ダメな企画書のタイプ
今回は、ダメな企画書について説明していきます。
この文章を読むことで、「ダメな企画書とはどのようなものか」「ダメな企画書にならないためにはどうすればよいか」について学ぶことができます。
ダメな企画書とは
企画書の中には、「ダメな企画書」があります。それは、企画が採用されるか、採用されないかだけではありません。
「企画書としては良いものになっているが、予算などの関係で採用を見送られた」という場合は、今回お話する「ダメな企画書」ではありません。
ここでいう「ダメな企画書」とは、「企画書の作成方法が悪く、何回作成しても採用されることはない」というレベルの話です。
「ダメな企画書」になる一番の原因は、「相手の立場になっていない」「相手の事を考えていない」=「自分勝手な企画書になっている」ということです。
例えば、以下のような例が考えられます。
1.相手の会社名、社長名、担当者名などを間違える
2.用紙サイズがバラバラで保管しにくい
3.文字が小さい、色使いが下手などで読みにくい
4.意味なく分量が多い
5.予算、スケジュールの要望を無視している
6.Yes、Noが答えられない企画になっている
7.メリットを伝えきれていない
8.アイディアレベルで終わっている
それぞれどのようなことか説明していきます。
1.相手の会社名、社長名、担当者名などを間違える
名前を間違えることは失礼になりますし、相手も気分が良いものではありません。細心の注意を払うべき項目です。
気分が悪いだけでなく、『「名前を間違えない」という基本的な事をできない人に企画を任せられない』という考えで、不採用になることもあるのです。
2.用紙サイズがバラバラで保管しにくい
企画書が業界の標準の用紙サイズと違っていたり、企画書と別添資料集の用紙サイズがバラバラだったりすると、相手が保管する時に困ります。
企画書は、すぐに採用の可否を決めるということばかりでなく、数か月後に検討するという場合あります。
「相手が保管する」というところまで気を配ると、不採用になる可能性を下げることができます。
3.文字が小さい、色使いが下手などで読みにくい
場合によっては、たくさんの企画書の中から採用を決定することもあり、読みにくい企画書であればそれだけで読む気をなくしてしまいます。まずは読んでもらえなければ採用されるはずがありません。
「文字が小さすぎて読みにくい」「色使いが下手で目がチカチカする」ような企画書では、読む方が大変です。
「相手が読みやすい企画書を作成する」というのは基本的なことなのです。
4.意味なく分量が多い
企画内容によっては、企画書の分量が多くなることもあります。
しかし、「分量が多い企画書が良い企画書である」と勘違いして、直接関係のない(意味のない)文章や資料を付けて、分量を多くしている場合もあります。
社内評価を気にして努力している姿を周りに見せることだけが目的で作成するのであれば、分量が多いほうが良いのかもしれません。
しかし、採用される企画書かどうかという点では当然マイナスです。読み手としては、必要な情報を適切な量で伝えて欲しいからです。
必要であれば分量が増えても仕方がないですが、出来ればシンプルに伝えるほうが読み手にとっても良いのです。
5.予算、スケジュールの要望を無視している
企画内容の条件(予算、スケジュールなど)が決まっているにも関わらず、それを無視して企画書を提出しても採用はされません。
条件を無視してしまうパターンとしては、「条件を知っているのに忘れて企画書を作成してしまう」、「オリエンテーションやヒヤリングで条件を聞き出しきれなかった」などが考えられます。
忘れてしまうことに対しての対策は、「最終チェックをしっかりする」「複数人でチェックをする」などです。
条件を聞き出せない場合は、「相手の立場になり、何が今回の企画の目的かを考える」と、聞くべき条件などが明確になるはずです。
6.Yes、Noが答えられない企画になっている
企画書を読んで、YesともNoとも回答できないような企画書は、「ダメな企画書」です。
例えば、社内の企画書で「この点が当社の問題点です」と問題提起をするだけで、「どのように改善するのか?」という部分が抜けている場合があります。
読み手からすると、「なるほど。そんな問題があるのか」と理解はできるのですが、「具体的にどう対処するのか」が無いので、良いとも悪いとも答えができないのです。
これらは、企画書の目的を作成する時点で、しっかりと把握しておく必要があるのです。
7.メリットを伝えきれていない
企画書は相手にメリットがないと採用されません。当たり前のような話ですが、この「メリットを伝えきれていない企画書」は「ダメな企画書」になります。
企画内容自体にメリットがなければ、そもそも伝えようがありません。
でも、企画自体にメリットがあっても、それを相手がイメージできるように伝えなえれば、メリットは伝わらないのです。
例えば、横文字があまり好きでない社長に対して、横文字ばかり使って説明しても、メリットは伝わりません。
また、意外に多いのが、「メリットを具体的に伝えなくても、共通認識で理解しているはず」と思い込んで、伝えないこともあります。
例えば、「機械の処理能力が2倍になります」とだけ伝えて、何のメリットがあるかを伝えないという場合です。
作成者としては、「処理が早くなればそれだけ残業代が減る」などと具体的にメリットを伝えなくても、「勝手にイメージしてくれる」と思っているのかもしれません。
しかし、相手は「2倍になったからどうなんだ?」とメリットを理解していない場合も多いのです。
そのため、具体的に相手がイメージできるようにメリットを伝えるべきなのです。
8.アイディアレベルで終わっている
企画書の中には、「この企画良いな」と思われるのに採用されない「ダメな企画書」もあります。それは、アイディアレベルで終わっている企画書です。
どういうことかというと、データの裏付けがなかったり、実現可能性が不明だったりする企画書です。これは、「アイディアとしては良いな」と思われるのですが、実際に採用される可能性は低くなります。
企画書作成の途中では単なるアイディアでも良いのですが、提出する段階では実際に行動することが前提で採用の可否が判断されます。
よって、データの裏付けや実現可能性まで詳細を詰めた企画書にする必要があるのです。
上記のように、様々な「ダメな企画書」があると思います。
企画書は自由形式ですので、最終的にはどのように作成しても良いのですが、自由形式であっても相手の事を考えていないような企画書は「ダメな企画書」になってしまいます。
そうならないためには、やはり「相手の立場に立って企画書を作成する」ことが大切なのです。
【事例】
Aさんは入社2年目の営業マンです。ある日、上司から皆に「全社的な取り組みで、会社をより良くするための改善提案の企画書を募集している」と伝えられました。
それは、入社年数、年齢、役職を問わず、自分が気付いた改善を取締役会に企画書として提出できるというものでした。
そして、良い企画は採用され、提案者に賞品が渡されることになっています。よって、Aさんを含めて多くの従業員が企画書を作成しようとしています。
Aさんは以前から、営業日報が紙ベースで作成されており、これでは時間もかかるし情報共有もできないと考えていました。そこで、そのことに焦点を当てて企画書を作成していくことにしました。
でも、Aさんは企画書を書いたことがないので、先輩のBさんに企画書の作成の仕方を教えてもらいないながら作成していきました。
まず、Bさんは「相手が読みやすい企画書を作るべき」と、過去の自分の企画書を見せながら教えてくれました。Aさんはそれに基づいて企画書を作成していきました。
そして、一旦出来た企画書をBさんに読んでもらいました。Bさんに教えてもらったので、文字サイズや文章の書き方は読みやすいものになっていましたが、Bさんから内容について指摘がありました。
それは、「日報を紙ベースで書くのに時間がかかるのと、情報共有ができないという問題がある。そのために、日報をパソコンで記入でき、情報共有ができるシステムを入れるべき」とだけしか書いてなかったのです。
これだと何が問題かは分かってもらえるかもしれません。そして、「システムを入れるべきなんだろうな」とまではイメージできるかもしれません。
しかし、これではアイディアレベルで終わっており、採用できるかどうかが検討できません。
肝心の、「どうやってシステムを導入するのか?」「どのようなシステムがあるのか?」「費用はどのくらいかかるのか?」「スケジュール的にはどの程度期間がかかるのか?」などが抜けているのです。
Aさんは、このBさんからの指摘を受け、再度企画書を練り直しました。そして、練り直した企画書を提出したのです。
結果として、予算の関係上この企画は採用されませんでしたが、上司や取締役からは「良い企画書だった」と認められて、今後取引先に提出する企画書の一部を任されることになったのです。
まとめ
・「ダメな企画書」とは、「企画書の作成方法が悪く、何回作成しても採用されることはない」もの
・「ダメな企画書」になる一番の原因は、「相手の立場になっていない」「相手の事を考えていない」=「自分勝手な企画書になっている」こと
・「ダメな企画書」の種類
1.相手の会社名、社長名、担当者名などを間違える
2.用紙サイズがバラバラで保管しにくい
3.文字が小さい、色使いが下手で読みにくい
4.意味なく分量が多い
5.予算、スケジュールの要望を無視している
6.Yes、Noが答えられない企画になっている
7.メリットを伝えきれていない
8.アイディアレベルで終わっている
・「ダメな企画書」にならないためには、相手の立場に立って企画書を作成すること
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