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聴き手を理解する

今回はプレゼンテーションの聴き手に対する理解について説明していきます。

 

この文章を読むことで、プレゼンテーションにおける「聴き手の理解の必要性」と「聴き手を知る方法」について学ぶことができます。

 

聴き手の理解の必要性

 

良いプレゼンをするには、プレゼンをする相手の事を理解する必要があります。

 

良いプレゼンを作成する準備の中で、前回の「目的を明確にする」を1番目とすれば、次の2番目のステップになります。

 

プレゼンをする場が与えられているのだから「プレゼンの相手=聴き手」は決まっているし、理解していると考えるかもしれません。

 

でも、意外と「聴き手の事を理解していないがゆえに、プレゼンの提案が的を外してしまっている」ということもあるのです。

 

 

社内のプレゼンで、社内の状況も聴き手(幹部や上司)の事も分かっている場合は、聴き手が明確であり、聴き手の事も知っているので伝える内容も外れることは少ないはずです。

 

でも、セミナー講師のような多くの人を前にプレゼンをするときにはどうでしょうか?

 

そこに参加する受講者の事を知らなければ良いプレゼンにはなりません。興味を持って聴いてもらえないし、聴いたとしても満足をしてもらえないのです。

 

セミナーの受講生が幅広い可能性もありますが、「何らかの属性」や「何らかの目的」をもっているはずです。

 

主催者にヒヤリングするなどしてその属性や目的を明確にし、「聴き手の状態や、そもそも何を聴きに来ているのか?」などを把握してプレゼンを作成していくようにしていきます。

 

 

また、取引先へのプレゼンの場合でも、聴き手を理解するというのは大切です。

 

「取引先は社外の人だから、相手の事を知ることは必要だ。でも、付き合いの長い取引先なので相手の会社の事は知っている」と考えるかもしれません。

 

この場合でも、「今回のプレゼンを誰が聴くのか(決定権者は誰か)」を間違うとプレゼン内容も伝わりません。

 

例えば、「プレゼンを聴くのは担当者だけだが、決定権は社長」という場合や、「決定権を持っている社長が直接プレゼンを聴く」場合、「社長と担当者がプレゼンを聴く。決定権は社長が持っているが担当者の意見がほぼ通る」場合など、様々なケースが考えられるのです。

 

これらのケースで「同じ取引先だから、誰が聴き手でも、誰が決定権者でも同じ内容で作成してしまおう」とプレゼンしていたら、相手に効果的に伝わらないのです。

 

伝わらない取引先へのプレゼンであれば、もちろん提案が採用されないという結果になってしまいます。

 

それを避けるためにも、

 

1.聴き手は誰か?

 

2.決定権者は誰か?

 

3.聴き手、決定権者の事を知る

 

これらを意識してプレゼンの準備をしていくようにしていきましょう。

 

聴き手を理解する1

 

聴き手を知る方法

 

では、聴き手(決定権者)の事を知るためにはどうすれば良いのでしょうか?

 

それは「聴き手の調査」を行うことになります。調査の方法は対象によって様々です。

 

社内のプレゼンであれば、元々知っている場合もあります。調査する場合でも社内なので、直接聴き手や担当部署にヒヤリングをすることもできるはずです。過去のプレゼン資料や企画書なども手に入りやすく、参考に出来る場合もあります。

 

一方、他社が主催のセミナー講師の場合は、直接受講予定者にヒヤリングすることはできませんので、主催者に調査依頼やヒヤリングを行うことになります。

 

また、取引先へのプレゼンであれば、調査をしないと分からないことも多いはずです。

 

担当者にヒヤリングを行うだけでなく、その企業についてインターネットで会社のホームページを調べたり、投資家向けのIR情報や過去のニュース記事などを調べたり、担当者以外の方からのヒヤリングをしたり、その会社の製品や商品を実際に購入・使用してみたり、その現場や店舗に行ってみたりと様々な方法が考えられます。

 

プレゼンに一つの企業だけが参加するのではなく、複数の企業が参加してコンペ形式で行われることもあります。そのコンペの場合は、事前にコンペ参加者向けにオリエンテーションが開かれ、その場で情報収集やヒヤリングが出来ることもあります。

 

聴き手の何を調査するのか

 

次に、「相手の何について調査するのか?」という点を見ていきましょう。

 

調査は大きく分けて次の3つになります。

 

1.相手(聴き手、決定権者)は誰か?

 

.相手(聴き手、決定権者)の状況は?

 

3.その状況に対する提案内容は?

 

以上の3つをもう少し具体的にしていきます。

 

1.相手(聴き手、決定権者)は誰か?

 

・そもそも聴き手は誰なのか?

 

・決定権者は誰か?

 

・聴き手と決定権者は同じか?違うのか?

 

2.相手(聴き手、決定権者)の状況は?

 

・相手の組織的な地位は?

 

・相手の思考、価値観などは?

 

・相手は何に困っているのか?

 

・相手の状況は?取り巻く環境は?

 

・相手にとってのメリット・デメリットは?

 

・相手の感情は?(共感、怒り、不安など)

 

3.状況に対する提案は?

 

・プレゼンする側の事をどこまで知っているのか?

 

・提案(プレゼン)への期待度は?

 

・プレゼンに何を求めているのか?

 

聴き手を理解する2

 

以上のように、プレゼンの相手の事を調査し理解していきます。

 

それでも調査だけですべてが分かるわけではありません。ある程度は相手の事を推定してプレゼンを作成していく場面も出てきます。

 

そのときにも、過去のプレゼンの資料や先輩や同僚の意見を取り入れるなど、独善的にならずイメージ豊かに内容を検討していきましょう。

 

 

これらの相手を理解することによってプレゼンの質も上がります。それは、相手に応じた言葉でプレゼンができるからです。

 

例えば、社長と担当者では「共感しやすい言葉」は違うはずです。相手を知り、相手の状況が分かることによって、相手に効果的に伝わるプレゼンになります。

 

それが良いプレゼン(相手に伝わるプレゼン)になるのです。

 

<事例>
経理システムの販売を行っている会社の営業担当のAさんは、X社に経理システムを提案しています。

 

X社には旧式の経理システムしかないため、非効率で残業が多く、経理の部署の人々は業務量の多さに厳しい環境に置かれていました。

 

その状況の中、AさんはX社の経理部長に「旧式のシステムから新経理システムの導入を提案する」プレゼンをする機会を得ました。

 

経理部長と経理担当者の数名に向けてプレゼンをするということで、これらの人々にはヒヤリングをして準備をしていきました。

 

 

しかし、当日になって急遽、X社の社長もプレゼンを聴くことになったのです。

 

Aさんは、「今回は経理部長への提案だけ」と考えており、X社の社長の事を調査せずプレゼンに臨んでしまったのです。

 

「決定権が誰なのか?」「X社の社長は現状をどのくらい把握して、どのようにしていきたいのか?」「X社の社長の関心事は何か?」など全く分からない状態です。

 

プレゼン準備の段階では、経理部長向けに「担当者の業務が楽になる」という点を中心にアピールしていくはずでした。しかし、調査も不十分な社長が参加するということで、「何を中心に伝えるのか?」を迷ってしまいました。

 

そのまま「業務が楽になる」という点だけで良いか、それとも「残業が減るから人件費が減る」という点を強調すべきか、それとも「システムの費用対効果」なのか、その他の事項なのか?

 

これらを迷いながらプレゼンをしたために、プレゼン自体が「何を伝えたいのか?」が不明確になり、伝わりにくいプレゼンになってしまったのです。

 

これを反省し、Aさんはその後のプレゼンで相手の事を徹底的に調査し、準備をするようになりました。

 

まとめ

 

・良いプレゼンをするには、プレゼンをする相手の事(聴き手)を理解する必要がある。

 

 

・「聴き手を理解する」には次の3つを明確にする。

 

1.聴き手は誰か?

 

2.決定権者は誰か?

 

3.その聴き手、決定権者の事を知る

 

 

・「相手の何について調査するのか」を明確にする

 

1.相手(聴き手、決定権者)は誰か?

 

2.相手(聴き手、決定権者)の状況は?

 

3.その状況に対する提案内容は?

 

 

・プレゼンの相手を理解することによってプレゼンの質も上がる。それは、相手に応じた言葉でプレゼンをすることが出来るためである。


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