ヒーローを登場させる
今回はプレゼンテーションにおけるヒーローについて説明していきます。
この文章を読むことで、聴き手の共感を得るためのヒーローの役割について説明していきます。
プレゼンテーションにおけるヒーロー
前回の話の中で、「プレゼンにおいて聴き手に共感をしてもらうことは重要であり、そのためには敵役を登場させる方が良い」とお伝えしてきました。また、「敵が難敵であればあるほど盛り上がる」という話もしました。
しかし、敵が強すぎるだけでは話になりません。
映画やドラマなどで強い敵が出てきても、それが最後まで強いままでは、物語にならないのです。
それはプレゼンでも同様です。強い敵を登場させたら、それに立ち向かうヒーローを登場させる必要があるのです。
つまり、強い敵であればあるほど、大きな障害に立ち向かうヒーローを応援したくなるのです。
例えば、創業したばかりのアップルが、強大な企業であるIBMに立ち向かっていく姿をCMにしたように、強い敵の出現に聴き手は共感したり、応援したくなります。
ここでのポイントは、ただ単に立ち向かうだけでなく、「ヒーロー」でなければならない点です。
つまり、ヒーローということは、聴き手に「自分たちの味方だ」と感じてもらう必要があるのです。
また、アップルがiPodを発表したときの「敵」は、既存のポータブルCDプレーヤーです。そして、アップルがヒーローです。
アップルは、今までのプレーヤーが持ち運ぶのに不便である点や、多くの曲を持ち運べないという不満を「敵」にしたのです。
そして、アップルのiPodなら、軽くて1000曲を持ち運べることを強調しました。不便や不満を持った人々からすれば、まさにそれらを解消してくれるヒーローです。
このように、不便や不満、不安などを敵にしながら、「それを解消できるのが自社の○○だ」と言うと、聴き手が今感じている不便・不満・不安などが大きければ大きいほど、プレゼンに共感できるのです。
<事例>
Sさんは業務システム開発会社の営業担当です。現在、?社に業務システムの導入を提案しています。?社の従業員にヒヤリングを行うと、経費精算など業務フローに不満を持っていることが分かりました。
例えば、経費精算書はいまだに手書きであり、上司が出張に行くと何日も決裁が下りません。さらに経、理部に行っても、手書きから会計ソフトに入力するので入力ミスも多数発生していました。
?社の従業員は皆、もっと良い方法がありそうだと思っていましたが、その方法を見つけることが出来なかったのです。
そんなとき、Sさんの行ったプレゼンはまさにヒーローの登場でした。
Sさんがプレゼンした業務システムは、経費精算書を電子化し、上司が出張先でも決裁できるものでした。さらに、経理の会計システムと連動しているので、再入力の必要がなくなるものだったのです。
?社の従業員から見ると、まさに今までの不満を解消してくれる「ヒーロー」でした。しかし、従業員にとってはヒーローでも、経営者にとっては「業務システムを導入すると余計に費用が掛かる」という不満がありました。
しかし、この不満もSさんのプレゼンはクリアしたのです。
これまでの、会計ソフトに再入力していた作業時間を調べ、さらにミスを防ぐために2重のチェックを行っていた時間、修正に掛かる時間などを調べたのです。それが経理の作業のかなりの時間を占め、残業代などの人件費につながっていました。
それを自社の業務システムを導入することにより削減出来るため、経営者の不満である費用面に関してもカバーできることを伝えることが出来たのです。
このように、Sさんのプレゼンは今まで?社内にあった不満(敵)を明確にし、それに対して自社の業務システムが不満を解消するツール(ヒーロー)になることを示すことが出来ました。
もちろん、X社ではSさんの会社の業務システムを導入することになりました。
まとめ
・映画やドラマなどでは、敵が強ければ強いほど盛り上がるが、敵が最後まで強いままでは物語にならない。プレゼンでも同様、強い敵を登場させたらそれに立ち向かうヒーローを登場させる必要がある。
・プレゼンでの敵役は、「不満、不安、不便」などのこと。それを解消できるのが自社の製品・サービスであると伝えることで、共感されやすくなる。
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