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良い仮説をつくるための3つの資質 その1

【より上質な仮説を構築するために】
目の前の課題に対して解決策を模索する場合に、「仮説思考」により取り組むことで、問題解決力が向上することはすでにお話しました。

 

手当たり次第に実践してみたり、既存の一般常識をそのまま踏襲するのではなく、あらかじめ課題への解決策を「仮の答え」として用意しておくことで、その後の検証によってより問題の核心へと近づくことができるのですね。

 

発生する課題の種類はさまざまですが、いずれの場合においても、仮説思考は有効に作用します。

 

仮説思考によって課題への解決策に“あたり”をつけ、収集する情報を限定し、解決策に向けて明確な方向性を持ちつつアプローチすること。

 

それによって、無限に広がる情報の波から上手に取捨選択を行い、時短効果を生み出すだけでなく、ゴールへの道筋を明確にするためにも役立つのです。

 

もっとも、最終的な意思決定につながる解決策がたとえ同じだとしても、仮説の段階で質の違いが生じることは否めません。

 

わかりやすい例でいえば、ゴールまでのステップが5つある場合に、ステップ1から取り組む場合と、ステップ3から取り組む場合では、時間も労力も大きく異なるでしょう。

 

良質な仮説とは、時間や人も含めた資源の有効活用につながるのです。

 

とくにビジネスの現場では、すでにあるもの、つまり自社が保有する資源で勝負するしかありません。

 

どれだけ無いものねだりをしても、短期間で優秀な社員を多数抱えることは不可能ですし、瞬時に豊富なデータを収集することも、それを活用するのも難しいでしょう。

 

優れた技術力や管理体制を醸成することも、すぐにできないことは明白ですよね。

 

だからこそ、既存のスタッフ全員が、少しでも質の高い仮説を構築できるようになる、あるいはそのために教育する必要性があるのです。

 

仮説思考は、眼前の業務をただこなしていくだけでは身につきません。

 

課題に向き合うときに、各々がしっかりと意識しなければ実践できませんし、「もっと優れた仮説を構築できないか?」と考え、模索し続けなければ、仮説構築のスキルが向上することもないでしょう。

 

良質な仮説を構築するために必要な「資質」を理解して、それらを伸ばそうと努力すれば、より質の高い仮説を構築できるようになります。

 

しかも、仮説検証は日々の業務のなかで実践可能ですので、自身の成長を肌で感じることもできるでしょう。

 

もちろん、業績という成果に反映されれば、組織としても嬉しい限りです。

 

また、仮説思考のレベルが高まることによって、組織内の議論も活発になることでしょう。

 

それぞれが一般常識にとらわれず、独自の視点から物事を判断できるようになれば、経過報告だけのマンネリ化した会議から脱することも不可能ではありません。

 

それどころか、仕事に対する姿勢、あるいは組織内の空気すらもより前向きなものとなると期待できます。

 

では、良質な仮説を構築するための資質とは、どのようなものが考えられるでしょうか。

 

それらは、研修や教育によって身につけられるものでなければなりません。具体的には、次の3つの要素に集約されます。

 

1.ビジネスに関する豊富な知見
2.違いを見い出す優れたセンス
3.上質な仮説への飽くなき探究心

 

「ビジネスに関する豊富な知見」には、「経営戦略」や「マーケティング理論」などの既存の方法論および法則だけでなく、企業の「成功例」や「失敗例」などの事例も含みます。

 

そのような、ビジネスを行ううえで必要となる知識が根底にあることによって、最初の仮説がより質の高いものとなるのですね。

 

もちろん、そういった知識が検証の手法にも反映され、最終的に導き出される意思決定にも良い影響を与えます。

 

「違いを見い出す優れたセンス」に関しては、「相違点をいかに見い出せるか?」がポイントとなります。

 

センスと聞くと、先天的な資質だと思う方もいるかもしれませんが、日頃から相違点、つまりは「普段と異なること」「常識から外れていること」に着目することによって、センスを磨くことは誰にでも可能です。

 

各々でチェックする体制を整えても良いでしょう。

 

3つ目の「上質な仮説への飽くなき探究心」は、気持ちの面でいかに上質な仮説へのモチベーションを高められるかにかかっています。

 

もっとも、モチベーションを高めることは精神論ではなく、具体的な方法によって可能となります。

 

締め切りを設定する、それぞれに責任をもたせる、組織全体で仮説に対する感度を向上させる、あるいはインセンティブを盛り込むなど、より効果的な方法を実践することが大切です。

 

 

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