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仮説と検証 その2

仮説と検証 その2

【例題】
それでは、仮説と検証について、事例を交えてさらに詳しくみていきましょう。

 

<例>
東京都内のオフィスを中心に各種備品を提供しているA社は、老舗の中規模商社です。

 

付き合いのある企業の多くは、バブル景気以前からの得意先ばかりで、ルート営業による安定的な収益を確保していました。

 

そのため、ほとんどの営業パーソンは、相手の話を聞くことでそのニーズを把握することに長けているスタッフばかりです。

 

このほど、時代の流れを加味して、ベンチャー企業向けに新規開拓を行う部署「営業B」が設立されました。

 

営業畑出身の役員による肝いりの部署として、優秀な営業パーソンばかりでなく、入社3年までの若い人員も加えられた布陣です。

 

他の社員からは、さながら社内ベンチャーとみなされているほど、権限移譲が徹底しています。

 

それもそのはずで、営業Bは明らかにこれまでのA社の方針とは異なる戦略を打ち立てています。

 

既存顧客へのルート営業と、ベンチャー企業を中心とした新規顧客の獲得では、その狙いも営業手法も大きく異なります。

 

だからこそ、ある意味社内から独立させることによって、自由な活動から生まれる斬新さを追求したのです。

 

営業Bの課長に就任したSは、部下数名とともに、さっそく営業活動を開始しました。

 

ただ、A社で行っているような、自動車を使った個別訪問は行いません。

 

インターネットを主軸にした広告戦略と、ホームページによるSEO効果、さらにはソーシャルメディアを活用したバイラルメディアの構築など、A社としてはまったく新しい手法ばかり。

 

既存顧客へのルート営業とは違い、アポイントがとれた場合にも、相手企業との面識がある社員が行く必要はありません。

 

ベテランの営業パーソンと若手社員とをセットで訪問させることによって、育成および活発な意見交換を促進させています。

 

その点、S課長の手腕が大いに発揮されていると言えるでしょう。

 

ただ、しばらくすると、ある問題が浮上してきました。

 

インターネットを介した契約数は順調に伸びているものの、アポイント取得後に訪問した場合の契約率が低水準にとどまっているのです。

 

これは明らかに、営業方法に問題があると言えそうです。

 

現状を把握するために、S課長は、営業パーソンを集めて緊急会議を開くことにしました。

 

そこで明らかになったのは、ベテラン社員と若手社員との意見の相違です。

 

たとえば、以下のような会社からアポイントがとれた場合、それぞれの意見は次のとおりです。

 

・アプリ制作会社
・設立5年目
・社員10名
・郊外から都心へと、事務所の移転を検討中
・備品全般を注文したい

 

<ベテラン社員の意見>
設立5年目でまだまだ業績も不安定だ。
実際に、郊外から都心へと事務所の移転を行うかどうかも不透明だ。
すぐに契約を結ぶのではなく、付き合うべきかどうか慎重に見定めたい。

 

<若手社員の意見>
運営年数も社員数も小規模だが、制作しているアプリには、多数のユーザーがファンとして支持している。
創業者のトップは投資銀行出身で資金繰りにも長けているし、すぐにでも契約を結ぶべきだ。

 

 

たしかに、どちらの意見ももっともです。

 

S課長としては、長年の営業経験からベテラン社員が危惧する問題点も理解できますし、反対に、若手社員の分析力や積極性も考慮してあげたいところ。

 

また、単純に結論を出してしまっては、今後の活動にしこりを残してしまうかもしれません。

 

そこで、双方の意見を、それぞれの思考プロセスから理解できるようにするため、「仮説と検証」に基づいて分解することにしました。

 

どちらの意見が正しいか、あるいはより建設的かを理解させるのではなく、双方の考え方を共有することが目的です。

 

 

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