経営を学ぶ-経営学・MBA・起業・ネットビジネス・リアルビジネスなど

経営を学ぶ~経営学・MBA・起業~

日本企業が目指すべき経営戦略とは

今回は日本企業が目指すべき経営戦略について説明していきます。

 

今回の文章を読むことで、顧客や市場の不確実性が増す中で日本企業に求められる経営戦略について学ぶことができます。

 

日本企業が目指すべき経営戦略

 

日本企業、特に製造業が目指すべき経営戦略とはどのような戦略になるのでしょうか。

 

これまでに数多く世界中に画期的な製品を提供してきた日本は「モノづくり大国」であると言えます。

 

しかし、近年、韓国、台湾、中国などのアジア地域の国々やインドなどにモノづくりの拠点はシフトしています。

 

これらのアジア諸国はかつては日本企業がコスト削減や市場に近い位置づけとして工場を新設してきましたが、今では直接的な競合企業としての位置づけにシフトしています。

 

モノづくりにおいて、ハード面ではアジア諸国が強くなっており、ソフト面においてもITサービスのアウトソーシングやオフショア拠点として中国やインドが台頭しています。

 

このようなグローバル化が進展する中で、日本企業が価値を発揮していくためには創発的戦略の位置づけがより重要となってきます。

 

理由は、事業環境の変化が激しく、顧客ニーズが多様化しているからです。

 

変化の激しい昨今の市場において、適宜、正しくニーズを捉えて、その捉えたニーズを迅速に現場で判断し、製品化・サービス化して市場の変化に追随していくことが求められています。

 

このように常に戦略を修正しながら前進していくことが重要であり、そのためには現場の能力が重要となります。

 

現場が自分たちの判断でより良い方向に進めていくことは、本来、日本の製造業では得意とするところでした。「カイゼン」はそれの最たるものです。

 

事例:ヤマト運輸(クロネコヤマト)

 

宅急便サービスで事業を大きく成長させてきたヤマト運輸ですが、その成長の背景には、現場の自発的、能動的な判断能力を活かしていることが挙げられます。

 

成長過程において当時社長であった小倉氏は、「現場で即断即決する能力が必要であり、宅急便事業においてはその能力こそが最重要である」と考えました。

 

その結果、宅急便を集配するドライバーのためのマニュアルには、基本的な内容のみを記載し、実際の対応は各ドライバーが柔軟に判断するよう権限を委譲しています。

 

ドライバーが臨機応変に判断できることがヤマト運輸の強みとなっています。

 

【解説】
ヤマト運輸の事例は、あらかじめ決められた計画的な戦略に沿って判断していくのではなく、現場の自発的な判断を重視している点において、「創発的戦略」に求められる点と一致しています。

 

現場が創意工夫して判断していくことは、日本企業の得意とするところかもしれません。

 

これはモノづくり大国と言われていた日本製造業において製造現場で常にカイゼンを試みてきた日本人の特性を活かした戦略であると言えます。

 

漸進的イノベーションに強みがある

 

はじめに、ある製品やサービスが顧客に受け入れられて市場が形成されます。そして、市場に参入してきた企業の間で性能や品質を高める競争が始まります。

 

次世代製品やサービスを投入するごとに高度化していかなければ顧客を失うことになるため、企業は投資を続け、競合他社に先駆けようと努力を続けます。

 

漸進的イノベーションとは、製品・サービス・技術の性能向上を伴うイノベーションのことを意味します。

 

例えば、PCのハードディスクを考えてみると、写真や動画などのファイルを保管をする容量は年々増え続けて、さらに価格は安価になっています。

 

このようにハードディスクは安価に容量の大きいものをユーザは選択できるようになりました。

 

このようなコツコツと同一市場内で製品やサービスを向上させるようなイノベーションは日本企業が得意とする分野です。

 

日本企業が目指すべき経営戦略とは1

 

まとめ

 

今後、これまで以上に顧客や市場のリスクや不確実性が増していくと考えられます。

 

そのため、創発的戦略と従来の意図的戦略をバランスよく組み合わせて企業の戦略を考案していくことが重要となります。

 

どちらか一方に注力するのは好ましくありません。

 

また、日本企業においては、両者の戦略をバランスよく実行していくことのできる企業が多く存在しています。

 

意図的戦略と創発的戦略を駆使しながら日本企業がグローバルで存在感を高めていく競争力をつけることが期待されます。

関連ページ

M&Aとアライアンス
総合環境分析(3C分析とSWOT分析)
4世代のイノベーションモデル
企業の経営成果を測る5つの財務指標
アンゾフの成長ベクトル(製品×市場マトリックス)とアーカーのマトリックス
BCGのアドバンテージ・マトリックス
ITを活用した経営戦略
意図的戦略と創発的戦略のバランス
日本企業が目指すべき経営戦略とは
コトラーの競争地位別の戦略類型
マッキンゼーの「7つのS」
OEMとは
PDCAサイクルを回す
ポーターvsミンツバーグ
ポーターの3つの基本戦略
業界を俯瞰し、分析の全体像をつかむ
ブルーオーシャン戦略の概要
ドメイン(事業領域)の設定
事業戦略(基本戦略)と機能別戦略(個別戦略)
経営資源配分の優先順位
自社分析(競争ベンチマークと定量分析)
企業変革の条件
コアコンピタンスとは
コーポレート・デベロップメント
コーポレート・ガバナンス
全社戦略策定の基本プロセス
戦略策定に必要なクリティカルシンキング
顧客分析
フレームワークのカスタマイズと定量ファクト
意思決定の2つの方式(トップダウンとボトムアップ)
BCGのデコンストラクションの概要
事業を定義する(事業スキームとバリューチェーン)
デザイン思考の概要
多角化戦略
施策・プロセスへの落とし込みと実行
創発的戦略とは
市場分析
顧客分析
外部環境分析(PEST分析と5Forces分析)
フィジビリティスタディ
経営戦略策定の3ポイントと3ステップ
戦略方向性の策定(戦略方向性マップ)
フリー戦略の概要
ゼネラル・マネージャーの役割
グローバリゼーションと事業戦略
業界分析
イノベーション戦略
イノベーター理論とキャズムの概要
内部環境分析(バリューチェーン分析とVRIO分析)
ランチェスター戦略の概要
学習する組織とは
企業価値のマネジメント
経営理念・ビジョンと戦略の関係
市場分析
マーケット・ライフサイクルと規模の効果
マーケットセグメンテーションとポジショニングの重要性
経営戦略を動かす仕組み(6W2Hでゴール設定と細分化)
ベインのネットプロモーター経営(NPS)の概要
オムニチャネル戦略の概要
経営戦略の全体最適と個別最適(全社戦略と事業戦略)
戦略実行のための組織形態を考える
意図的に計画された戦略論
プラットフォーム戦略の概要
ポートフォリオ改善の仕組みづくりと機能最適化の3つの考え方
プロダクト・ライフサイクルとBCGダイヤモンド
BCGのプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)とGEのビジネス・スクリーン
現状成り行き予測
競争力の源泉
戦略評価のための指標(KPI)の設定とBSCの活用
ストラテジック・プランニング
戦略策定とフレームワークによる環境分析
事業戦略策定の5ステップ
事業戦略の目的(ゴール)と定量目標の設定
ストラテジー(経営戦略)とは
SWOT分析
暗黙知と形式知(SECIモデル)の概要
孫子の兵法の概要

HOME
HOME メルマガ登録 プロフィール お問い合わせ