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情報非対称ゲーム(不完備情報のゲーム)

情報非対称ゲーム(不完備情報のゲーム)

「囚人のジレンマ」や「信頼のゲーム」などは互いが互いの持っている情報を完全に把握しているゲームです。

 

囚人のジレンマでの囚人たちは、相手が自白して自分が自白しなければどれだけの懲役を課せられるかを知っています。信頼のゲームでは信頼をするかどうかを選ぶプレイヤーは、相手プレイヤーにとっては自分を裏切る方が利得が大きくなっていることを知っています。

 

このように各プレイヤーが相手の手の内を理解し、ルールを知っているゲームを「完備情報のゲーム」と呼びます。

 

対して相手の手の内やルールが明らかではないゲームが「不完備情報のゲーム」です。企業間競争においては他社に自社の持っている技術を全て公開する企業はありません。

 

インターネットオークションでも入札者がいくらまで払う準備があるのかは未知数です。完備情報のゲームよりも、不完備情報のゲームの方が私たちの現実には即していると言えるでしょう。

 

情報非対称ゲーム(不完備情報のゲーム)

 

不完備情報のゲームのキーワード

 

不完備情報のゲームを理解するためには「私的情報」「タイプ」「公的情報」の3つのキーワードが重要です。

 

私的情報とはあるプレイヤーだけが知っている情報を指します。XとYというプレイヤーがいた場合には、Xの私的情報、Yの私的情報という言い方をします。

 

タイプは私的情報と同じ意味を持つ言葉です。Xの私的情報に「今忙しい」「今暇だ」という2つの情報があったとしましょう。このとき前者を「Xの忙しいタイプ」、後者を「Xの暇タイプ」という使い方をします。

 

公的情報はプレイヤー各人が共通して持っている情報です。ではこれら3つの言葉を使いながら、不完備情報のゲームの具体例を見ておきましょう。

 

例題1

 

XとYはそれぞれの目の前にある5つの封筒から1つを選びます。Xの目の前にある封筒にはそれぞれ900円、700円、500円、300円、100円が入っています。Yの封筒に入っているのは1000円、800円、600円、400円、200円です。

 

XとYは封筒を選び、中身を確認したら相手の封筒と交換するかどうかを同時に選びます。双方の同意がある場合のみ取引は成立。1人でも拒否すれば不成立です。

 

XとYは互いの5つの封筒に入っている金額の構成は知っていますが、相手の選んだ封筒の中身の金額を知ることはできません。2人はどのような意思決定をするでしょうか。

 

解説

 

このゲームは相手の持っている封筒の中身がわからないので不完備情報のゲームです。5つの封筒に入っている金額は共通の情報なので「公的情報」、選んだ封筒の中身の金額は選んだ本人しかわからないので「私的情報」です。

 

例えばXが900円を引けば、そのときXは「900円タイプ」となります。

 

情報非対称ゲーム(不完備情報のゲーム)2

 

このゲームにおいてプレイヤーが自分の利得を最大化しようと思うと、自分の金額が相手のものよりも小さい必要があります。そこでXはYの封筒の中身の金額を予想しようとするでしょう。対するYも同じようにXの封筒の中身の金額を予想しようとします。

 

しかしただ闇雲に予想し合っていても結論は「わからない」になってしまいます。

 

この状況を打破する方法の1つに、20世紀のハンガリーのゲーム理論学者であるジョン・ハーサニが考案した「ベイジアンゲーム」がありますが、これについては他の記事で詳しく説明します。

 

このゲームの場合、「支配される戦略の繰り返し消去」を使っても解決が可能です。その方法を以下で見ておきましょう。

 

XとYの交換は成立しない

 

例えばXが900円を選んだとしましょう(「900円」タイプ)。するとXはYが1000円の時にしか交換しようとしません(「1000円」タイプ)。しかし、もしYが1000円タイプでも、YからすればXが自分より高い金額を持っていることはあり得ないので、交換しようとはしないでしょう。

 

情報非対称ゲーム(不完備情報のゲーム)3

 

あるいはYが800円タイプの場合はどうでしょうか。この時YはXが900円タイプの時に交換しようと考えます。しかしXは自分が900円タイプなら交換が成立しないことを知っています。つまりYが交換を申し出るということは1000円タイプではないということです。よって900円タイプのXも交換しようとしません。

 

最後にXが700円タイプの時を考えます。XはYが1000円タイプか800円タイプの時に交換したいと考えますが、すでにYはどちらの時も交換しようとしないことがわかっています。したがってこの交換も成立しません。このように考えると、どの封筒を選んだ場合にもXとYの交換は成立しないことがわかります。

 

まとめ

 

・不完備情報のゲームとは「相手の手の内やルールが明らかではないゲーム」

 

・私的情報(=タイプ)とは「あるプレイヤーだけが知っている情報」

 

・公的情報とは「プレイヤー各人が共通して持っている情報」

 

・不完備情報のゲームは闇雲に予想し合っていても解決できない

 

・不完備情報のゲームを解決する方法に「ベイジアンゲーム」がある


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