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ピラミッドストラクチャー その1

【ピラミッドストラクチャーとは】
 与えられた課題に対処する場合も、相手に自分の考えを伝える場合にも、“論理性”が重要であることは言うまでもありません。

 

とくにビジネスシーンにおいては、「大きな問い(イシュー)」「大きな問に答えるための小さな問い(枠組み)」「問いを支える根拠」が明確でなければ、適切な結論を導くことはできません。

 

どれほど時間をかけて構築した戦略でも、前提(大きな問い)が間違っていれば、必然的に小さな問いやその根拠、そして結論も誤ったものになります。

 

論理は芋づる式に破綻していくのです。

 

 こうしたミスは、考えるべき課題の全体とその道筋を十分に把握していないために起こります。

 

もし前提や現在考えている問い、その根拠をいつでも確認できればどうでしょうか。
ミスは格段に少なくなるはずです。

 

そのために活用できるのが『ピラミッドストラクチャー』です。

 

ピラミッドストラクチャーを使えば、大きな問いに対する答えを「メインメッセージ」とし、その下に複数の小さな問いとその答え(「キーメッセージ」)、さらには小さな問いの根拠をピラミッド型に整理することができます。

 

論理的図解ツールのピラミッドストラクチャー

 

まさに、論理的に考えるための「図解ツール」と言えるでしょう。

 

【例題】
 それでは、例題をとおしてピラミッドストラクチャーについて詳しく見ていきましょう。

 

<例>
 Y社の新入社員Aさんは、先輩社員のBさんからレポートの作成を指示されました。

 

テーマはY社の「ベンチャー企業対策の是非」です。

 

 ビジネス向けの消耗品を取り扱っているY社は、大手企業への受発注は好調なものの、ベンチャー企業への対応が不十分です。

 

将来的にはそういった小規模な事業者が大きな影響力をもつことが予想され、Y社としては、早い段階から自社製品を浸透させたいところ。

 

とくに最近目立ってきたのが「団塊世代の起業家」です。

 

定年後あるいは定年前の早期退職制度を利用した元気で実力もある50代60代が、堅実なベンチャー企業を次々に立ち上げているのです。

 

団塊ベンチャーは、冒険心が豊富な若い世代のベンチャー企業よりも実直な経営を行う傾向にあります。

 

そのため、付き合いがはじまれば長期安定的な取引先となることが見込めるのです。

 

 Aさんは何度もレポートを作成してはB社員に提出しましたが、その度に却下。
作り直しです。しかもその理由が「論理的でない」からとのこと。

 

打開策を見い出せず頭を抱えて悩んでいたAさんのもとに、見かねたC課長がやってきました。

 

そして、ひとつだけアドバイスをしてくれたのです。
「ピラミッドストラクチャー」を使いなさい、と。

 

<解説>
 AさんがB社員に却下されたレポートは次のようなものでした。

 

【結論】
Y社はベンチャー企業対策を継続するべき。

 

【理由】
・団塊ベンチャーは堅実な経営をしている。
・ベンチャー企業は各種メディアでも注目度が高い。
・これからは小規模事業者が影響力をもつ。
・大手企業への受発注は飽和状態にある。
・ベンチャー企業の開拓手法は将来的に強力なノウハウとなる。

 

【参照】
「(仮)ベンチャー企業のこれから」著○○
「(仮)団塊ベンチャーが来る」著○○
「インターネットサイトH」http://
「インターネットサイトG」http://

 

 一方、C課長のアドバイスに従って作成したレポートは次のとおりです。

 

【結論】
Y社はベンチャー企業市場から撤退するべき。

 

【理由1:小さい市場規模】
☆現在、ベンチャー企業のオフィスグッズ向け消耗品市場は極小規模。
・確認できる市場規模はわずか○千万円
・ここ10年で上昇傾向にはあるが、額の飛躍は鈍い
・新規設立も多いが倒産も多い

 

【理由2:最大手の独占】
☆ベンチャー企業向けに特化した確固たる競合がいる。
・最大手は早くからベンチャー市場に着手していた
・薄利多売で利益を度外視している
・収益よりも将来性

 

【理由3:自社の強みを生かせない】
☆弊社の強みはベンチャー市場で生かせない。
・弊社は丁寧なルート営業で紹介によりシェアを拡大してきた
・新規営業に対するノウハウがない
・実直な経営に定評がある

ピラミッドストラクチャーの活用事例

 ピラミッドストラクチャーを活用する前と後のレポートで特筆すべきなのは、その結論ではなりません。

 

ただ思いつくままに理由を箇条書きにしていたレポートが、大きな問い、小さな問い、そしてその根拠というようにしっかりと整理されています。

 

つまり文章が構造化されているのです。

 

これにより、レポート全体の説得力が増し、分析の経過と思考の過程が手に取るように分かるようになりました。

 

 

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