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人事システムの納得性

今回の文章では人事システムの納得性について考えていきます。

 

今回の文章を読むことによって、人事システムについてメンバーの間で納得性を持たせていくために必要なことを学ぶことができます。

 

これまでの文章で見てきたように、人事システムはそのシステム自体が優れたものであるというだけでは不十分です。

 

採用や配置、評価、報酬、能力開発といった各システムがうまく機能していくように、一人ひとりのメンバーが行動を起こしていくことが重要なのです。

 

この場合において「システムが機能しない」とは、その制度が目指す行動をメンバーが起こさないことをいいます。

 

人事システムの納得性1

 

人事システムが機能しない理由

 

それでは、なぜ企業組織の知恵の結晶である人事システムが機能しなくなってしまうのでしょうか。

 

人事システムの設計にあたって事前に調査を行い、戦略との整合性を検討しておけば、そのシステムを動かしたときに組織は活性化してより高い成果をあげられることが予想されますが、結果的には、システムが機能不全に陥るという場面によく遭遇します。

 

人事システムが機能しなくなる大きな要因として、次の2つが考えられます。

 

?メンバーが新しいルールを理解できずに不安を感じてしまうこと

 

?メンバーが新しいルールを理解することはできても、納得はしていないこと

 

これらは言い換えるならば、企業組織において主役である人間がどのように新しい人事システムをとらえるかについてのケアが不十分であるということができるでしょう。

 

これら2つの要因のうち、?についてはすべてのメンバーに対して納得させることは難しいため、ある程度割り切って設計せざるを得ないでしょう。

 

一方、?については充分に手を打つことはできるし、また、手を打っていく必要があります。

 

人事システムの納得性を高めていくための第一歩は、まずメンバーにその新しいルールを理解してもらうことにあるのです。

 

人事システムの納得性を高める

 

では、メンバーに対して人事システムを理解、納得してもらうためにはどうすればよいか考えてみましょう。

 

次の3つの観点から考えてみましょう。

 

?人事システムの設計段階

 

?コミュニケーション

 

?導入後のマネジメント

 

順に見ていきましょう。

 

?人事システムの設計段階

 

設計段階では、人事システムの内容を誰でも理解しやすいものに工夫する必要があります。

 

例えば評価システムであれば、何を重点的に評価し、どの評価項目を報酬に反映させるのかを文書化して公開するなどして、メンバーへの周知を図ります。

 

また、評価結果については必ず本人へフィードバックを行うようにし、併せてメンバーが評価内容に対する異議を唱えることができるように制度化したり、職種ごとに評価項目を変えたりして、評価に対する不公平感を低減することも求められます。

 

?コミュニケーション

 

人事システムの設計をわかりやすいものに工夫するだけではまだまだ不十分です。

 

人事システムの設計が優れたものであっても、制度の設計段階に携わっていない人から見れば、その意図する目的や内容を理解することは難しいものです。

 

新しい制度の中で使われている用語や表現を誤解なく伝えることはとても難しいことで、各メンバーの持つ事情や理解力によって、認識のしかたや理解のスピードは変わってきます。

 

そのため、人事システムについての説明会を実施し、質疑応答の時間を十分にとるような対応が求められます。

 

説明会では、新しい人事システムによって自分たちがどのように評価され処遇されるのかが気になり、不安を抱いているようなメンバーもいることが考えられるため、そのような不安から解放できるように新制度について何度でも丁寧に説明することが重要なのです。

 

新制度に対して抱いている不安を解消するためには、マネジメントはメンバーに対して真摯な態度で接し、丁寧な説明を行うことが求められます。

 

説明の内容自体でメンバーを納得させるというよりも、コミュニケーション・プロセスやその場の雰囲気によってメンバーの抱く不安を和らげていくのです。

 

併せて新しい人事システムが企業組織の将来にとっていかに重要な意味を持つかについても説明を行い、納得してもらう必要があります。

 

新しい人事システム自体がマネジメント側の都合や身勝手ではなく、企業組織全体にとって有意義なものであることを説明することによって、メンバーの新制度に対する納得性を高めていくのです。

 

?導入後

 

新しい人事システムの導入後の対応も重要です。

 

人事システムの導入段階で組織メンバーから十分な同意を得たとしても、導入後のシステム運用段階で不都合が生じることはよくあります。

 

評価者の曖昧な評価基準や、昇進で他の同僚との間に差がついたことにメンバーは不満や疑問を抱いたりします。

 

人事システムとは人が人を評価するシステムであるため、評価者によって評価結果に差異が生じることは避けられませんが、メンバーの間でそのような疑問や不満が生じた際に素早く解決できるような仕組みを作っておくことが、不満や疑問点の解消や緩和のために重要なのです。

 

どんなに優秀な組織であっても、最初から完璧なシステムを構築することは不可能であり、そのシステムに関係するメンバー全員を満足させることは不可能であるため、マネジメントの活動が求められるのです。

 

人事システムの納得性2

 

人事システムは、戦略の目指す将来を実現するために、そのシステムを通じて組織メンバーの行動をコントロールすることが重要な目的です。

 

つまりメンバーに適切な行動を起こさせることが重要なポイントなのです。

 

そのためにこの文章で説明してきたように、人事システムをメンバーの誰もがわかりやすいように設計し、導入段階にあたってはメンバーに対して丁寧に説明を行い、導入後には発生する疑問や不満は即座に解決していくようにすることが大切なのです。

 


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