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論理展開の6つの注意点 その2

論理展開の6つの注意点 その2

 先述の、将来の幹部候補生ということはつまり、海外事業に選ばれるのは「リーダーシップ」の片鱗が感じられる若手社員たちということです。

 

それも、新入社員から選ばれるということは、学業その他で実績を残しているはずです。

 

今年、入社と同時に海外事業への登用が決まったのはAくん、Bくん、Cくん、そしてDさん、Eさん、Fさんの6人です。

 

彼らは学校の成績だけでなく、目覚ましい行動力と実績がありました。

 

 たとえばAくん。彼は、大学の「起業コンテスト」に高校生の頃から参加しており、リーダーとして3度の優勝経験があります。

 

数学が苦手で、たしかに論理性にかける部分はありますが、それは問題にはなりません。

 

その他にも、Eさんは海外でのボランティア経験が豊富ですし、Cくんはバックパッカーとして世界中を旅した実績があります。

 

BくんやEさん、Fさんもそれぞれに稀有な経験がありました。

 

 海外事業に登用する新入社員は上記のような基準で決まったのですが、彼らが辞めてしまわないという保証はありません。

 

実は、かつてリーダーシップをもった新入社員が辞めてしまったケースがあります。
その理由は、現地の社員と比べて「論理的思考」が圧倒的に劣っていたためです。

 

素地としての論理的思考が身についている現地人から、仕事を与えられずに鬱になってしまったのです。

 

誰しも、仕事を満足に与えられなければ病んでしまう可能性があります。

 

S部長は彼らの分析を次のようにまとめました。

 

・天性の行動力とリーダーシップがあり、将来会社の宝となる
・しかしその反面、論理的思考力に劣っているという共通点がある

 

 そこでS部長は、新入社員に「論理的思考」を身につけさせるため、特別研修を行うことにしました。

 

みっちり2ヶ月かけて、論理的思考のイロハを彼らにすり込みます。
講師は外部の専門家に依頼しました。

 

研修期間が半分以上すぎ、座学についてはおおむね終えたところで、S部長は彼らに簡単なテストを実施しました。

 

その内容は次のとおりです。

 

<問い>
 「Y社が今後20年間で既存の売上を倍増するためには何をするべきか?」

 

もっとも、答えの内容についてはほとんど評価しません。

 

正しい答えを導くには、仕事を通じて身につけてもらうことが一番ですし、この研修の目的は論理的思考力を身につけてもらうことだからです。

 

しかも、彼らは海外事業への出向を控えた幹部候補生たち。

 

論理的思考さえ身につけることができれば、実務の中で正しい答えを見つけられるだけのポテンシャルは十分にあるはずです。

 

 しかし、S部長の予想に反して、彼らの答えには論理的なほころびがありました。
いわゆる「論理展開における6つの落とし穴」です。

 

A部長が残りの研修期間をより厳しく行おうと決意したことは言うまでもありません。

 

<解説>
 S部長が提示した問いに対する、6人の各新入社員の答えは次のとおりです。

 

・Aくん
老舗企業は「イノベーションのジレンマ」に陥りやすいので、顧客の声を重視せず、イノベーションの創出を目指すべきだと思います。

 

・Bくん
女性の管理職が少ないので、積極的に女性を要職に起用するべきだと思います。

 

・Cくん
かつては終身雇用で成長してきた会社なので、現在の実力主義から年功序列に戻すべきだと思います。

 

・Dさん
コンサルティング業務はメンタルが大事だと思うので、元アスリートの方を積極採用するべきではないでしょうか。

 

・Eさん
競合のW社、X社、Z社が外国人社長を採用して業績を伸ばしているので、弊社の社長にも外国人を登用してはいかがでしょうか。

 

・Fさん
私の友人3人は、みんな社内で英語が公用語になっています。弊社も取り入れるべきではないでしょうか。

 

 

 上記6つの回答を見てあなたならどう思いますか?

 

これらの回答が至極まっとうだと感じられた方は、論理展開の落とし穴にはまっていると言えます。

 

実は、すべての回答に論理のほころびがあるのです。

 

 

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