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因果関係の7つの錯覚パターン その5

・定期的に大幅な値下げキャンペーンを行えば、客足は戻るかと思います。
(東北エリア統括マネージャー)
→問題点:目的が共有されていない

 

低迷した顧客数を回復させるため、値下げや割引によるキャンペーンなどの施策を実施することは一般的です。

 

中には、そういったキャンペーンを定期的に行うことで、競合他社に顧客を奪われないような仕組みづくりをしている企業もあります。

 

少なくとも、キャンペーン時には客足が戻ることもあるでしょう。

 

ただ、そうしたキャンペーンの効果は限定的です。

 

値下げや割引を敢行した分、利益率は下がるわけですから、たとえ顧客数が上がっても、直接的なメリットは少ないでしょう。

 

大切なのは、そのときにいかに既存顧客に戻ってきてもらえるか、あるいは継続的に利用してくれる新規顧客を獲得できるかです。

 

たとえば、既存顧客に対しては、商品の充実やサービスの多様化、店内の設備、スタッフの対応などが向上していることをアピールできれば、再び戻ってくる可能性があります。

 

一方で新規顧客に対しては、他店舗と比較した場合の優位性や差別点、、継続的に利用するメリット、斬新さなどを強調したいですね。

 

このことからも分かる通り、値下げキャンペーンの目的は「顧客数を伸ばすこと」にあります。

 

そこからいかに収益につなげられるか、営業利益を伸ばせるかについては、さらなる施策が必要です。

 

東北エリア統括マネージャーの意見は、あくまでも一般論でしかなく、具体的な戦術なくしては効果は限定的となってしまうでしょう。

 

そればかりか、キャンペーン時のみを狙って来る客が増えてしまい、さらに経営を圧迫することも懸念されます。

 

そうなってしまっては本末転倒ですね。

 

あわてて値下げをやめたとしても、そうした行動に嫌気を感じた顧客はまた離れてしまうでしょう。

 

このようなキャンペーンが負のスパイラルを生じさせる「諸刃の剣」であることも、認識しておかなければならないのです。

 

東北エリア統括マネージャーが、このような短絡的な発想に至ってしまった理由として考えられるのは、真の目的が共有されていないことにあります。

 

各店舗、あるいは各地域で考えれば、顧客数を伸ばすことは評価の対象となることもあり、一定の意味を見出だせるでしょう。

 

しかし、本社的には営業利益が増えなければ意味はないのです。

 

企業の目的は、あくまでも利益を増やすこと。

 

短期的な顧客数の増加でも評価されるエリア統括マネージャーと、会社の行く末を見通しつつ収益を上げなければならない本社の営業部長とでは、意識の部分でも具体的な目標設定においても乖離が生じやすいのです。

 

それではエネルギーが間違った努力へとつながってしまいます。

 

トップの意向を含め、企業のビジョンや理念を共有しなければ、いくら定期的に意見をうかがったとしても、発展的な議論となることは少ないでしょう。

 

それどころか、危機的状況に陥らなければ必要なコミュニケーションがとれないところに、組織としての大きな欠点すら垣間見えるのです。

 

 

・現行の「売上高優秀店舗表彰制度」の内容を、もっと充実させてみてはいかがでしょうか。
(関東エリア統括マネージャー)
→問題点:手段と目的の取り違え

 

A社では、各店舗の士気を高めるために、「売上高優秀店舗表彰制度」を設けています。

 

これは、四半期ごとに行われているもので、売上ベースのランキング上位店舗が社長から表彰されるというものです。

 

A社が全国展開し始めた頃から導入されているもので、店舗ごとの競争力を高める役割を果たしています。

 

この表彰制度では、各店舗の店長だけでなく、その地域を担当するエリア統括マネージャーも表彰されます。

 

ですので、おのずと双方の連携が構築できるようになり、会社としてのメリットも大きいとされてきました。

 

考案したS社長本人はこの制度があるおかげでA社が現在の地位を築けたと豪語するほどです。

 

 

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