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仮説・検証の3つの効果 その2

【例題】
仮説・検証がビジネスに与えるインパクトは認識していても、実際に行うとなると手間もかかりますし、何より慣れるまでに一定程度の努力が必要となります。

 

そうした現状においては、ついついこれまでの方法で考えてしまうのも無理ありません。

 

たとえば、一般常識や既存のルールや法則を活用したり、あるいは収集した情報から判断するというものですね。

 

ただ、そのような思考をくり返していると、仮説・検証を行うライバルに対し、大きく水をあけられてしまうことにもなり兼ねません。

 

前記事でご紹介した3つの効果は、日々のなかで少しずつ効果を発揮し、気付いた時には取り返しのつかないほどの差が生じてしまうという結果を生むのです。

 

それはもちろん、成果主義を掲げている企業内でだけでなく、経営者や自営業者にとっても由々しき事態ですね。

 

ここからは、事例を通じて、仮説・検証の効果を確認していきましょう。

 

<例>
大手不動産デベロッパーから独立してベンチャー企業A社を立ち上げたYさんは、このほど、数人のスタッフを抱えて事業をスタートさせました。

 

当面は、デベロッパーのような土地購入から建物の建設・販売までを一貫して行うのではなく、賃貸に特化した仲介事業で収益を確保していく予定です。

 

土地や建物を所有する必要がないぶん、固定費がそれほどかからないという点が狙い目です。

 

それだけに、事務所(店舗)とスタッフ、そしてインターネットサービスの三本柱には、設立当初から大きな投資をしました。

 

そうすることで、すでに数多く存在するライバル企業との差別化を図ったのです。

 

少数精鋭ではありますが、対応の受け皿をインターネットサイトで行うことによって、人的資源を優先順位の高い優良顧客へと集中できるようにしました。

 

この戦略が功を奏したのか、スタート段階から数多くの顧客を獲得することに成功しました。

 

とくにビジネス向けの物件を探している顧客は、くり返し利用してくれることも多く、それだけに会社の収益源として重要な存在となりました。

 

今後は、そうした優良顧客を数多くストックしておくことと、新規顧客の獲得が業務の主流となりそうです。

 

Y社長は、事業が軌道に乗ったこともあって、スタッフの役割分担を進めることにしました。

 

とくに、営業部門の強化として、優良顧客へのルート営業と新規開拓のための新規営業とを分けることにしたのです。

 

スタッフの専門性を高めることだけでなく、それぞれの強みを生かせる人事へと改変することが目的です。

 

定期的に異動を敢行し、社内の流動性も高めるつもりです。

 

ただ、現行のスタッフたちのあいだには、数字の上で明らかな実力差がありました。

 

あるスタッフはコンスタントに毎月数件の契約をあげているのに対し、あるスタッフは月ごとにバラつきがあったり、またあるスタッフは月に1件程度しかあげられていない状況も。

 

さらに、インターネット担当者に関しては、集客はできても、契約にまで持ち込めないという問題もあります。

 

もしこのままスタッフの役割分担を進めてしまえば、少数精鋭の強みを発揮できない可能性があります。

 

ある程度収益状況に余裕ができればスタッフの数を増やすことは可能ですが、まだまだベンチャー企業として駆け出しですし、だからこそ選んでもらえるということもあるでしょう。

 

まじめに一生懸命に事業を行っている企業を応援したくなるのは、どこの会社でも同じです。

 

そのようなジレンマを抱えていたY社長は、ここで新たに人員を募集するのではなく、たとえ仕事の内容が変化しても、担当部署が異動になっても、実力を発揮できるルール作りに着手することにしました。

 

そのためには、成績優秀の社員と反対にふるわない社員との双方にヒアリングを行い、適切な規定を作らなければなりません。

 

もちろん、社員が自由に働ける環境を妨げるようなものは言語道断です。

 

 

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