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組織行動論の変遷

組織行動論の変遷

【組織行動論の変遷】
今回は、組織行動論がどのような変遷をたどってきたかを説明していきます。

 

この文章を読むことによって、組織行動論の変化の流れやマズローの欲求5段階説などの代表的な主張内容の概観について理解することができます。

 

まず、組織行動論の変化の流れを見ていきましょう。

 

初期(1910年代)の組織行動論は、人は経済的合理性に基づいて行動するという「経済人モデル」の考え方がベースとなっており、「科学的管理法」や「X理論」「S-R理論」といった管理手法が開発されました。

 

その後、「ホーソン実験」を経て1930年代には、人の行動は経済的合理性のみに基づくものではないとの考え方が出てきて「社会人モデル」が考案されました。

 

この社会人モデルの考え方をベースとした管理手法としては、「S-O-R研究」「人間関係論」が考案されました。

 

1950年代には、人は自己の目標達成に向けて努力することに価値をおく「自己実現人モデル」が考案され、この考え方をベースとした管理手法としては、「Y理論」「M-H理論」「参加的管理」といった手法が挙げられます。

 

その後、1980年代には、組織を構成する人の多様性を前提とした「複雑人モデル」の考え方が登場し、管理手法として、「条件適合理論」「個別的管理」「調査の精神」といった考え方が生まれました。

 

組織行動論の変遷

 

これらの組織行動論の大きな転換点は、1920年代後半〜1930年代前半に、アメリカのWestern Electric Companyで行われた「ホーソン実験」にあると言われています。

 

ホーソン実験は、作業現場の物理的な環境と労働者の作業効率の関係性を調査するために行われた実験で、照明の明るさと作業効率の間の関係について調査が行われました。

 

実験当初の予想としては、照明を明るくすると生産性が上がり、暗くすると生産性が下がるとされていました。

 

しかし実験の結果としては、照明を明るくした場合には確かに生産性の向上が見られたのですが、照明を暗くしても生産性の低下は見られませんでした。

 

これは、実験に参加した労働者たちが、「自分たちは世界的な実験に参加している」ということを意識したことが作業能率を高めた理由と考えられています。

 

またこのホーソン実験においてハーバード大学のメイヨーは、集団内には「能率の論理」に規定される非公式組織が存在することや、非公式組織における仲間意識や集団内の規範が作業能率に影響を与えることを突き止め、人間関係論という考え方を展開しました。

 

このホーソン実験が行われる以前の経営管理の手法としては、フレデリック・テイラーによって提唱された科学的管理法が中心でしたが、この実験以降は人間関係論に基づく理論が中心となっていきました。

 

ホーソン実験の意義としては、作業効率のみを優先し、労働者の人間的な側面を無視した科学的管理法だけでは企業経営はうまくいかないことを証明したことに意義があると言われています。

 

それでは、人間関係論の考え方を前提とした代表的な3つの理論を紹介します。

 

 

@マズローの欲求5段階説

 

AマグレガーのX理論・Y理論

 

Bハーズバーグの動機づけ・衛生理論

 

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

 

@マズローの欲求5段階説
欲求5段階説では、人間の欲求は低次元のものから順に、「生理的欲求」「安全確保欲求」「認知評価欲求「自己尊厳欲求」「自己実現欲求」の5段階に分けられるとしています。

 

この欲求5段階説では、人は低次元の欲求が満たされれば、さらに高次元の欲求を満たすべく行動すると考えられています。

 

 

生理的欲求  :衣食住に対する欲求

 

安全確保欲求:集団に属することでリスクや危険から身を守りたい欲求

 

認知評価欲求:他者から評価されたいという欲求

 

自己尊厳欲求:他者から尊敬されたいという欲求

 

自己実現欲求:自己の存在意義を実現する欲求

 

 

この欲求5段階説を活用することにより、組織が提示しているインセンティブが労働者にとって魅力的なものであるか、またその組織を構成している大部分の人々の欲求に合致しているかを考察することができます。

 

組織行動論の変遷

 

 

AマグレガーのX理論・Y理論
このX理論・Y理論は、ダグラス・マグレガーが人間に対する2つの対立的な考え方を、「権限行使による命令統制のX理論」と「統合と自己統制のY理論」として提唱したものです。

 

X理論・Y理論の考え方は、「性善説」「性悪説」の考え方に似ています。

 

X理論では性悪説の考え方をとり、「人間は本来怠けたがる生き物で、責任をとりたがらず、放っておくと仕事をしなくなる」ととらえ、命令や強制で管理監督することが有効であるとしました。

 

一方、Y理論では性善説の考え方をとり、「人間は本来進んで働きたがる生き物で、自己実現のために自ら行動し、進んで問題解決をする」ととらえ、目標などで労働者の自主性を尊重する管理が有効であるとしました。

 

X理論は低次元の欲求を多く持つ人間の行動モデルに、Y理論は高次元の欲求を多く持つ人間の行動モデルにそれぞれ分類され、Y理論に基づく管理の優位性を説いています。

 

組織行動論の変遷

 

 

Bハーズバーグの動機づけ・衛生理論
動機づけ・衛生理論では、仕事に対する満足をもたらす要因と不満足をもたらす要因があり、前者を動機づけ要因と呼び、後者を衛生要因と呼びます。

 

動機づけ要因には、仕事の達成感や責任範囲の拡大、能力向上や自己成長などがあり、衛生要因には、会社の方針や管理方法、労働環境や作業条件(金銭・時間・身分)などがあります。

 

一般に、不満足の原因である衛生要因に対して対策を行ったとしても、単に労働者の不満足を解消するだけであり、仕事に対する満足感やモチベーションを高めることにはつながらないとされています。

 

 

以上のように組織行動論に関する研究は、組織内での人間や集団の行動が生産性や業績に及ぼす影響を研究している分野ですので、企業組織内で働いている人、とりわけ管理職の立場にある人にとっては、誰にでもこの組織行動論に関する知識は必要不可欠なものとなっています。

 

これらの理論や考え方を実際の業務において活用していく上では、それぞれ単独で活用できるものではなく、状況や相手に応じて複数の理論を組み合わせながら活用していくことが多くなるでしょう。

 

マズローの欲求5段階説やハーズバーグの動機づけ・衛生理論など、それぞれの内容・考え方を単に把握するだけではなく、背景にある人の行動に対するとらえ方(人間モデル)と併せて理解するようにしましょう。


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