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リスクとリターン その3

リスクとリターン その3

【リスクとリターンの計算方法2(ポートフォリオ)】
次に、O社とP社に半分(50%)ずつ投資してポートフォリオを組んだ場合について考えてみましょう。

 

・ポートフォリオの収益率の変化
円高:収益が2.5%アップ
円安:収益が5%アップ
不変:収益が2.5%アップ
期待収益率:3.5%

 

 

≪偏差≫
円高:2.5−3.5 = −1 
円安:5−3.5 = 1.5
不変:2.5−3.5 = −1

 

 

≪分散≫
((−1)2×0.2)+(1.52×0.4)+((−1)2×0.4) = 0.2+0.9+0.4 =1.5

 

 

≪標準偏差≫
√1.5 ≒ 1.22

 

ポートフォリオの期待収益率は1.5%、標準偏差は1.22です。

 

リスクは大幅に軽減されています。

 

そして収益率が0.28%から2.72%となる確率が68.3%です。

 

そして、現在は資産の半分(50%)ずつをO社とP社に投資していますが、この比率を変えた場合にどうなるかを考えてみましょう。

 

まずO社に10%、P社に90%投資した場合です。

 

その場合の期待収益率、偏差、分散、標準偏差は以下のようになります。

 

 

≪期待収益率≫
・円高の場合
・O社への投資分(10%)の期待収益率 −10%×0.1 = −1%
・P社への投資分(90%)の期待収益率 15%×0.9 = 13.5%
・O社、P社への投資合計 −1%+13.5% = 12.5%

 

 

・円安の場合
・O社への投資分(10%)の期待収益率 20%×0.1 = 2%
・P社への投資分(90%)の期待収益率 −10%×0.9 = −9%
・O社、P社への投資合計 2%+(−9%) = −7%

 

 

・不変の場合
・O社への投資分(10%)の期待収益率 0%×0.1 = 0%
・P社への投資分(90%)の期待収益率 5%×0.9 = 4.5%
・O社、P社への投資合計 0%+4.5% = 4.5%

 

 

・O社に10%、P社に90%投資した場合の期待収益率
12.5%×0.2+(−7%)×0.4+4.5%×0.4 = 2.5−2.8+1.8 = 1.5%

 

 

≪偏差≫
円高:12.5−1.5 = 11 
円安:(−7)−1.5 = −8.5
不変:4.5−1.5 = 3

 

 

≪分散≫
(112×0.2)+((−8.5)2×0.4)+(32×0.4) = 24.2+28.9+3.6 =56.7

 

 

≪標準偏差≫
√56.7 ≒ 7.53

 

 

期待収益率は1.5%、標準偏差は7.53です。

 

これを数値を20:80、30:70〜80:20、90:10までを繰り返し、最終的に期待収益率、分散、標準偏差を計算すると以下のようになります。

リスクとリターン

そして横をリスク、縦をリターンとしてそれぞれのリスクとリターンを図示してみましょう。

 

リスクとリターン

 

このように、50:50の割合で保有した時、リスクに対するリターンが最も高いことがわかります。

 

そしてよく見てみると、図の下半分(Bの部分)は、リスクが高く、リターンは低くなっています。

 

Bの部分については、確実にそれ以上にリターンが望める組み合わせがあるということです。

 

それがAの部分です。

 

50:50の点から始まるAの部分は「効率的フロンティア」と呼ばれ、リスクは低く、かつリターンが高くなる部分です。

 

そして投資家は当然リスクは低く、リターンは高くしたいと考えるため、この効率的フロンティアでしか運用を行わなくなります。

 

効率的フロンティア以外のポートフォリオ(Bの部分)は、常に「それ以上の組み合わせが存在する」と考えられるためです。

 

そして投資家は効率的フロンティアの中でリスクとリターンを考慮してポートフォリオを組むことになります。

 

 

【リスクとリターンの計算方法3(共分散と相関)】
次に「どのようなポートフォリオが最も望ましいかについて考えてみます。

 

上記のポートフォリオで効率的フロンティアが生まれるのは、O社とP社が為替変動によって収益が「反対になる」ことから来ています。

 

これは共分散や相関を見ることでわかります。

 

共分散とは、2つのデータの標準偏差をかけあわせて加重平均を取ったものです。

 

ではO社とP社の共分散を計算してみましょう。

 

 

≪共分散≫
円高:(−16)×14 = −224
円安:14×(−11) = −154
不変:(−6)×4 = −24

 

(−224)×0.2+(−154)×0.4+(−24)×0.4 = −44.8−61.6−9.6 ≒ −116

 

 

そして共分散を2つのデータの標準偏差の積で割ったものが相関です。

 

≪相関≫
−116÷(12×9.7) = −116÷116.4 ≒ −0.997

 

O社とP社の相関が「−0.997」ということです。

 

そして相関には以下のような特徴があります。

 

・相関が1の場合:2つのデータはまったく同じく動く
・相関が0の場合:2つのデータは関連なく動く
・相関が−1の場合:2つのデータはまったく逆に動く

 

これはO社とP社の収益が「ほぼまったく逆に動く」ことを意味しています。

 

そしてこのような場合に、ポートフォリオのリスク分散効果は最も高くなります。

 

相関が「−1」に近ければ近いほど、リスクは分散されていきます。

 

しかし相関が1以外の場合、すなわち「−1≦相関<1」の場合でも、何らかのポートフォリオの効果は生まれます。

 

動きが「完全に一致」していない限りは、ポートフォリオにはリスクを分散する効果があるということです。

 

仮にO社と、O社と同じような動きをする輸出関連企業でポートフォリオを組んだとしても、相関が1(100%同じ動きをする)ではない限り、リスクは軽減されるということです。

 

 

【リスクとリターンのまとめ】
ここでリスクとリターンについて、まとめておきましょう。

 

・投資を行う場合、特に金融投資については期待収益率を上回る投資は行わない。

 

・ファイナンス的なリスクはマーケットリスクであるのに対して、個別投資のリスクは標準偏差である。

 

・標準偏差はσとも呼ばれ、「±σ」の中にデータの約70%が入る。

 

・標準偏差は個別投資よりもポートフォリオを組んだほうがリスクを軽減できる可能性が高い。

 

・リスクが低く、リターンが高いポートフォリオの組み合わせは「効率的フロンティア」と呼ばれる。

 

・ポートフォリオを組む際は、ポートフォリオ内の投資先の相関が「−1」に近いほどリスク分散効果が高い。

 

リスクとリターンについて、期待収益率や分散、標準偏差、また共分散や相関について理解を深めておきましょう。

 

 

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