経営を学ぶ-経営学・MBA・起業・ネットビジネス・リアルビジネスなど

経営を学ぶ~経営学・MBA・起業~

ブラック-ショールズの公式

【ブラック-ショールズの公式とは】
ブラック-ショールズの公式とは、株価が上がるか下がるで考える二項過程モデルを、連続したものとして捉えてプレミアムを算出する計算方式です。

 

ブラック-ショールズの公式は、1970年代にアメリカ出身のフィッシャー・ブラックとカナダ出身のマイロン・ショールズによって発表されたオプションのプレミアムの計算モデルです。

 

ブラック-ショールズの公式は、一般的には以下の計算式で表します(コールオプションの場合)。

 

C = SN(d1)−e−rtKN(d2

 

C : コールのプレミアム

S : 対象資産の株価

N(d1)、N(d2) :累積確率

e−rt : 金利(rはリスクフリーレート、tは期間)

K : 行使価格

 

 

いきなり計算式を見ると、非常に複雑に思えますが、考え方は原則として二項過程モデルと同じです。

 

そして「SN(d1)」が対象資産に対する投資、「e−rtKN(d2)」が借入です。

 

この計算式の詳細な解説は省略しますが、このブラック-ショールズの公式は、現在のオプションのプレミアムの計算理論の基礎となっている計算式です。

 

例えば「SN(d1)」の値は対象資産の株価が上昇すれば大きくなります。

 

そしてこの値は、計算式からはわかりにくいですが対象資産の株価の「ボラティリティ」にも依存しています。

 

ボラティリティとは、「価格の変動率」のことです。

 

例えば100円の株価が120円になるのと200円になるのでは、200円になるほうがボラティリティが高いというような言い方をします。

 

1.2倍よりも2倍のほうが変動率が大きく、ボラティリティは高いということです。

 

このような株式の場合は、「SN(d1)」の値が上昇し、コールオプションのプレミアムは高くなります。

 

株価が行使価格を上回り、買い手が権利行使する可能性が高まるためです。

 

また、「e−rtKN(d2)」を見ると、金利はその「期間」にマイナスの依存をしていることがわかります。

 

これは満期日までの期間が長くなるほど、「e−rtKN(d2)」の値が小さくなることを意味しています。

 

よって、このような場合も借り入れの金額が少なくなるため、コールオプションのプレミアムは大きくなるのです。

 

 

【オプションに関するまとめ】
ここまで、オプションに関してその概要やプレミアムの計算方法などを学んできました。

 

ここで、オプション理論をファイナンスに応用する前に、オプションについて簡単にまとめてみましょう。

 

 

・オプションはデリバティブ(派生)商品の1つである。

 

・オプションとは、「コール(買う権利)」や「プット(売る権利)」という「権利」を売買することである。

 

・オプションは買い手に権利行使の義務はなく、売り手には権利行使に応じる義務がある。

 

・買い手は権利行使の義務がない分、その対価としてプレミアムを支払う。

 

・売り手は権利行使に応じる義務があるため、損失が拡大しないようにプレミアムと借り入れを元にリスクヘッジの取引を行う。

 

・売り手のリスクヘッジの取引内容により、オプションのプレミアムが決定する。

 

・プットとコールには、プット・コール・パリティと呼ばれる相関関係がある。

 

・オプションのプレミアムは、対象資産の価格を行使価格が上回っている場合はコールの行使の可能性が低くなるためにプレミアムが低くなり、逆にプットのプレミアムが高くなる。

 

・原則として、プレミアムは株価が上昇あるいは下落する「確率」ではなく、現在の株価やボラティリティ、満期日までの期間によって変動する。

 

 

オプションは慣れていなければ、買う権利や売る権利の買いや売りなどの表現により、わかりにくく感じることがあります。

 

そしてプレミアムの計算式も複雑なため、突き詰めようとすると決して簡単と言えるものではありません。

 

しかし、まずは考え方や損益のグラフなどを理解するだけでも、その考え方は理解できるようになるはずです。

 

オプションをファイナンスに応用する場合には、まずは「ある程度の理解」から始め、少しずつ慣れていくように心がけましょう。

関連ページ

運転資金を即日調達する方法「ファクタリング」とは?【Q&A付き】
財務諸表とファイナンス その1
財務諸表とファイナンス その2
資金計画を考える
ファンダメンタル価値理論と砂上の楼閣理論
資金調達方法(負債と自己資本) その1
資金調達方法(負債と自己資本) その2
資金調達方法(負債と自己資本) その3
NPVによる投資評価 その1
NPVによる投資評価 その2
IR(インベスター・リレーションズ)とは
IRR(Internal Rate of Return:内部収益率)
リースファクター(年金現価係数) その1
リースファクター(年金現価係数) その2
負債を活用した場合のNPV
M&A(企業の合併・買収) その1
M&A(企業の合併・買収) その2
企業経営とキャッシュフロー概念 その1
企業経営とキャッシュフロー概念 その2
MVA(Market Value Added:市場付加価値)
NPVの注意点
資本コスト算定の注意点
NPVとAPVの関係
NPV(Net Present Value:正味現在価値)
CAPMの公式と解明 その1
CAPMの公式と解明 その2
最適資本構成とMM理論 その1
最適資本構成とMM理論 その2
オプションを理解する その1
オプションを理解する その2
永続価値を理解する その1
永続価値を理解する その2
PI(Profitability Index:収益性指標)
ポートフォリオの拡張と最適ポートフォリオ
プレミアムの算定(二項過程モデル、ヘッジレシオ、プット・コール・パリティ) その1
プレミアムの算定(二項過程モデル、ヘッジレシオ、プット・コール・パリティ) その2
プレミアムの算定(二項過程モデル、ヘッジレシオ、プット・コール・パリティ) その3
現在価値を理解する その1
現在価値を理解する その2
現在価値の計算
利益還元政策を理解する その1
利益還元政策を理解する その2
「格付け」を理解する
リアルオプションを理解する
リスクとリターン その1
リスクとリターン その2
リスクとリターン その3
リスクを理解する その1
リスクを理解する その2
リスクとポートフォリオ その1
リスクとポートフォリオ その2
証券化とは
ファイナンスのための統計学基礎
経営戦略とファイナンス その1
経営戦略とファイナンス その2
埋没コストと機会費用
株価の理論値を理解する その1
株価の理論値を理解する その2
バリュエーションを理解する
資本コスト(WACC)を理解する その1
資本コスト(WACC)を理解する その2
ブラック-ショールズの公式
回収期間(Payback)法と会計上の収益率 その1
回収期間(Payback)法と会計上の収益率 その2
株主に報いるには
ファイナンスとは
「儲け」とは
APV(Adjusted Present Value:調整現在価値)
β(ベータ)を理解する
CAPM(Capital Asset Pricing Model)とは
キャッシュフローを理解する その1
キャッシュフローを理解する その2
キャッシュフローを理解する その3
連結決算が企業価値に与える影響
コーポレートガバナンス(企業統治)を理解する その1
コーポレートガバナンス(企業統治)を理解する その2
企業価値を理解する
負債コストとオプションの関係
経営の多角化が企業価値に与える影響
効率的市場仮説とランダムウォーク
EVA(Economic Value Added:経済的付加価値)
財務レバレッジとβ(ベータ) その1
財務レバレッジとβ(ベータ) その2
財務レバレッジとβ(ベータ) その3
財務政策を理解する