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リスクを理解する その1

リスクを理解する その1

【リスクとは】
ここからは、「リスク」について学んでいきましょう。

 

どんなことでもよく言われることですが、何らかのリターンを得るためには、一定のリスクは避けられないものになります。

 

例えば株式投資は「株価が下落するかもしれない」というリスクを抱えており、車で便利に移動しようとすると、徒歩などの手段よりも「事故に合うかもしれない」というリスクを抱えることになります。

 

そしてそれは会社経営においても同様です。

 

仮に新事業に着手しようとしてもそれが成功するという保証はどこにもなく、常に「失敗して費用が回収できない」というリスクがつきまといます。

 

しかし、経営面でも特にファイナンス的に見た場合の「リスク」は、一般的に言われるリスクとはやや異なります。

 

ファイナンスを学習する場合は、「ファイナンス的に見たリスク」の意味を明確にしておかなければなりません。

 

よってまずここではリスクについて、以下のような例を考えてみましょう。

 

 

≪ケース1≫
政府が進めるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉が進む中、妥結すると貿易の自由化によって日本の農業が大打撃を受けるという試算がある。

 

≪ケース2≫
大手食品チェーン店A社でメニュー表示の偽装が発覚し、メディアなどで大々的に取り上げられたために顧客離れが起き、A社は経営面での打撃を受ける可能性がある。

 

≪ケース3≫
日本の専門家の間で南海トラフ地震の発生確率が高まっているという指摘が相次いでおり、行政は地震発生に備えて様々な対応を行っている。

 

≪ケース4≫
海外進出を進める自動車メーカーZ社が海外に建設した工場で、現地従業員との間で賃金をめぐるトラブルが発生、これによって現在は操業不能に陥っているため、生産に影響を与えて販売台数が減少する可能性がある。

 

 

これらはいずれも「リスク」です。

 

ケース1は農産物の生産者や農産物を取り扱う事業者にとって、ケース2は大手食品チェーン店A社にとっての大きなリスクです。

 

そしてケース3は地震が発生する可能性のある地域の住民、あるいは日本全体にとって、ケース4は自動車メーカーZ社にとっての大きなリスクとなります。

 

そして、これらのリスクはよく見てみると大きく2つのグループに分類できます。

 

まず、1つ目のグループは、ケース1とケース3、2つ目のグループはケース2とケース4です。

 

ではこれらのグループにはどのような違いがあるでしょうか?

 

 

【「ファイナンス的に見たリスク」グループ(ケース1とケース3)】

 

まず1つ目のグループであるケース1とケース3から考えてみましょう。

 

実はこのグループが「ファイナンス的に見たリスク」です。

 

なぜならこちらは「リスクがある」ことはわかっていても、その発生確率や頻度、範囲、度合いなどがすべて「不確実」なものだからです。

 

例えば「○○年○○月から消費税が○%増税される」というような場合はそれが発生することは「確実」です。

 

よってその影響は、ある程度定量的に推し量ることができます。

 

しかし、TPPは妥結するかどうかすら未定で、かつどのような形で決着するかもまだ不明です。

 

たとえ各国の政府同士で妥結したとしても、それぞれの国の国会で批准されるかどうかはわかりません。

 

南海トラフ地震も本当に起きるかどうかわからず、かつその規模もわかりません。

 

そこには起こるかもしれないという可能性があるだけです。

 

このような不確実な状況は「不確実性」と呼ばれ、ファイナンス的には不確実性を回避することはできないと考えられています。

 

そして上記の不確実性を表す代表的なリスクに、いわゆる「地政学的リスク」があります。

 

地政学的リスクとは、世界のある地域における政治や経済、戦争などの紛争などが全世界に与えるリスクのことです。

 

各国が様々な分野で世界進出を進めている現在では、この地政学的リスクは日増しに大きくなっていると言え、全世界にとって無視できないものになっています。

 

遠い国の政治や経済、紛争が自国に大きな影響を与えるようになっているのです。

 

また、個人情報などのセキュリティに関するリスクもそのうちの一つです。

 

情報漏洩やサイバーテロなどの事件報道が絶えないことからもわかるように、情報化が進んで様々な情報がデジタルデータ化されることにより、物理的な盗難行為がなくても不正アクセスなどによってデータだけが盗まれ、拡散するというリスクです。

 

セキュリティについても国境はなく、どこからどのような攻撃を受けるかは誰にもわからないのです。

 

これらの地政学的リスクやセキュリティに関するリスクは、「経済全体に影響を与える可能性があり」、かつどこで何が起こるかわからないという意味で「回避が不可能」です。

 

そして経済全体に悪影響を及ぼすということは、金融市場(マーケット)にも大きな影響を与えることになります。

 

ケース1やケース3のTPPや地震に関するリスクは、原則として日本国内の影響となりますが、意味合いはこれらと同じです。

 

紛争や政治、見えない技術や気候などについては、ある程度の予想を立てることはできても、その予想を正確に行うことは難しいと言えます。

 

これがファイナンス的にいう「リスク」なのです。

 

そしてこの経済全体に影響を与える可能性があり、かつ回避が不可能な不確実性のあるリスクは、別の言い方をすると「不透明なリスク」であるということもできます。

 

新聞などで「金融危機対応に対する不透明感が市場参加者の心理を悪化させ、日経平均株価の下落は一時300円を超えた」などの記事を見ることがあります。

 

「不透明感」とは、先行きの見えない状態です。

 

今後どうなるかわからないこの「不確実性の高い不透明感」が、ファイナンスの最も大きなリスクとなるのです。

 

なお、このリスクは市場全体に影響を与えるため、「マーケットリスク」と呼ばれています。

 

マーケットリスクは原則として預金や国債の購入などについてはその安全性が保証されているために発生しませんが、株式などの安全性が担保されていないものについては、避けられないリスクです。

 

ファイナンスでいうリスクとは、すなわち安全性が担保されていない市場で起こるマーケットリスクであるということです。

 

 

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