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バリュエーションを理解する

【バリュエーションを理解する】
バリュエーションとは何かということを考える前に、まず以下の例を見てみましょう。

 

≪例≫
自動車部品製造工場に勤めるMさんは、Nさんと昼休みに食事をすることになりました。

 

Nさんはこのところ新事業プロジェクトのファイナンス担当として忙しい日々を送っていたのですが、ようやくその目途が少し立ちそうだということで、Mさんに食事に行こうと誘ってきたのです。

 

ファイナンスを学び、新事業が気になっていたMさんはその進捗が聞けるかと考え、喜んでその誘いに応じました。

 

Mさんが早速新事業について聞いてみると、Nさんは少しほっとしたように話し出しました。

 

「これまで問題になっていた資本コストとキャッシュフローの問題については何とか解決しそうなんだ。今回の事業は営業部門が言う通り、将来性はあるからね。簡単に却下するというのは会社にとってもマイナスになる可能性がある。だからそれを見据えてバリュエーションの方法を少し変えてみたら、何とか着手ができそうな状態になったんだよ。」

 

バリュエーション?とM君は思いました。

 

Mさんはこれまでファイナンスを勉強してきましたが、まだバリュエーションという言葉は聞いたことがなかったからです。

 

Mさんはファイナンスは用語だけでも本当にいろいろなものがあるのだと思い、少し安堵しているNさんにその意味を聞いてみました。

 

「バリュエーションというのは、今回で言えば新事業を評価することだよ。例えば前回キャッシュフローと資本コストの関係はNPVを使って考えたんだけど、今回はそれを少し応用して違う考え方で事業評価をしたってことさ。ファイナンスはあくまでも未来を考えることだから、そこには絶対というものはないんだ。どんなバリュエーションを使うかで事業価値は変わるってことだよ。」

 

NPVという用語は、Mさんにとって聞いたことがあるようなないようなというものでした。

 

するとNさんは言いました。

 

「バリュエーションの中でもNPVは最も有名なものだし、君もすでにその概念は学んでいるはずだよ。キャッシュフローや現在価値、資本コストの概念がわかればNPVは計算できるんだ。ただ、バリュエーションの手法はNPVだけというわけではなくて、様々な手法がある。だからそのどれを採用するかによっても事業の価値が違ってくることもあるんだ。NPVは利点も多いけど、完全ではない。そしてそもそも完全なバリュエーションの手法というのはこの世には存在しない。だからそれを加味して別の手法を考えることもファイナンス担当者の仕事なんだよ。」

 

ほっとした表情を見せるNさんを見て、Mさんはファイナンスの奥の深さを知らされたような気がしました。

 

 

【バリュエーションとは】
バリュエーション(valuation)とは、事業や会社のバリュー(value)、つまり経済的な価値を評価することです。

 

よく物事の変化などを意味するバリエーション(variation)と間違えられることもありますが、これとは意味がまったく異なる用語です。

 

バリュエーションでよく知られるのは、例えば上場していない会社の企業価値を同業種のPER(株価収益率)などを参考にして判断し、その会社の時価総額を判断するという手法です。

 

これらはマーケットアプローチ、あるいはマルチプルなどとも呼ばれ、現在の企業価値を評価するバリュエーションの代表的な例です。

 

そしてここではまず、企業価値の前に事業の価値を評価する手法について学んでいきます。

 

事業の価値評価の根本的な考え方については、概ね企業価値を考える場合と同じです。

 

そしてバリュエーションの主なものとして以下のようなものがあります。

 

・VPV
・マルチプル
・EVA
・財務諸表分析
・MVA
・APV
・IRR
・リアルオプション

 

バリュエーション

 

上記からわかる通り、ほとんどのバリュエーション手法はNPVをその基本としていることがわかります。

 

よってバリュエーションは、まずはNPVについて理解することが必要となります。

 

そしてNPVはDCF法という手法で計算していきます。

 

まずはNPVについての理解を深め、その後それぞれのバリエーションの手法について学んでいきましょう。

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