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ストラテジック・プランニング

今回はストラテジック・プランニングについて説明していきます。

 

この文章を読むことで、組織を動かす基本的な仕組みであるストラテジック・プランニングについて学ぶことができます。

 

ストラテジック・プランニングとは

 

ストラテジック・プランニングとは、「戦略から計画へ、計画から予算へ」という戦略レベルを含む管理と計画の仕組みのことを指します。

 

1960年代に注目されはじめ、現在でも組織を動かす基本的な仕組みとして多くの企業で重用されています。

 

MITのロランジュ教授とハーバード大学のヴァンシル教授はストラテジック・プランニングのプロセスを創る要諦として6つを挙げています。

 

?企業全体の目標の伝達

 

企業全体の経営成果目標、売上目標や利益目標を先に示すか否かが課題となります。

 

戦略の策定に入る前に数値を見せるというバイアスがかかることもあるが、数値目標を示さないと戦略の方向性や具体性に掛けてしまうことが多い。

 

?目標設定のプロセス

 

全社的な立場からトップダウン的に戦略のプロセスを方向付ける重要な場合もあれば、現場に近いところからボトムアップ方式で行う方が良い場合もあります。

 

?本社における環境精査

 

本社が戦略の中身を具体的に検討できるくらいの知識と経験を持っているかが問われます。

 

本社が各部門の環境を把握しきれない場合、数値中心で管理せざるを得ません。

 

?マネージャーの焦点

 

部課であるマネージャーの焦点は戦略的か財務的かが問われます。

 

長期の財務予想を作成することには様々な利点がありますが、行き過ぎると数字合わせのための管理となるリスクが付きまといます。

 

?本社プランナーの役割

 

経営層の意思決定を補佐する役割を担います。

 

部門の計画通りのために刺激を与える役割など、本社のプランナーが期待される役割は状況に応じて幅があります。

 

?計画と予算のリンク

 

計画が完全に予算を縛るような状況もあれば、計画と予算の間に若干の時間的、金額的な余裕を設けて運用される場合もあります。

 

これらの?〜?の論点を組み合わせて、自社に適した戦略プロセスを構築することになります。

 

ストラテジック・プランニングのプロセスにおいては、社長が偉いからといって、事業戦略の全てを決められる立場にはありません。

 

また、事業部のモラルの観点からも必要以上に戦略に介入するのは望ましくありません。

 

さらに、ロランジュとヴァンシル教授は1976年に論文(How to Design a Strategic Plannin System)の中で、小規模企業と大企業によって?〜?の論点の影響が異なることを示唆しています。

 

例を挙げると、本社プランナーは、小規模企業であれば意思決定のための分析をトップに提供する役割がメインとなります。

 

一方、大企業では部門と調整を取りながらバランスよく進めていくことが求められます。このように6つの要因を設計することは非常に難しいタスクとなっています。

 

ストラテジック・プランニング1

 

【事例】
企業規模は中企業と大企業の間に位置している企業Aを事例として取り上げます。

 

A社は多角化が進んでおり、日本の事情はアメリカでは捉えにくいという点がガバナンスの観点から指摘されています。

 

この点については、図1の「大企業のスタート時」が該当するようになります。

 

そのため、A社では目標設定を行う際には、ボトムアップ方式で行い、数値ベースで環境精査を行います。

 

つまり、現場スタッフで戦略を立案し、それに見合った数値目標を出して本社プランナー側の期待と擦り合わせていくことが求められます。

 

このようなA社において、戦略から計画に落とし込む際には、数値目標を明確にすることが大前提となります。

 

付け加えると、このタイミングにおいては短期的には計画値と予算の数値が多少ずれていても伸び盛りの企業であれば、大目に見られる可能性もあります。

 

まとめ

 

ストラテジック・プランニングとは、「戦略から計画へ、計画から予算へ」落とし込んでいくことであり、それぞれの企業の立ち位置や規模によって気をつけなければならないポイントは異なります。

 

重要なことは6つのポイントを適宜組み合わせながら、戦略と計画と予算をうまく連動させていくことになります。

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