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戦略実行のための組織形態を考える

戦略実行のための組織形態を考える

今回は組織形態について説明していきます。

 

この文章を読むことで、戦略に応じた適切な組織形態について学ぶことができます。

 

戦略が円滑に動く組織が必要

 

戦略を絵に描いた餅とせず、確実に実行していくためにはPDCA(Plan⇒Do⇒Check⇒Action)などのプロセスを整備するだけではうまくいきません。

 

重要なことは、戦略を実行する「組織」を整備しておくことです。

 

戦略を実行する際の組織形態や戦略実行に必要な経営資源について、適切な状態を整備することで実行スピードは加速します。

 

組織形態は、組織が目的を達成するための手段であり、組織形態の検討に取り組むためには、まずは戦略の策定から進める必要があります。

 

これは、経営学者アルフレッド・D・チャンドラーJr.が掲げた「組織は戦略に従う」という言葉に表れています。

 

つまり、戦略やその実行計画の内容に応じて、「どのような組織形態をデザインするか」といったことを状況に応じて検討していく必要があります。

 

手順として、戦略に応じた適切な「組織のまとまり」を検討します。戦略上、成し遂げたいことを効率的に実現する組織としてまとまるように組織形態をデザインします。

 

典型的な組織形態は3つあります。@機能別組織、A事業部制組織、Bマトリクス型組織となります。

 

それぞれに特徴がありますので、戦略の内容によってどの組織形態を採用するかを考える必要があります。

 

@機能別組織

 

機能毎にまとまりを作る考え方になります。

 

機能とは、営業や製品の研究開発、部品の調達といった部門を指し、それら毎に組織をまとめます。

 

機能別に組織が活動する場合、同じ組織内のメンバーの役割が明確になり、組織毎に専門性やノウハウが蓄積されることがメリットとなります。

 

一方、デメリットは組織が大きくなってきた際に取り扱う製品種が増え、顧客数が増えたときに誰が何を担当するのかの役割と責任が曖昧となってしまうことす。

 

戦略実行のための組織形態を考える1

 

A事業部制組織

 

事業部制組織は、様々な観点で事業を区別してその事業毎にまとまりをつくる考え方となります。

 

用いられる観点は、製品や地域や顧客別となります。

 

例えば、製品別の事業部制組織をつくると、同じ組織内のメンバーで自部門の製品に関して研究開発、調達、生産、営業の全てを行うことになります。

 

メリットは製品が増加した場合にでも、部門内のメンバーに期待される役割は明確となります。

 

デメリットは事業のまとまり毎に営業、調達などの機能を備えることになりますので、全社視点で考えると機能が重複することによるムダが発生してしまいます。

 

戦略実行のための組織形態を考える2

 

Bマトリクス型組織

 

マトリクス型組織は、機能と事業の両方の観点でまとまりを作る考え方になります。

 

例えば、あるメンバーは特定の製品を取り扱う組織に属しながら、機能として営業組織にも属することになります。

 

ここでは、特定の製品を販売するという役割が明確になっています。

 

一方、メンバーは2つの組織に属することになるため、上司からの指揮命令系統が複数になり曖昧となってしまう可能性があります。

 

戦略実行のための組織形態を考える3

 

これらの3つの組織形態にはそれぞのメリット・デメリットがあります。

 

それらを踏まえて戦略実行に有効な組織形態を選択することが重要となります。

 

特別なタスクフォースチーム

 

3つの組織形態(機能別組織、事業部制組織、マトリクス型組織)は中長期の戦略を実行する場合に選択します。

 

一方、短期的な戦略に対応する場合、タスクフォースチームプロジェクトチーム)を組織します。

 

これは、一時的に自部門から離れてミッションを遂行します。

 

タスクフォースチームは、特定の課題を達成するために一時的に設置される組織のことを指します。

 

もともとは軍事用語で「機動部隊」が起源となります。

 

通常、タスクフォースのメンバーは組織内の各部署から横断的に抜擢され、必要に応じて社外の有識者を招集します。

 

例えば新製品開発などにおいて編成されるケースがあります。

 

特定の課題を達成したらその時点でタスクフォースは解散となります。

 

事例:日本マクドナルドによるタスクフォースチーム

 

日本マクドナルドホールディングスは、2015年にタスクフォースを組み、異物混入問題を発端とし、社内のお客様対応システムを再検証・業務改善を進めてきました。

 

タスクフォース発足の経緯は、2015年1月5日の東奥日報朝刊で、マクドナルド三沢店(青森県)で販売したチキンマックナゲットに青いビニール片が混入していた旨の報道が行われました。

 

これを契機に、マクドナルドの商品への異物混入の報道が相次ぎました。

 

一連の報道を通じて、異物混 入による品質への懸念だけでなく、マクドナルド側の危機管理対応不備による信頼の失墜、会社 の姿勢を問われる結果を招きました。

 

この事態を重く受け止め、2015 年1月12日に日本マクドナルドホールディングスは、品質保証、法務、お客様対応、オペレ ーションなど社内各部署の代表メンバーによって構成される、「タスクフォース」 を設置しました。

 

<タスクフォースチームのメンバー>

 

・日本マクドナルドホールディングス株式会社代表取締役上席執行役員(委員長)

 

・外部有識者

 

・外部専門家

 

[日本マクドナルド株式会社]

 

・社内委員 マックカフェ部 部長 コミュニケーション本部 本部長

 

・営業推進本部 ディストリクトマネージャー

 

・法務ガバナンス本部 法務部 部長

 

・コミュニケーション本部 PR 部 部長

 

・ナショナル・オペレーション本部 ROIP&CS 部 マネージャー

 

・コミュニケーション本部 ブランドコミュニケーション部 マネ―ジャー

 

・ナショナル・オペレーション本部 イノベーション推進部

 

・サプライチェーン本部 クオリティ・アシュアランス部 チーフ

 

・戦略インサイト本部 戦略企画部 チーフ

 

執行役員をチームトップに据え、社内外の関係者を招集した上で2015年1月12日にタスクフォースを立ち上げました。

 

同年3月19日までに7回の有識者会議を開催してきました。

 

最終的には同年4月30日に、異物混入4件の事例検証を通じたお客様対応プロセス上の問題点を特定し、改善案を取り纏めて、タスクフォースから経営層に対して最終報告を行いました。

 

タスクフォースチームはこの報告をもって解散となりました。

 

このような形でタスクフォースチームは部門横断でメンバーを一時的に集めて、問題解決に集中します。

 

タスクフォースの特徴としては、緊急性の高い問題の処理にあたる場合が多いです。

 

タスクフォースの長所は、柔軟かつ速やかに問題に対処でき、一定期間にエネルギーを集中するため、高い成果が期待できる点にあります。

 

短所としては、タスクフォースで獲得された新たな知識・情報が、タスクフォースの解散とともに消滅し、組織に浸透しづらいという点になります。

 

本事例にあるように企業の経営危機に陥るような重大な問題の場合、タスクフォースチームで検討した内容、ノウハウは形式知化して、後々他の従業員にも周知していけるようにしておくことが肝要です。

 

まとめ

 

基本的には戦略に応じて組織形態を考えていくことが重要となります。

 

チャンドラーは「組織は戦略に従う」という命題を示しました。

 

これは、デュポン社など当時の大企業の多くが多角化戦略を機能させるために事業部制組織を採用していることを理由に導出されました。

 

一方で、アンゾフの掲げた「戦略は組織に従う」という言葉にもある通り、現状の組織形態を鑑みて戦略を立てて実行することもあり得ます。

 

これらを踏まえると、「戦略と組織は、どちらかに従うという主従関係にあるのではなく、相互に影響しあっている」という考え方が現在では一般的です。

 

どんな優れた戦略でも、それを実現できる資源の組織化がうまく行われなければ、戦略は単なる「机上の空論」になってしまいます。

 

逆に、戦略構図を持たない企業は思いつきで整合性のない資源配分を行うことになり、長期的な環境変化には適応ができないでしょう。

 

企業が成長と存続を続けるためには、戦略と組織は相互補完の関係をもってなければならないのです。

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