「リスク計画」の作成
今回はリスク計画の作成について説明していきます。
この文章を読むことで、「リスクの種類」や「リスク計画の必要性」について学ぶことができます。
リスク計画の必要性
まず、ここで言うリスクとは、「計画通りに進まない可能性」のことです。
つまり、リスク計画とは「『もし計画通りに進まない場合にはどのような対処をするのか』を初めから検討しておくこと」です。
これによって、もし事業計画書通りに進まないときは、すぐに対応策を講じることができ、リスクを最小限に抑えることができるようになります。
リスク(計画通りに進まない可能性)は、大きく分けると2つに分かれます。
自社で「コントロール不可能なリスク」か「コントロール可能なリスク」かです。
「コントロール不可能なリスク」というのは、リスク自体を自社の事業計画の範疇で避けることができなかったり、軽減できなかったりするものです。
例えば、「景気の低迷」「地震などの天災」「銀行の倒産」「取引先の倒産」「流行り廃り」などです。これらのリスクは自社でコントロールできません。
よって、リスク自体を避けたり軽減したりはできませんが、「それらが起きたときにどのような対処ができるか」を考えておくことが大切です。
次に、「コントロール可能なリスク」は、リスク自体を自社で避けたり、軽減できたりするものです。
例えば、従業員の退社、顧客からのクレーム、オペレーションミスによる誤配送、納期の遅れなどです。
これらのリスクは社内の取り組みによってそれ自体を避けたり、軽減できたりする可能性があります。さらに、もし起きてしまった場合の対処も検討しておく必要があります。
上記の「コントロール不可能なリスク」と「可能なリスク」は、不可能なリスクの方が大きな影響を与えやすいです。
しかし昨今では、可能なリスクでも大きな影響を与える場合があります。例えば、クレーム対応を疎かにしたことでネット上に悪口を書かれ、大きな売上減につながることなどです。
よって、どのリスクにも真摯に対応することが求められます。
なお、リスク計画は「それが起きない可能性」もあるので、売上計画や利益計画などに比べて後回しにされやすいです。
しかし、それが起きた際に「何も準備していない」のと「準備している」のとでは、対応も結果も全く変わります。
さらに、銀行や投資家などの第三者に事業計画書を見せる場合には、リスク計画までしっかりと立てられている方が、安心して融資や投資がされやすいというメリットもあるのです。
<事例>
Yさんは自動車部品を製造している会社を経営しています。事業計画書を作成するにあたり、リスクを踏まえた計画を立てています。
それというのも、自動車部品の売れ行きは、自動車の販売の増減によって影響を受ける上に、親会社の業績によっても影響を受けるからです。
それらの影響を受けないように、「減産の場合は他業種から受注を取れる」というようなリスク回避策を検討しています。
さらに、Yさんの会社は小規模な企業なので、自社の技術者が突然退職すれば受注を減らさざるを得ず、大きな影響を受けてしまいます。
これについては「若手の従業員に教育を施す」などのリスク対策をしています。
このように、「リスクを想定して回避する策」「リスクに対応する策」を事業計画書に盛り込んでいます。
よって、銀行からは「リスクまでしっかりと見通している企業」として好評価を受けているのです。
<解説>
リスク計画は後ろ向きな想定をするので、「ここまで書いてよいのか」と迷う場合もあります。
しかし、経営をしていく上で想定できるリスクがあれば、すべて記入する方がよいでしょう。
事業計画書は第三者に見せるためだけでなく、自社の経営のためでもあるのです。
「リスクがあるのに無いように見せて対応策を考えない」ということ自体がリスクになるのです。
まとめ
・リスク計画とは、「経営が計画通りに進まない場合にどのような対処をするのか」を初めから検討しておくこと。
・リスク(計画通りに進まない可能性)は、自社で「コントロール不可能なリスク」と「可能なリスク」の2つがある。
・あるリスクが実現した際に、「何も準備をしていない」のと「準備をしている」のとでは対応も結果も全く変わるので、リスク計画を作成しておくべきである。
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