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因果関係の7つの錯覚パターン その10

【因果関係の錯覚に陥らないために】
因果関係の7つの錯覚について、理解できましたでしょうか。

 

最後に、因果関係の錯覚パターンに陥らないための注意点をいくつかご紹介します。

 

<注意点1.自分の偏った考えを意識しているか?>
人間にはそれぞれ、異なった経験や知見があります。

 

私たちの暮らしが思考とコミュニケーションで成り立っている以上、その偏りが考え方のクセとして表出するのは、日常的にあり得ることなのです。

 

自分が行っている思考を思い返してみれば、それは明らかですね。
もちろん、周囲の人も同様に行っているはずです。

 

そうした偏りをあらかじめ理解しておかなければ、因果関係を正しく理解することは難しいでしょう。

 

そもそもの偏見や思い違いを加味しつつ、いかに真理に近づく努力ができるか。

 

相互理解を可能とするのは、そうのような多様性の理解と本質的な議論によってなのです。

 

まずは自分の偏った考えを意識することからはじめてみましょう。

 

 

<注意点2.手段と目的をすり合わせたか?>
「手段と目的の取り違え」の項でもご説明しましたが、手段と目的は、常にそれぞれすり合わせなければ実践的な活用はできません。

 

そして、そのプロセスの間には、くり返し行うための方法論が必要です。

 

もちろん、方法論なしに意識できれば良いのですが、実際には難しいのが現状でしょう。

 

だからこそ、手段と目的とはセットで考えなければなりません。

 

どちらかを一方的に押しつけるような姿勢では、最終的な成果へと結びつくことは少ないのです。

 

いかにそのような姿勢を全社的に醸成することができるか。

 

それが、社内風紀を維持することにもつながる、大切な要素であると言えますね。

 

手段と目的とをすり合わせる認識の共有は、簡単なことではありません。

 

そこには、トップのリーダーシップと現場における指示伝達の手法が必要となるでしょう。

 

会社をあげて取り組むべき課題ですね。

 

 

<注意点3.すべての原因を網羅できるのか?>
また、因果関係を把握することに注力するのは良いことなのですが、生じた結果に対するすべての原因を特定しようと時間及び労力を使いすぎるのは考えものです。

 

ひとつの事象に対する原因は多岐にわたることが多く、100パーセント特定できるものではないのが一般的だからですね。

 

商品が売れないのは気候のせいかもしれませんし、消費者の意欲が低下しているからかもしれない。

 

はたまた、類似品の台頭や提供している商品の質そのものが悪いからかもしれません。

 

ただ、どれかひとつが決定打になるとしても、すべての事象が原因となっていることに変わりはないのです。

 

大切なのは、たったひとつの正解を求めようとしないこと。
あるいは、確実な正解が得られないまま行動することに対する忍耐です。

 

ビジネスに絶対はありません。

 

すべての原因を網羅できるなどという幻想を捨て、実を取ることにフォーカスをあてましょう。

 

 

<注意点4.第3因子は本当に存在しないのか?>
そして、どんなときにでも「疑うこと」と「確認する」を確実に実践すること。

 

第3因子が存在している可能性は常にあります。

 

たとえその存在をはっきりと認識できなくても、疑いつつ確認を行えば、短絡的な思考を防ぐことはできるのです。

 

もっともらしい目先の原因に飛びついてしまいたくなる気持ちはわかりますが、根本的な原因を把握してから対策案を講じなければ、実りのあるものとはなりません。

 

単純なように思われるかもしれませんが、「本当にそうかな?」という素朴な疑問からでも、本質に到達するだけの芽が育つことはあるのです。

 

 

【まとめ】
・因果関係の錯覚の芽は、いたる所に潜んでいる

 

・既存の解決策は、本質的な解決にならないことが多い

 

・まずは「錯覚を引き起こす7つの要素」を意識しよう

 

・「疑うこと」から、本当の因果関係の把握はスタートする

 

 

前のページ 「因果関係の7つの錯覚パターン その9」

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