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論理展開の6つの注意点 その3

論理展開の6つの注意点 その3

【論理展開の6つの注意点】
 それでは、彼らの回答を順番に分析していきましょう。

 

<Aくん>
老舗企業は「イノベーションのジレンマ」に陥りやすいので、顧客の声を重視せず、イノベーションの創出を目指すべきだと思います。

 

→Aくんの回答は、「イノベーションのジレンマ」についての理解が不十分です。

 

 イノベーションのジレンマとは、業界のトップ企業が、顧客の意見に耳を傾けることでより高品質の製品やサービスを提供することを目指すために、他社のイノベーションに遅れをとり、結果的に敗れてしまうということです。

 

つまり、イノベーションのジレンマへの対策は、顧客の声を重視しないことではありません。
むしろ、市場の変化に対していかに柔軟で迅速な対応ができるかにかかっています。

 

そのために顧客の需要を把握し続けることは欠かせない要素なのです。

 

<Bくん>
女性の管理職が少ないので、積極的に女性を要職に起用するべきだと思います。

 

→Bくんの回答は、前提条件が提示されていません。
これでは相手に誤解を与えてしまう可能性があります。

 

 たしかに、女性の可能性を追求することはこれからの時代を生き抜くためには大切なことです。

 

しかし、それは「なぜ」大切なのでしょうか?
その認識を共有しなければミスマッチが発生してしまいます。

 

たとえば「女性のCEOが増えているために、同姓の方がより親身に提案できるから」「女性の社会進出によって女性が資産をもつようになり、購買の主役になるため、女性目線のマーケティングが必須だから」などですね。

 

Bくんは演繹法を使いたかったのでしょうが、常識だからといって、このように一般論、前提、あるいはルールを省略してしまうと、正しい議論を行うことができません。

 

<Cくん>
かつては終身雇用で成長してきた会社なので、現在の実力主義から年功序列に戻すべきだと思います。

 

→Cくんの回答は、思考が浅いために(あるいは回答の検討が甘いために)論理が飛躍しています。

 

 Cくんの回答を演繹法として分解してみましょう。
「Y社は終身雇用・年功序列だった頃は業績が安定していた(観察事項)」「過去の成功体験を踏襲するのは戦略の基本(一般論)」→「実力主義から年功序列に戻すべき(結論)」

 

たしかに形式上は論理的思考になっていますが、「時代背景を加味していない」「なぜ実力主義に転向したのか理解していない」「未来予測が不十分」などの理由から、結論が飛躍したものになっています。

 

過去の成功例を踏襲することで業績が上がることもありますが、客観的にみて、それが必ずしも正しいとは言えないでしょう。

 

あまりに時代錯誤的ですし、蓋然性が低く感じられます。

 

<Dさん>
コンサルティング業務はメンタルが大事だと思うので、元アスリートの方を積極採用するべきではないでしょうか。

 

→Dさんの回答は、ビジネスでの活躍とスポーツでの活躍を混同しており、事例のミスマッチが生じています。

 

 Dさんの考えていることは、おそらく「メンタル面の大切さ」なのでしょう。
それについては異論はありません。

 

しかし、メンタル面の強さだけで果たしてビジネスが行えるでしょうか?

 

ビジネスにはビジネスの、そして競技には競技のルールがあります。

 

活躍するアスリートの条件にメンタル面の強さがあったとして、ビジネスでそのまま当てはまるとは限りません。

 

むしろ、メンタル面が弱いからこそ、より詳細に分析を深めて提案しようと考えるコンサルタントがいても良いのです。

 

また、ビジネスの現場ではときに協調路線を選択できる柔軟さも必要ですが、果たしてアスリートにそういった資質があるでしょうか。

 

 

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