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リスクとポートフォリオ その2

【ポートフォリオとは】
では次にポートフォリオについて考えましょう。

 

ポートフォリオとは、リスクを回避するための様々なタイプの株式や債券などの組み合わせのことです。

 

そして今回はO社とP社に半分ずつ投資してポートフォリオを組むと考えましょう。

 

すると、投資した金額はO社、P社の収益の半分ずつをリターンとして受け取ることができます。

 

これを具体的に計算してみると、以下のようになります。

 

 

・円高の場合
・O社への投資分(50%)の期待収益率 −10%×0.5 = −5%
・P社への投資分(50%)の期待収益率 15%×0.5 = 7.5%

 

・O社、P社への投資合計
 −5%+7.5% = 2.5%

 

 

・円安の場合
・O社への投資分(50%)の期待収益率 20%×0.5 = 10%
・P社への投資分(50%)の期待収益率 −10%×0.5 = −5%

 

・O社、P社への投資合計
 10%+(−5%) = 5%

 

 

・不変の場合
・O社への投資分(50%)の期待収益率 0%×0.5 = 0%
・P社への投資分(50%)の期待収益率 5%×0.5 = 2.5%

 

・O社、P社への投資合計
 0%+2.5% = 2.5%

 

 

・O社、P社に50%ずつ投資した場合の期待収益率
 2.5%×0.2+5%×0.4+2.5%×0.4 = 0.5+2+1 = 3.5%

 

 

ここでこれまでの計算結果をまとめてみましょう。

 

リスクとポートフォリオ

 

期待収益率とそれぞれの環境下でのリターンを比較すると、以下のようになります。

 

 

・期待収益率
O社だけに投資(6%)>O社とP社に50%ずつ投資(3.5%)>P社だけに投資(1%)

 

・円高の場合のリターン
P社だけに投資(15%)>O社とP社に50%ずつ投資(2.5%)>O社だけに投資(−10%)

 

・円安の場合のリターン
O社だけに投資(20%)>O社とP社に50%ずつ投資(5%)>P社だけに投資(−10%)

 

・不変の場合のリターン
P社だけに投資(5%)>O社とP社に50%ずつ投資(2.5%)>O社だけに投資(0%)

 

 

まず、期待収益率はO社だけに投資した場合に比べて低くなっていますが、P社に投資する場合に比べて高くなっています。

 

そしてO社、P社それぞれに個別に投資する場合はマイナスになるリスクがあるのに対し、O社とP社に50%ずつ投資するというポートフォリオを組んだ場合は、マイナスになるリスクがなくなっています。

 

個別に投資した場合に比べて、ローリターンではあってもローリスクになる、これがポートフォリオの考え方です。

 

実際にはこのようなわかりやすい動きにはなりませんが、確率的には個別に投資を行うのではなく、ポートフォリオを組むほうが「リスクを分散できる」ということがわかります。

 

これが、特定の会社で起きたリスクについては回避が可能であるという意味です。

 

ただ、ポートフォリオへの組み入れ方を間違えて、この場合だと例えば輸出関連企業だけに投資してしまった場合は、リスク分散の効果は減少してしまいます。

 

しかし、少なくとも個別の会社で起きたリスクについては回避が可能ということにはなります。

 

このように、ポートフォリオには様々な考え方や手法があり、どの組み合わせが最もよいかについてはじっくり検討しなければなりませんが、一般的にはポートフォリオに組み入れる投資先を増やせば増やすほど、そのリスクは減少する傾向にあると考えられています。

 

そしていわゆる投資信託などは、このポートフォリオの効果を最大限に取り入れることを目標とした金融商品です。

 

投資信託が受け入れられやすいのは、個別株などへの投資に比べてポートフォリオを駆使しているためにローリスクであることが理由です。

 

しかし、もちろんこの場合も「マーケットリスク」は変わらず発生する可能性があります。

 

よって投資信託も必ずしもリスクがないということにはならず、あくまでもリスク資産であるという認識が必要です。

 

ここでは期待収益率とポートフォリオという考え方を理解し、ポートフォリオにはリスク分散の効果があるということを頭に入れておきましょう。

 

 

前のページ 「リスクとポートフォリオ その1」

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