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ITを活用した経営戦略(コピー)

今回はITを活用した経営戦略について説明していきます。

 

この文章を読むことで、IoTの概要やビッグデータの活用について学ぶことができます。

 

デジタル化の波

 

昨今、デジタル化の波は短期間で多くのイノベーションを生み出してきました。

 

産業構造をも変革してしまう破壊的イノベーションとなり、これまで安泰だった企業にも大きく影響しています。

 

多くの企業が自社のホームページを持ち、インターネット広告を出して集客を行い、最近ではSNSを活用したマーケティングなども多く行われるようになってきました。

 

そして、第二の波がすごそこまで押し寄せています。

 

モノのインターネット」と呼ばれる、IoT(Internet of Things)です。

 

あらゆるモノがインターネットに繋がれば、データをリアルタイムに入手して分析することも、顧客に納品した製品のファームウェア(電子機器に希望の動作をさせるためのソフトウェア)を随時更新して新しい機能を追加することもできます。

 

こうした「変化」を活かして新しいビジネスモデルを創り出すことができれば、製品やサービスの競争力を大幅に強化したり、新たな収益源を確保することができます。

 

IoTはこれまでとは次元の違ったイノベーションを生み出す可能性を秘めており、各企業にとっては大きなビジネスチャンスが到来しています。

 

すでにIoTによって新しいビジネスを創出したり、大幅なコスト削減を実現した企業もあります。

 

IoTから得られるデータ

 

昨今、「IoT」や「インダストリー4.0」といった単語が潮流となていますが、そもそもIoTとは何か、あるいはIoTで獲得できるデータは今までと何が違うのかというと、以下4つの点を用いて、従来のデータ活用との違いが説明できます。

 

?オフライン・バッチデータ ⇒ リアルタイム分析・アクション

 

これまでは振り返り分析を行うためや月次業務などのPDCAに寄与していたが、現在はリアルタイム分析が行えるために意思決定の柔軟化、早期化に対応できるようになっています。

 

?瞬間的なデータ ⇒ 継続的なモニタリング

 

データ取得の継続性、蓄積性に乏しく、瞬間的なデータによる理解にとどまっていましたが、データの継続モニタリングによる規則性の発見や業務の高度化に寄与しています。

 

?非定型データのみ活用 ⇒ 非定型データの分析

 

従来は非定型データ(画像や音声データなど)を取得しても使いどころがありませんでしたが、技術の進展によって非定型データの分析も行えるようになっています。

 

?現場性 ⇒ 遠隔性

 

現場の実態は現場でしか把握できませんでしたが、現場から離れたところでもデータを取得して把握できるようになっています。

 

itを活用した経営戦略1

 

IoT活用により得られる想定成果

 

実際にIoTデータを活用することで得られるビジネスや業務上の成果は、大きく次の3つのステップで捉えることができます。

 

第1ステップ:機器・設備の予測保全による生産性向上

 

第2ステップ:サービス売りへのビジネスモデル転換

 

第3ステップ:動的な消費者理解とそれに基づく、工場をも巻き込んだ新たな体験価値提供

 

第1ステップ

 

車輌や機械に搭載されたセンサーからその稼働情報をリアルタイムに収集・蓄積し、分析することにより、故障などに向けた予測保全に役立てることができます。

 

このような取り組みは、多くの企業で進められており、生産性向上や業務効率化に役立てられています。

 

第2ステップ

 

先進的な企業では第2、第3ステップへと取り組みを進化させています。

 

まず第2ステップの取り組み事例として、「スペインのバルセロナのコメディ劇場Teatreneu」のケースが挙げられます。

 

同劇場では「入場料無料、ひと笑い0.3ユーロ(上限24ユーロ)」という課金体系を採用しています。

 

座席の背もたれに設置されたカメラで入場者の顔の映像を捉え、表情認識技術を用いて笑顔を検知することで、課金される仕組みを構築しています。

 

同劇場ではこうした取り組みの結果、売上25%アップを達成しています。

 

別の事例として、タイヤ製品を取り扱っているミシュランでは、タイヤに埋め込まれたセンサーから割り出した走行距離に応じて課金するという、まったく新しい発想のビジネスモデルを立ち上げています。

 

これらの事例は、IoTデータの活用が単に生産性向上や業務効率化だけではなく、より競争力の高いビジネスモデルへの転換に寄与するということを示しています。

 

第3ステップ

 

第3ステップの事例は、バイクメーカーであるハーレー・ダビッドソンの事例が挙げられます。

 

同社では、「Build your own bike(自分のバイクを造ろう)」と銘打つWebサイトを開設。

 

顧客はバイク購入時に、車輪やマフラー、シート、ハンドルなどの様々なパーツを選択し、好みに応じてそれらを組み合わせて「自分だけのバイク」をオーダーするという、マス・カスタマイゼーションの仕組みを提供しています。

 

顧客がカスタマイズしたバイクの注文は、同社の工場へと通知されます。

 

その工場はスマートファクトリーとして刷新され、隅々まで電子化されており、すべての製造・工作機器と移動機器は、取り付けられたセンサーによって、稼働状態や位置がモニターされています。

 

1台ごとに仕様が異なる製品をスムーズに生産可能なのは作業手順が標準化されているためです。

 

作業員は目の前にある画面の指示に従って、製品を組み立てればよい状況を創り出しています。そのため、作業に対して熟練工である必要がありません。

 

この結果、同工場では労働者数を半減させることができました。

 

ビッグデータの活用

 

ここまでにIoTの活用を説明してきましたが、デジタル化やIT技術の進展によってデータの蓄積可能量、分析可能なデータ量は爆発的に増えています。

 

そこで注目されているのはビッグデータ活用になります。

 

ビッグデータの活用は、企業にとって新しいビジネスモデルを生み出すものとして期待を持たれています。

 

しかし、その期待を実現させるためには経営者自らがデータに対する意識を変えていくことや、情報分析やマーケティング、経営についての知見を併せ持つ新しいタイプの人材(データサイエンティスト)が必要とされています。

 

 

そもそも、ビッグデータとはどういったものなのでしょうか。

 

企業内のデータウェアハウスの分析との違いは、3つのVで表現されます。

 

大容量(Volume)であり、多様性(Variety)であり、そして新鮮さ(Velocity)を持つデータを合わせて、リアルタイムに更新される情報を分析していくこととなります。

 

ビッグデータは人間では気付けなかった新しい知見をもたらし、単なるマーケティングツールではなく、様々な社会問題への解決に寄与しています。

 

ビッグデータの価値を正しく理解し、上手に活用していく態度が求められています。

 

ビッグデータ活用の事例:コマツ

 

ビッグデータ活用で有名な事例として、建設機械のコマツが挙げられます。

 

同社の建設機械には、車両の状態や稼働状況をチェックするセンサーやGPS装置が取り付けられており、各車両のデータを通信衛星回線や携帯電話回線を通じてコマツのサーバーに自動的に送信、集積しています。

 

コマツ機械稼働管理システム「KOMTRAX(コムトラックス」と呼ばれるシステムとして運用されています。

 

これによって、顧客一人ひとりのニーズや使用状態に合わせた建設機械の個別のフォローアップ、まさにその顧客固有のニーズを理解し、個別にマーケティングを行うことを可能としています。

 

ITの進展によって個々の顧客対応が、従来とは比べものにならないくらい容易に、低コストで実現できるようになっています。

 

 

コマツのすごいところは、データを保守・運用以外でも活用したことにあります。

 

集積したデータを地域ごとに集計・分析 し、世界の市場動向の読み取りに使っています。

 

稼働状況が高い地域や企業では新規需要が発生する可能性が高いので、営業を強化することにより販売増を狙えます。

 

一方、政府の金融引き締めや公共投資の削減などで稼働状況が低くなったら、早めに生産を絞り、在庫調整に入ることも可能です。

 

ビッグデータの活用に当 たっては、経営戦略という全社的な観点からこれを俯瞰し、全体最適を見据えた活用を行う必要があります。

 

グローバル化とIT

 

ビジネスのグローバル化に対応するためには、国境を越えた業務連携や情報共有が必要となり、ITにも重要な役割を担うことが期待されています。

 

これまでは、海外拠点の展開にあたって、連絡や情報交換を図るための電子メールや情報共有基盤の整備、連結決算のための会計システムの展開などに取り組んできました。

 

その一方で、販売管理や生産管理といった事業に直結する業務システムは、各国の商習慣や法律といったいわゆるローカルな要件に対応するために各拠点で個別に導入することが多かったのも事実です。

 

販売拠点や生産拠点を個別に展開していた時代は、業務指示や報告を電子メールで送信し、時差がある場合は翌日海外法人で対応する、売上げや経費のデータを月次でファイル転送するといった方法でも問題なくオペレーションや管理が遂行されてきました。

 

しかし、近年より緊密な情報共有や業務連携が求められるようになってきています。

 

ダイナミックなグローバルビジネスを支えるために、ITのグローバル化を進める重要な取り組みが統合化グローバルな規模での最適化です。

 

まとめ

 

企業を取り巻く経営環境の変化のスピードが激しくなっています。

 

このような状況下で迅速な意志決定をするためにはITの活用が不可欠となっています。

 

IT部門、さらにはそれをリードするCIO(最高情報責任者)への期待も高まっています。

 

今後は、IT活用のあり方がビジネスの成否を決めると言っても過言ではありません。IoTやビッグデータの活用にいち早く取り組むことで、他社より一歩抜きんでることができるかもしれません。

 

ビジネスへのIT活用はまだまだ多くの可能性を秘めていると言っていいでしょう。

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