境を把握・分析し、事業計画書に盛り込んでいきます。
その際、信ぴょう性のあるデータや最新のデータを使う必要があります。
なぜなら、そうすることにより「事業が求められている背景」の説明の信頼度があがるからです。
<事例>
J さんはIT企業の経営者です。今まで事業計画書は作成したことはありません。
今回、銀行から借入をする必要が出てきており、事業を説明するにあたり、事業計画書を作成し提出することになりました。
その中で「ITが社会から求められていること」は、Jさん自身も銀行もなんとなく理解していますが、その具体的な中身をしっかりと調査をしたことはありませんでした。
そこで、それを事業計画書の中に盛り込むために、外部環境の調査を行ったのです。
すると、「日本経済はここ数年停滞している。しかし、その中でITへの投資だけは年々増加している」、「ITは技術革新が激しいので、一般企業がそれに対応しようとIT企業に助けを求める流れがある」ということが分かり、それを事業計画書の中に盛り込むことができました。
こうして外部環境分析のできた「説得力の高い事業計画書」ができたのです。
<解説>
Jさんのように、「IT業界に所属しているため、業界の事は理解しているので今まで外部環境を意識したことはない」というようなケースはよくあります。
しかし、事業計画書は外部の人も見ますので、客観的な情報が必要となります。
そして、外部環境を把握していくことは、自身のためにも、事業計画書の精度を上げるためにもよいことなのです。
まとめ
・事業計画書において外部環境の把握・分析は重要である
・外部環境を把握し分析することで、自社の事業が求められている背景を事業計画書の中に盛り込むと良い
・外部環境分析では主に以下の4項目に注目する
1.経済の状況
2.社会の情勢
3.政治の情勢
4.技術革新の状況
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