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コーポレートガバナンス(企業統治)を理解する その1

コーポレートガバナンス(企業統治)を理解する その1

【コーポレートガバナンス(企業統治)を理解する】
外部や内部の関係者に経営戦略を理解してもらい、社内の不正などをなくし、リスクとリターンをバランスよく考慮するために必要な考え方が、コーポレートガバナンスと呼ばれるものです。

 

コーポレートガバナンスは企業統治とも呼ばれ、主に株式を上場している上場企業に求められていた考え方でしたが、現在では上場企業だけではなくあらゆる会社の経営になくてはならない考え方となっています。

 

ここではコーポレートガバナンスについて学んでいきましょう。

 

 

【コーポレートガバナンスとは】
上述したようにコーポレートガバナンスは日本語では企業統治と呼ばれています。

 

そしてコーポレートガバナンスには様々な考え方が存在しますが、一般的には大きく以下の2つの意味があるとされています。

 

 

1.会社の経営戦略などをチェックすることで収益を拡大し、企業価値を増大させる。
これはコーポレートガバナンスの根本的な役割です。

 

会社はファイナンス的に見ると企業価値を高めることにその使命があると捉えられ、その場合このことはごく自然とも言えます。

 

しかし、まさにそこにコーポレートガバナンスの難しさがあります。

 

なぜなら、企業価値を高めることは株主利益に貢献することではあっても、例えば債権者や従業員にとっては必ずしもそうではない場合があるためです。

 

例えばキャッシュフローの改善が見込める新規事業への参入は、株主にとってはリターンの増加が見込まれることから歓迎すべきものになるケースが多いと言えます。

 

しかし債権者にとってはリスクの増大となることが考えられるために、必ずしも歓迎されるとは限りません。

 

また、逆に不採算事業からの撤退についても同様です。

 

株主には正しいと捉えられたとしても、その事業に従事していた従業員にとっては職場を失うことにもなりかねません。

 

このように、コーポレートガバナンスは「誰にとってよいことをすべきなのか?」という大きな課題を抱えた問題であると言えます。

 

 

2.会社の独断や不正などをチェックし、防ぐ。
二つ目のコーポレートガバナンスの目的は会社の独断や不正を防ぐことです。

 

これは比較的わかりやすい目的であると言えます。

 

例えば経営陣が独断で「自分たちにとって都合のよい」経営を行っている場合、その経営は会社のためにはならず、結局破綻していくケースがよく見受けられます。

 

また、会社の規模が大きくなった場合などにありがちなこととして、「現場の不正に気づかない」ということがあります。

 

会社が小規模なうちは不正は見つけられやすくても、大きくなっていくと案件などが複雑になり、会社が現場を把握できていないというケースが多くなるのです。

 

このような独断や不正を防ぐということも、コーポレートガバナンスの大きな目的の1つです。

 

なお、このような会社内部の独断や不正を防ぐため、現在の会社法などでは社外取締役や監査役の役割を重視する傾向にあります。

 

 

【これまでのコーポレートガバナンス】
ではここで、これまでのコーポレートガバナンスについて考えてみましょう。

 

これまでの日本の会社は、比較的株主よりも債権者や従業員に重きを置くケースが多かったと言えます。

 

これには様々な理由が考えられます。

 

例えば日本の会社には「株主 = 経営者」といういわゆるオーナー企業が多い、終身雇用などで従業員とのつながりを大切にするという風潮が強い、ことなどを挙げることができます。

 

そしてファイナンス的には、日本の会社は金融機関とのつながりが強いということもその理由の1つです。

 

日本の会社は資金調達を主に金融機関からの借り入れで行っているということです。

 

日本では特に小さな会社に対する資金の出し手(株主)が欧米などの諸外国に比べて少なく、最近でこそベンチャーキャピタルやエンジェルといった投資家がよく新聞などで報道されるようになりましたが、それでもその規模はまだまだ小さいものです。

 

そしてそのような投資家は、大きなリスクを取ることからリターンも大きなものを要求します。

 

結果、いわゆる昔ながらの中小企業などは金融機関からの借り入れで資金を調達しているのが現状です。

 

このため、一部の大企業などを除いては「株主重視」という考え方が浸透していないのです。

 

その考え方の良し悪しは別として、日本のコーポレートガバナンスは、現在変わりつつあるものの、やはり金融機関や内部のステークホルダーを中心に考える傾向が強いと言えます。

 

 

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