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事業計画書の全体像

今回は「事業計画書の全体像」について説明していきます。

 

この文章を読むことで、「一般的な事業計画書の雛形」について学ぶことができます。

 

事業計画書の全体像

 

事業計画書を作成しようとする時、多くの人が一番初めにつまずくのが、「何から手を付けてよいのか分からない」という点です。

 

これは、事業計画書に「何を書きなさい」「どのように作成しなさい」という決まり(法令やルール)がないからです。

 

例えば、決算書を作成する場合、税法や会社法の定めがあるので、誰が作成しても、誰が読んでもそれほど違いはありません。

 

しかし、事業計画書は作成する人によって、全く違う表現がされることもあります。

 

また、事業規模や業界によっては、数枚で作成される場合もあれば、数百枚にもわたる事業計画書が作成される場合もあります。

 

よって、「自由に作成してください」というのが基本です。

 

しかし、それでは最初はなかなか作成しにくいと思いますので、一般的に「このような事業計画書を作成していったほうがよい」という形について説明していきます。

 

上記のように、数枚から何百枚の事業計画書がありますので、まずは大まかな全体像(作成順を含め)について説明していきます。

 

?企画・アイディアの段階

 

?全体のまとめ(サマリー)

 

?事業についての考え方や経営者の想い

 

?全体戦略、状況の分析、データ

 

?ビジネスモデル、具体的な戦略、戦術

 

?上記を踏まえた数値計画

 

では、それぞれ説明していきます。

 

?企画・アイディアの段階

 

事業計画書を作成する前段階として、良い企画・アイデアがないと事業そのものが成り立ちません。

 

よって、企画・アイディアをしっかりと考えた上で、それを実行できるまでに落として込んでいくものが事業計画書となります。

 

「事業計画書」と「企画書」はここが決定的に違います。

 

企画・アイデアをまとめたもの企画書であり、その企画・アイデアを事業として実際に行動に移すための計画が書かれたもの事業計画書となります。

 

?全体のまとめ(サマリー)

 

ここからが事業計画書の内容となってきます。

 

一番最初の項目は表紙や目次ですが、その次が「全体のまとめ(サマリー)」です。

 

ここでは単に「まとめ・要約」を行うだけでなく、「会社」「事業」の魅力を伝えることが重要です。

 

この全体のまとめは最後に持ってくる場合もありますが、最初に持ってきた方が読み手に「この事業は儲かるな」、「この会社・経営者を応援したい」という気持ちになってもらいやすいのです。

 

特に、長文の事業計画書となると、最初にサマリーがないという理由で途中で読むのを止めてしまうかもしれません。

 

なお、全体のまとめですので、作成する順番は最後の方になりますが、体裁としては「最初の方に持ってくるほうがよい」と考えます。

 

?事業についての考え方や経営者の想い

 

ここの段階では、事業についての「考え方」や「想い」をまとめていきます。

 

この部分が明確になると、事業計画書を読んだ経営者自身の思考をまとめることになりますし、社員の行動の指針にもなり、融資先や取引先などの「社外の人」の融資、取引の判断基準になります。

 

ここで注意が必要なのは、上記のように、「事業計画書には決まりがない」ということです。

 

決まりがないために、考え方や想いの部分のまとめ方は企業により様々です。

 

使う言葉も、「経営理念」「事業理念」「コンセプト」「ビジョン」など多種に渡ります。

 

加えて、それらの言葉の定義もそれぞれ異なる場合があります。

 

例えば、経営理念の中にビジョンやコンセプトが混ざっている企業もあれば、同じビジョンやコンセプトという言葉を使用していても、企業によって違う意味で使っている場合もあるのです。

 

このように考え始めると「経営学」という学問の世界に入っていきそうですが、事業計画書の本来の目的を考えてみてください。

 

経営者自身、社員、社外の人が読むことが目的ですので、それらの人に伝わりやすい表現であればよいのです。

 

逆に言えば、この部分は学問的な話ではなく、本当に「経営者が想っていることが伝わるかどうか」が重要なのです。

 

なお、伝わるように書くのは大変ですので、次回以降で一般的かつ具体的な作成方法を説明していきます。

 

?全体戦略、状況の分析、データなど

 

事業は「アイディア」や「想い」だけでは上手くいきません。

 

次の段階としては、自社の「経営資源」や「取り巻く環境」の分析データなどを駆使し、事業の全体戦略を伝えていきます。

 

市場規模や競合他社の状況、SWOT分析(自社の強み、弱み、外部環境分析)などをここで行います。

 

この現状把握やデータ分析が「根拠もなく自分勝手に儲かると考えているだけ」なのか、それとも「しっかりと分析できており、その事業の魅力が伝わるか」の差になります。

 

?ビジネスモデル、具体的な戦略、戦術

 

上記において全体戦略や状況分析が出てきたので、それを具体的なビジネスモデルや戦略、戦術にしていきます。

 

ここでやっと製品や商品、サービスの説明をしていきます。

 

前段階の分析と結びついて、自社の製品・商品やサービスが競合他社と差別化ができており、販売の伸びが期待出来ることを示すことになります。

 

よって、前段階の分析が不十分であると事業の魅力が半減します。

 

または、前段階の分析が生かされたビジネスモデルや製品・商品でないと「魅力がない」となってしまいます。

 

さらに、ここではビジネスモデル、戦略、戦術に基づいて具体的な行動計画まで落とし込みます。

 

これにより、「想い」の部分から始まって、「環境分析」を行い、「ビジネスモデル」を考えた後、実際に行動ができる「計画」となっていきます。

 

?上記を踏まえ数値計画

 

ここまで来たら「数値計画」にしていきます。売上や利益の計画です。

 

事業計画書を想像したとき、この数値計画(売上や利益の計画)を事業計画書と思っている人も多いかもしれませんが、上記までの流れを踏まえて数値計画が作成されます。

 

この流れによって数値計画に根拠がある、机上の空論ではない事業計画書となるのです。

 

なお、企業規模によっては、人員計画や設備計画、資金計画などの各数値計画も必要となります。

 

このときに、それぞれの数値計画同士の整合性にも気を付けて作成することになります。

 

 

以上が事業計画書の大まかな全体像です。

 

なお、次回以降からは今回の大まかな全体層を踏まえ、さらに詳細に作成方法までを説明していきます。

 

詳細を見るときには全体像を見失いがちですので、初めて事業計画書を作成する方は、まずは全体像をイメージできるようにしておいた方がよいでしょう。

 

全体像をイメージすることができれば、詳細を作成する際にも「全体のなかのどの部分を作成しているのか」が分かりやすいからです。

 

 

全体像を詳細にした次回以降の項目は、以下の通りです。

 

<?全体のまとめ(サマリー)>の段階で行うもの

 

・「表紙」と「目次」の作成   

 

・「会社プロフィール」の作成

 

⇒「表紙」や「プロフィール」「まとめ」などのこれらは、全体が出来上がった後に、事業計画書の体裁を整えるために行うものです。

 

<?事業についての考え、経営者の想い>の段階で行うもの

 

・「事業コンセプト」の作成

 

・「ビジョン」の作成

 

<?全社戦略、状況の分析、データ>の段階でおこなうもの

 

・「事業ドメイン」の作成

 

・「事業が求められている背景」の作成

 

・「市場規模」の作成

 

・「競合他社の動向」の作成

 

・「顧客のメリット」の作成

 

・「自社の強み」の作成

 

・「商品・サービス説明」の作成

 

<?ビジネスモデル、具体的な戦略、戦術>の段階でおこなうもの

 

・「販売戦略」の作成

 

・「ビジネスモデル」の作成

 

・「社内体制」の作成

 

<?上記を踏まえた数値計画>の段階でおこなうもの

 

・「売上計画」の作成

 

・「売上原価計画」の作成

 

・「人員計画」の作成

 

・「設備計画」の作成

 

・「利益計画」の作成

 

・「資金計画」の作成

 

・「リスク計画」の作成

 

・「アクション・プラン(PDCA)」の作成

 

・「スケジュール」の作成

 

・「補足資料」の作成

 

事業計画書の全体像1

 

<事例>
Cさんは会社勤めをしていますが、独立起業をしようと考えています。

 

営業会社ですのであまり資金はいりませんが、事務所費用などの一部を金融機関から借入しようと事業計画書を作成しています。

 

長年、起業の夢を見続けて温めてきたアイディアなので、事業が失敗するとは思えません。

 

しかし、事業計画は特に分析などをせず、成功したときの売上と利益の計画を作成しただけです。初年度から黒字になり、借入も2年で返済できる予定の計画です。

 

それで不安はありませんでしたが、金融機関に事業計画書を提出する前に、一応数年前に起業を行ったA先輩に見てもらいました。

 

すると、問題が明らかになりました。

 

「この数字の根拠は?」とA先輩から質問されてしまったのです。

 

Cさんは「自分の経験を基に・・・何となく・・・」としか答えられませんでした。何の根拠も示すことができなかったのです。

 

A先輩からは、「金融機関からも同じことを聞かれるだろうし、そもそも根拠のない計画に対してお金を貸さないだろう」と言われてしまいました。

 

そこで初めて、Cさんは「事業計画書とはどんなものなのか?」「何をどう書けば良いのか?」を勉強し始めました。

 

<解説>
事業計画書は経営者自身が経営をしていくためのものだけでなく、それを社外の人(金融機関など)が見て融資の判断するためにも使います。

 

その時に、経営者の想いもなく、根拠もない数値の羅列では融資はされません。

 

これは、自分がお金を貸す側(融資する側)になったと想像してみると理解しやすいでしょう。

 

根拠に基づかない机上の空論の事業計画書に対して、信頼できないのと同様です。

 

Cさんはそのことを先輩からアドバイスされ、事前に気付くことができました。

 

事業計画書は自由形式ですが、単に作ればよいというものではなく、目的や読み手の立場を考えて作成する必要があるのです。 

 

まとめ

 

・事業計画書は、「何を書きなさい」「どのように作成しなさい」という決まりがないので、作成者や事業規模によって全く異なるものとなる。

 

・事業計画書に何を書くのかについて、一般的な全体像は次の通り。

 

?企画・アイディアの段階

 

?全体のまとめ(サマリー)

 

?事業についての考え方や経営者の想い

 

?全体戦略、状況の分析、データ

 

?ビジネスモデル、具体的な戦略、戦術

 

?上記を踏まえ数値計画

 

・事業計画書は自由形式だが、目的や読み手の立場を考えて作成する必要がある。


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