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イシューと枠組み その2

【イシューの役割】
 先述のAさんが設定したイシューと枠組みは次のとおりです。

 

<イシュー(大きな問い)>
昨年から行っている海外事業の是非

 

 イシューという大きな問いをあらかじめ提示しておくことで、各自が意見を述べる際の指標となります。

 

これにより、たとえこれまでに感じていたことだとしても、イシューから大きく解離する発言をしにくくなるのです。

 

たしかに、各部門ごとに言いたいことはあるでしょう。
それぞれが頑張っていればなおさらです。

 

自負があればあるほど、犯人探しや鶏卵論争をはじめてしまうのも無理はありません。
しかし、それでは建設的な会議はできません。

 

議論が白熱するのは悪いことではありませんが、大切なのは“会議の原点”に立ち返って各々が自重することです。

 

会議は単なる儀式でもストレス発散の場でもありません。

 

会社が発展していくために、全社員が知恵を絞って目の前の課題に取り組んむこと。
そしてその心的姿勢を出席者全員が共有することからはじめる必要があります。

 

 イシューを設定するメリットをまとめると次のとおりになります。

 

大きな問いを意識することで議論がブレない
発言する際のポイントが明確になる
・テーマに対する各部門の取り組みを知ることができる

 

【枠組みの働き】
 次に、Aさんが設定した枠組みを見ていきましょう。

 

<枠組み(小さな問い)>
・各部門のアプローチと業績、及び所感
・他部門の意見を聞いた上での実感
・継続した場合の影響、撤退した場合の影響
・継続する場合の具体的な戦術
・撤退する場合の具体的な出口戦略

 

 小さな問いを設定することで、発言者に与えられた時間を制限することができます。

 

それだけでなく、イシューに対する各部門の取り組み方、その力の入れ具合も明確になるのです。

 

たとえイシューがあっても、枠組みを設定していなければ、各自が収集しやすいデータから都合の良い発言をしてしまう可能性があります。

 

それこそが会議のための会議の元となります。

 

枠組みという個別の問いを意識させれば、話し手はもちろんのこと、聞き手もまた関心を向けやすくなります。

 

そして、問いに対する自身の意見と他者の意見とを踏まえてさらに発言させることにより、実行力のあるすり合わせが可能となるのです。

 

 枠組みを設定するメリットは次のとおりです。

 

何について答えるべきかが明確になる
発言者と聞き手、両者の関心が高まる
課題に対して同じ方向を向きながら議論ができる

イシューと枠組みの具体的な事例

【注意点】

 

<イシューの注意点>
 イシューは枠組みと違って意識しなければ忘れてしまう可能性があります。

 

進行役であるAさんは、その点を踏まえて適時質問をするようにしました。
そうすることで、発言のブレを補修したのです。

 

 また、実際にイシューを設定する際には、より具体的なものでなければなりません。
抽象的な問いは抽象的な意見しか生みません。

 

加えて、正しい答えがあらかじめあるという姿勢ではなく、状況に応じて最善手が選択できるような柔軟性も持つ必要があるでしょう。

 

<枠組みの注意点>
 枠組みはイシューに直接関係するような問いでなければなりません。

 

イシューとかけ離れた問いを提起してしまえば、結果的に議論の焦点がボヤけてしまうのです。

 

イシューに答えるためにはどのような問いが必要かを、可能な限り集約しましょう。

 

 もっとも、問いが少なすぎてもいけません。
部分的な問いに答えさせるだけでは大きな問いに対する視点が失われてしまいます。

 

あくまでもイシューに答えるための枠組みなのですから、漏れもダブりも無いように微調整することが大切です。

 

【まとめ】
・思考の方向性、議論の道筋となる「イシュー」と「枠組み」

 

・イシューは課題解決のための“大きな問い”である

 

・枠組みはイシューに答えるための“複数の小さな問い”である

 

・イシューと枠組みを活用すれば、議論はより建設的になる

 

 

前のページ 「イシューと枠組み その1」

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