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因果関係の把握 その2

因果関係の把握 その2

【例題】
それでは、例題を通じて、因果関係を把握する重要性やその活用方法についてさらに掘り下げていきましょう。

 

どのような場面で因果関係が使われているのか、考えながら読み進めてみてください。

 

<例>
女性ならではの視点を生かしたweb系イラスト作成サービスを展開しているN社は、ビジネスをより大きく前に進めるために、新しい事業展開を模索していました。

 

メインのイラスト制作は利益率が高く、現在は受注量も上々なので、好況のうちに新事業への挑戦を画策しようという算段です。

 

代表のI社長が考えているのは、社員の能力にあわせた個々人の多角的な分野での活躍です。

 

たとえばI社長自身は、イラスト制作だけにとどまらず、モデルとしての仕事を受注したりホームページや動画制作のプロデューサーとしてもマルチに活躍しています。

 

今回の事業展開は、そうした自身の経験を生かしたものを発展させた構想でした。

 

イメージとしては、N社をそれぞれの社員がさまざまな能力を発揮するための、言わば「芸能事務所」のような会社にしたいと考えているのです。

 

個人個人が主にインターネットを通じて、ホームページやソーシャルメディアで積極的に情報発信できる現代では、あながち不可能なことではありません。

 

むしろ会社がバックアップすることにより、双方の強みを発揮できる可能性もあります。

 

そんな中、I社長はすでにマルチで活躍しているフリーのwebライターYさんをヘッドハンティングして、会社の取締役兼常務に迎え入れました。

 

右脳派のI社長を支える左脳派のパートナーとして、また、個人がマルチに活躍する方法論を学ぶための採用です。

 

ただ、今後の会社の方向性については相互に理解しているものの、具体的な戦略についてまだ見えていません。

 

まったく新しい事業に挑戦するということもあって、他社の事例をそのまま踏襲するのも難しいのが現状でした。

 

Y常務も、組織単位で個人を活躍させる手法に精通しているわけではありません。

 

そこでI社長は、戦略立案に長けているY常務に「成功する芸能事務所の作り方」を分析するように命じました。

 

今後の方針を決定するための判断材料を目に見えるレポートとして仕上げることはもちろん、入社したばかりのY常務にN社の歴史や業務実績を学ばせる狙いもあります。

 

数日後、Y常務が提出した分析結果は、とてもシンプルなものでした。

 

<成功する芸能事務所の原因と結果>
・原因:個々人の人脈の構築を最優先にする。
・結果:会社はバックアップに専念でき、社員が単体で仕事を取れるようになる。

 

<失敗する芸能事務所の原因と結果>
・原因:仕事をとってくるのは会社の営業マンのみ。
・結果:会社と社員とが、条件面や仕事内容に関して対立してしまい、良い人材が定着しない。

 

因果関係の把握

 

<解説>
Y常務は、N社の今後の事業展開を、成功する芸能事務所の因果関係に着目しつつ考案しました。

 

分析結果は上記の通りシンプルなものとなりましたが、とりあえずはI社長の納得を得られるだけのクオリティに仕上がっています。

 

あとは、この分析結果をベースにより詳細な行動計画へと落としこんで、社員とともに実行に移すだけです。

 

このように、因果関係を把握することは、すでに発生した問題への対応策を考案するだけでなく、未来思考の戦略立案にも活用することができます。

 

もちろん、良い結果が得られる原因は多岐にわたるのが通常ですが、悪い結果に陥る原因と並べることにより、成功への本質が見えてくるのですね。

 

繰り返しになりますが、ビジネスにおいて100%確実な正解は存在しません。

 

だからこそ、既存の数値データや実績、経験、一般常識、理論などを総動員しつつ、仮説ベースの「類推」を行うことが因果関係を正しく把握するきっかけとなります。

 

また、今回の事例では、Y常務はI社長を説得することができれば十分でした。

 

しかし、大きなプロジェクトにおけるプレゼンテーションや商談の場面では、より多くの関係者に対して、分析結果や今後の戦略について納得してもらわなければならないことを肝に銘じておきましょう。

 

 

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