「人員計画」の作成
今回は、人員計画の作成について説明していきます。
この文章を読むことで、「人員計画の重要性」「人員計画作成時の注意事項」について学ぶことができます。
人員計画の重要性
ここまで「売上計画」を作成していきましたが、それを実現するためには人員計画も必要となります。
数人の会社や売上規模の小さな会社であれば、人員計画もそれほど複雑ではありません。しかし、通常は売上を伸ばそうとすれば、それだけ人員も必要となります。
売上計画を立てたとしても、人員が足りずにそれが達成できないとなれば、そもそもの売上計画が意味を成しません。
また、別の見方をすれば、売上計画を無視して必要以上の人員を雇いすぎれば、利益圧迫、赤字の原因にもなりかねません。
そのため、売上計画だけでなく人員計画も重要なのです。
人員計画作成時の注意事項
人員は、売上に比例して増やせばよいというわけではありません。
例えば、3年後に売上を1億円増やす計画を立てるとします。
そこで、現状では「1人当たり100万円の売上を上げている」ため、この計算をもとに「人員を100人増やせばよいか」というと、そうではありません。
それらを支える間接部門の採用も必要かもしれませんし、すでに在籍している人員とこれから採用する人員が同じだけの能力があるかもわからないからです。
これから採用する人材の方が能力が落ちることもあります。その際には、教育研修費が余分にかかるかもしれません。
反対に、これから採用する人材の方が能力が高いという場合であれば、一人当たりの人件費が高くなるかもしれません。
また、業種や景気によっては採用予定通りに進まない可能性もあるので、それらを見込んだ計画にしていく必要もあります。
さらに、人員計画は人数だけでなく、人件費の計画でもあります。
なぜなら、人件費が利益に大きなインパクトを与えるからです。
よって、どのくらいの給与が必要で、どの程度の法定福利費(社会保険など)や福利厚生費(通勤費など)がかかるかまでを計画をすることになります。
このように、人員計画は「売上計画や利益計画(人件費の計画)との整合性」を意識して作成する必要があるのです。
<事例>
Uさんは人事部長です。今回、経営企画室から事業計画書を作成することになり、人事部で人員計画を作るよう依頼されました。
売上計画の案としては、現状の10億円の売上を「5年後に20億円にする」と言う計画です。
売上計画を達成するために、Uさんは様々な試算をしていきます。
すると、現状の人員は100名ですが、売上20億円を達成するためには「間接部門を含めると約2.5倍の250名(150名の採用)が必要である」という結論に達しました。
さらに、教育期間が長い新卒では5年で2倍の売上は達成できないので、新卒採用は少数にし、経験者を中心に中途採用しなければならないことが分かりました。
こうして、暫定の売上計画に対し、必要人員、採用費、教育研修費、人件費などを含めた人員計画を経営企画室に提出したのです。
経営企画室は、この人員計画を基に事業計画書を作成していきました。
<解説>
「売上規模が2倍になれば人員も2倍になる」という単純な人員計画では、事業計画書は成り立ちません。
上記のように、2倍以上に必要になることもあります。
また、それだけの人数が採用できるかどうかの採用計画も必要となっていきます。
新卒の採用なのか中途の採用なのか(中途採用でも経験者なのか、未経験者でもよいのか)、パートや契約社員で不足をカバーできるのかなどの検討が必要です。
このように考えると、人員計画は、事業計画書や売上計画を作成するのに重要なポイントといえます。
Uさんの会社のように、しっかりと分析をして精度の高い人員計画を立てるべきなのです。
まとめ
・売上計画を作成してそれを実現するためには、人員計画も必要となる。
・売上計画を立てたとしても、それを実行する人員がいなければ達成できない。反対に、売上計画を無視して必要以上の人員を雇いすぎれば、利益圧迫、赤字の原因になる。
・人員計画は人数だけでなく、人件費の計画でもある。
・人員計画は売上計画や利益計画(人件費の計画)などとの整合性を意識して作成する必要がある。
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