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財務レバレッジとβ(ベータ) その2

財務レバレッジとβ(ベータ) その2

【財務レバレッジとβの関係(法人税が存在しない場合)】
ではいよいよ、財務レバレッジとβの関係について考えてみましょう。

 

ここでは法人税の節税効果をわかりやすくするために、まずは法人税が存在しない場合で考えてみましょう。

 

 

≪財務レバレッジが1の場合≫
財務レバレッジが1の場合、O社の収益は以下のように変化します。

財務レバレッジとβ(ベータ)

ここでO社のROAとROEを計算してみます。

 

・円高
ROA = 9%
ROE = 9%

 

・円安
ROA = 12%
ROE = 12%

 

・不変
ROA = 10%
ROE = 10%

 

・景気の悪化
ROA = −5%
ROE = −5%

 

 

≪財務レバレッジが2の場合≫
次に財務レバレッジが2の場合を考えてみます。

 

財務レバレッジが2の場合、負債利息が発生してO社の収益は以下のように変化します。

財務レバレッジとβ(ベータ)

そしてここでもO社のROAとROEを計算してみます。

 

・円高
ROA = 9%
ROE = 14%

 

・円安
ROA = 12%
ROE = 20%

 

・不変
ROA = 10%
ROE = 16%

 

・景気の悪化
ROA = −5%
ROE = −14%

 

 

これをまとめると、以下のようになります。

 

財務レバレッジとβ(ベータ)

 

ROAはまったく同じですが、ROEは財務レバレッジが1の場合に比べ、大きく変化していることがわかります。

 

ここで、変化しているROEのリスクを見るために、財務レバレッジが1の場合と2の場合のROEの期待収益率と偏差、分散、そして標準偏差(リスク)を計算してみましょう。
(ここでは計算上、円高、円安、不変、景気の悪化がすべて同じ確率(25%)で発生すると考えます。)

 

 

・期待収益率
[財務レバレッジが1]
(9+12+10+(−5))÷4 = 6.5

 

[財務レバレッジが2]
(14+20+16+(−14))÷4 = 9

 

期待収益率は財務レバレッジが1が6.5%、財務レバレッジが2が9%です。

 

 

・偏差
[財務レバレッジが1]
円高 9−6.5 = 2.5
円安 12−6.5 = 5.5
普遍 10−6.5 = 3.5
景気の悪化 (−5)−6.5 = −11.5

 

[財務レバレッジが2]
円高 14−9 = 5
円安 20−9 = 11
普遍 16−9 = 7
景気の悪化 (−14)−9 = −23

 

 

・分散

 

[財務レバレッジが1]
(2.52+5.52+3.52+(−11.5)2)÷4 = (6.25+30.25+12.25+132.25)÷4 = 45.25

 

[財務レバレッジが2]
(52+112+72+(−23)2)÷4 = (25+121+49+529)÷4 = 181

 

分散は財務レバレッジが1が45.25、財務レバレッジが2が181です。

 

 

・標準偏差
[財務レバレッジが1]
√45.25 ≒ 6.73 

 

[財務レバレッジが2]
√181 ≒ 13.45 

 

標準偏差は財務レバレッジが1が6.73、財務レバレッジが2が13.45です。

 

 

つまり、財務レバレッジが2倍になることは、そのリスクも2倍になることを意味しています。

 

法人税を考えない場合は、財務レバレッジがそのままリスクとなり、βの値を同じだけ上昇させているということです。

 

 

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