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ゼロベース思考 その2

ゼロベース思考 その2

【ゼロベース思考の意義】
 ここで先述のZ部長とY課長それぞれの戦略からポイントをピックアップしてみます。

 

<Z部長の戦略>
☆過去の成功体験に基づいたもの

 

・単純な人海戦術
・昔ながらのやり方
・売れることが第一
・社員のモチベーションやお客さまの心理に配慮しない
・年功序列の配置

 

 

<Y課長の戦略>
☆ゼロベース思考

 

・人海戦術の余地を残して、種をまく
・過去の事例や既存の戦術は参考程度に
・地域の特性を冷静に分析
・社員のモチベーションやお客さまの心理に配慮する
・時代に則した考え方

ゼロベース思考ができている人とできていない人との比較

 ご覧のとおり、Z部長とY課長の考え方、そして戦略策定に至る認識は大きく異なります。
Z部長は経験をベースにした近視眼的な発想を元に、対するY部長はゼロベースの柔軟な思考から戦略を導き出しているのです。

 

 今回の事例ではたまたまY課長の提案が役員らの評価を得られたから良かったものの、もし会社の上層部に柔軟な発想力がなければ大変危険です。

 

Y課長の提案が聞き入れてもらえず、トップダウンでZ部長のやり方を無理やり実践しなければならないとすれば、Y課長がチームリーダーになった意味がありません。

 

ボトムアップで意見集約できない企業は、流れのない川のように、やがて汚れが沈殿する新陳代謝の悪い組織になってしまうのです。

 

 以上のことからゼロベース思考の意義が見いだせます。

 

斬新な発想ができる
柔軟な対応がとれる
既存の枠にとらわれない
時代の流れに沿うことができる
俯瞰的な視点で全体最適を導き出せる

 

 過去の成功ベース、経験ベースの思考法でどれだけ考えても、まだ見ぬサービスを生みだすことはできません。
そこにあるのは既存のサービスに付加価値をつけただけの“一見新しく見える”だけの古いやり方なのです。

 

現代は「イノベーション」の時代と言われています。イノベーションを生みだすために必要なのがまさにゼロベース思考と言っても過言ではないでしょう。

 

【ゼロベース思考の実践方法】
 このように、ゼロベース思考をすることによって、流れるような未来型の発想が次々と生まれてきます。
ぜひ現場で実践しつついち早くマスターしましょう。

 

具体的な実践方法は以下のとおりです。

 

<1.「できるorできない」ではなく「どうすればできるか?」>
 競合他社がひしめく市場においては零細企業が生き残ることはできない。そう考えてしまえば思考は停止してしまいます。

 

「できるかできないか」ではなく、「どうすればできるか?」に発想を切り替えて、その後に、実行可能性や投下資産などのバランスから再検討するようにしましょう。

 

 

<2.「目的」からスタートする>
 クリティカルシンキングにおいては前提や目的が不可欠です。前提は情勢によって変化しますが、目的はおおむね変わりません。

 

売上を上げることが目的であれば、過去の成功体験にしがみつくのではなく、ゴールまでの道筋を分析し、最善の施策を行うようにしましょう。

 

<3.既存の枠を取り払う>
 人間に思考のクセがあるように、組織にも意思決定の傾向があります。
迷った時に立ち返る指標と言っても良いでしょう。

 

ただ、その指標が既存の枠となり、最適解を得る邪魔をすることがあります。
大切なのは枠を意識すること。そうすることで初めて取り除くことができるのです。

 

<4.相手の視点から考えてみる>
 交渉が下手な人というのは、概して相手の視点で物事を考えられていないものです。
しかしビジネスは相手があってこそ成り立つということを忘れてはなりません。

 

相手の視点に立てば「どんなニーズがあるのか?」「なにがネックとなっているのか?」が見えてきます。
自社の都合は、ユーザーには関係のないことなのです。

 

<5.真逆・斬新>
 多角的な視点をもてば発想にも変化が生まれます。
いつもストレートに勝負していては、時代の変化に対応することはできません。

 

「すべてのお客さまにご満足いただく」から「お客さまのセグメントを意識する」へ。
あるいは「家で楽しむ音楽」から「外に持ち歩く音楽」へ。発想を固定しないことが大切です。

 

通常の思考法とゼロベース思考の比較

 

【注意点】
 ただし、ゼロベース思考も万能ではありません。次のような欠点を認識して注意するようにしましょう。

 

<注意点1.盲目的にならないこと>
 斬新な発想を追い求めることに夢中になると、過去の事例を甘く見てしまう場合があります。
基礎を疎かにすれば応用しても中身が薄くなるということを理解しておきましょう。

 

<注意点2.決断に時間をかけ過ぎないこと>
 ゼロベース思考にとらわれるあまりに、決断までの時間をかけ過ぎてはいけません。
すべてを網羅するのは不可能です。
あらかじめ締切を設けるなどして、意思決定の速度をあげましょう。

 

【まとめ】
・ゼロベース思考とはゼロから物事を考える思考法である

 

・ゼロベース思考によって最適解が導き出せる

 

・実践によってゼロベース思考は身につけられる

 

クリティカルシンキングにゼロベース思考は不可欠

 

 

前のページ 「ゼロベース思考 その1」

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