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全社戦略策定の基本プロセス

今回は全社戦略策定のプロセスについて説明していきます。

 

この文章を読むことで、全社戦略の策定をどのようなプロセスで行えばよいか、策定の際に重要なことは何かを学ぶことができます。

 

全社戦略策定の基本プロセス

 

全社戦略を考える上で前提となってくるのは、企業の「ビジョン」と「ドメイン」になります。

 

ビジョンでは企業が5年後、10年後の未来にどのような姿になっていたいのかといった将来像を描きます。

 

ドメインはそのビジョンを達成するために、どのような事業領域を攻めるのかを検討します。

 

これらを前提にし、全社戦略は4つのステップで検討します。

 

全社戦略策定の基本プロセス1

 

?ビジョン/ドメインの設定

 

ビジョンとは自社が将来的にどこに至っていたいのかというゴールの大きな方向性を指し示す羅針盤となります。

 

戦略はそのゴールに向かってどのように到達するかという具体的な道順となります。

 

ビジョンは組織内の全員が共有すべき普遍的な到達点なのに対して、戦略とは自社や市場環境などの状況によって変化させるものとなります。

 

ドメインの設定については、事業領域を決めます。将来の姿を達成するために、どの領域で何をするかを決めることになります。

 

?資源配分(=事業ポートフォリオ戦略)

 

この最初のステップは全社戦略を検討する上で最も重要となります。

 

保有している事業を自社にとって必要か不必要かを判断し、コア事業とノンコア事業に分類します。

 

基本的には、ノンコア事業からは経営資源を吸い上げ、コア事業に対して重点的に分配していくことになります。

 

(参考事例)
近年、規制緩和、製品ライフサイクルの短縮化等の外部環境が激しく変化する中、これまで以上に厳しい競争環境下での経営の舵取りが必要となってきています。

 

どの企業にとっても、グローバル市場での競争は避けて通れない道となっています。

 

そのため、企業は自社の経営リソースをより成長が期待できる事業や競争優位を確保できる事業に集中し、それとは異なる事業は撤退や切り離しを行うことが求められています。

 

具体的な例を挙げますと、米ゼネラル・エレクトリック(GE)は、事業ポートフォリオの再編を進めており、今後も消費者から離れていく傾向にあります。

 

GEは2014年に家電部門をスウェーデンのエレクトロラックスに33億ドル(3,500億円)で事業を売却しました。

 

これによって、GEは金融と、発電用タービンや航空機用エンジンなどの高額な産業設備に専念することになります。

 

航空事業においても、モノ売りではなく販売した後の部品交換、修理、オーバーホール、エンジンの更新などアフターサービスによって収益を上げるようになっており、サービス事業へシフトしていると言えます。

 

他にもIBMも十数年前まではハードウェア(PCなど)を製造販売するメーカーの側面が強い事業体制でした。

 

しかし、2005年にIBMはPC事業をレノボに売却しました。これはその後のIBMの事業の中核が、ハードウェからサービス事業に移ったことを物語っています。

 

直近では、サービスおよびコンサルティングの事業が約4割、ソフトウェアが約4割、ハードウェアが約1割、ファイナンシングが約1割というポートフォリオになっています。

 

?機能の最適化

 

必要と判断された事業間において、機能の重複を防ぐなど機能の最適化を行います。

 

ただし、戦略的に機能重複をあえて認める場合もありますので、必要に応じてステップ?は省略されることもあります。

 

?実行

 

ノンコア事業に分類された事業の売却や撤退(精算)、コア事業への投資、事業間の機能最適化を行う場合は機能の集約などを実行します。

 

ここで速やかに実行できないと戦略が絵に描いた餅になってしまいます。

 

実行力のあるリーダーを配備することが肝要となります。

 

まとめ

 

全社戦略を策定するプロセスを考える上では、資源配分、つまりポートフォリオ戦略の中で自社のコア事業を見極め、ノンコア事業をときには売却するなどの決断が重要となってきます。

 

そして、実行においては、それまでに決められてきた内容をハイパフォーマンスの中で推進していくことが重要となります。

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