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戦略策定とフレームワークによる環境分析

今回は戦略策定とフレームワークによる環境分析について説明していきます。

 

この文章を読むことで、戦略策定における環境分析の重要性とフレームワークを活用した環境分析について学ぶことができます。

 

フレームワークを活用し、網羅的に環境分析を行う

 

経営戦略を有効かつ効果的に策定するためには、自社を取り巻く外部環境と自社の内部環境を客観的な事実情報から正確に把握することが重要となります。

 

インターネットの普及によって、巷には大量の情報が流れている状況下において、自社に関係する情報を精度高く取り込んで、取捨選択することは容易ではありません。

 

この情報収集の段階で適切な情報を集めることができなければ、その後の環境分析で間違えた結果を導き出してしまいます。

 

環境分析を行う上で、情報収集とそれらの整理は最重要事項と言えます。

 

大量に溢れている情報の中から自社を取り巻く内部・外部環境に関する情報を抜け漏れなく、網羅的に抽出するには、フレームワークを活用することが非常に有効であり、効率的であると言えます。

 

ここでは戦略策定に関する代表的な6つのフレームワークについて説明します。

 

?PEST分析 (外部環境分析)

 

?5Forces分析 (外部環境分析)

 

?バリューチェーン分析 (内部環境分析)

 

?VRIO分析 (内部環境分析)

 

?3C分析 (内部/外部環境分析)

 

?SWOT分析 (内部/外部環境分析)

 

「PEST分析」と「5Forces分析」は自社を取り巻く外部環境を分析するためのフレームワーク、「バリューチェーン分析」と「VRIO分析」は自社の内部環境を把握するためのフレームワーク、「3C分析」「SWOT分析」は内部環境と外部環境の双方の視点から環境分析するためのフレームワークになっています。

 

自社を取り巻く外部環境の分析

 

PEST分析

 

外部環境分析はマクロな視点から自社を取り巻く環境を分析することが大切になります。

 

PEST分析とは分析を行う視点の頭文字を取ったものになります。

 

それぞれ、?政治(Politics)、?経済(Economy)、?社会(Society)、?技術(Technology)となっており、自社ではコントロール不可能でありながらも経営に影響を与える要素を整理・分析します。

 

?政治では、昨今のマイナンバー制度が導入されると、個人のあらゆる情報が一元管理されるため、情報を取り扱う企業はセキュリティの強化が必須となります。

 

?経済面では、例えば為替相場の変化で円安・ドル高が急激に進んだ場合、輸出関連企業にとっては追い風となり、輸入関連企業にとっては逆風となってしまいます。

 

?社会では”少子化”の影響によって、ランドセルメーカーや学習塾などは顧客の新規獲得や囲い込みを考えなければなりません。

 

?技術面では、ICT技術の進展によって、企業では遠隔地とのコミュニケーションや仕事を行える制度を整備し、在宅勤務を可能とすることで労働環境を良くし、女性の結婚や出産による退職を防止するなどの施策が検討されています。

 

戦略策定とフレームワークによる環境分析1

 

5Forces分析

 

5Forces分析は自社が属する業界の魅力度を分析するためのフレームワークであり、マイケル・E・ポーターが提唱したものです。

 

ここでの魅力度とは業界内において、収益を見込めるか否かを示しています。

 

ポーターは業界内の収益に影響を与える5つの要素を「既存競合同士の敵対関係」、「新規参入の脅威」、「代替品・代替サービスの脅威」、「供給者の交渉力」、「買い手の交渉力」としています。

 

ファーストフードであるハンバーガー業界を例に図示します。業界内は既存企業による過当競争が激化しており、新規参入として、これまでに日本進出していなかった海外ファーストフード店が日本へ進出してきています。

 

代替品としてコンビニやカフェなどにおいてもそれぞれの強みを打ち出したハンバーガーを販売するなどされており、競争は激化していると言えます。

 

また、供給者である原材料メーカーからは値上げを主張され、買い手である若者においては、食への関心の高まりによってファーストフード離れが進んでいます。

 

このように分析した場合、ハンバーガー業界の企業はどのような施策を打つ必要があるのかを分析するためのフレームワークとなっています。

 

戦略策定とフレームワークによる環境分析2

 

内部環境分析

 

バリューチェーン分析

 

バリューチェーンとは「価値連鎖」という意味を持っており、企業が提供する製品やサービスの付加価値が事業活動のどの部分で創出されているのかを分析する手法となっています。

 

付加価値に着目し、自社の競争優位性を把握した上で戦略を考えます。

 

それぞれの活動内でマージン(利益)を加えて全体の付加価値を表したものになります。

 

1つのある製品やサービスが顧客の手元に届くまでには、様々な事業活動が発生します。

 

ここでは、自動車や家電などの製造メーカーのバリューチェーンと通信業界のバリューチェーンについて図示します。

 

戦略策定とフレームワークによる環境分析3

 

VRIO分析

 

内部環境分析では、自社内の強みと弱みを把握することが重要となります。

 

VRIO分析は分析を行う視点の頭文字を取ったものになります。

 

それぞれ、経済価値(Value)、希少性(Rarity)、模倣困難性(Imitability)、組織(Organization)となっています。

 

経営戦略を立案する上で外部環境だけでなく、自社の強みを活かすために内部環境を把握するための分析方法となります。

 

ここでは、世界シェアNo.1の自動車メーカーA社を事例にVRIO分析を行います。図示したようにA社では低コストな自動車を供給可能であるために経済的価値があり、他社にはない画期的な性能を有するエンジンを自社開発し搭載することによって、A社の自動車でしか味わえない乗り心地を提供しているため希少性が高いと言えます。

 

また、A社では自社で開発した様々な技術を特許で守っており、他社からの模倣が非常に困難である。

 

またノウハウの塊である生産ラインを海外工場に移転して稼働させることが可能な仕組みを組織的に作り上げています。

 

これらの4つの視点において強みを発揮していることがA社が世界No.1の自動車メーカーである理由となっています。

 

戦略策定とフレームワークによる環境分析4

 

内部/外部双方からの環境分析

 

3C分析

 

3Cはそれぞれ、顧客(Customer)や競合(Competitor)の動向や自社(Company)の強みや弱みを分析します。

 

顧客の面においては、市場や顧客のニーズの変化を知ることが重要となります。

 

競合分析では、競合企業が市場や顧客のニーズの変化にどのように対応しているかを把握することが重要となります。

 

そして、自社分析においては、市場や顧客にニーズの変化に合わせ、競合の対応を牽制しながら、自社の強みを活かして施策を立案します。

 

具体例として、A社において、売上減少が発生し、その原因分析するような際に3C分析を用いることを想定します。

 

ここでは、顧客の来店率が低下し、新規顧客の獲得もできていないということが見て取れます。

 

また、既存の競合企業は新商品を投入し、新規参入企業の増加によって競合企業自体が増加していることもわかります。

 

そして、自社は人件費が利益を圧迫しているとともに商品開発力が低下しています。

 

これらの情報から、A社は人件費を抑えつつ、顧客のニーズに見合った新商品の開発に注力し、顧客の維持と新規顧客の創出をする必要があると言えます。

 

戦略策定とフレームワークによる環境分析5

 

SWOT分析

 

SWOT分析とは、分析したい企業を「強み(Strength)」、「弱み(Weakness)」、「機会(Opportunity)」、「脅威(Threat)」の4つの視点から情報を整理して分析する手法となります。

 

「強みと弱み」の視点は内部環境について分析し、それらが外部環境で分析した(機会と脅威)に対してどのように対応していく必要があるかを考案します。

 

このように内部環境と外部環境を軸にしたフレームワークで情報を整理することで、戦略立案を補助します。

 

ここでは、世界シェアNo.1の自動車メーカーであるA社をSWOT分析したものを図示します。ここから導出される施策の例として、機会である新興市場でのハイブリッド車の需要拡大を取り込むということが考えられます。

 

A社はハイブリッド車で圧倒的なシェアを取っており、大量生産と生産ノウハウによるコストダウンが可能なため、競合他社よりも低価格で高品質なハイブリッド車を新興市場に投入するという施策が想定されます。

 

戦略策定とフレームワークによる環境分析6

 

まとめ

 

経営戦略を立案するためには、適切な情報を抜け漏れ・ダブりなく整理した上で、内部/外部の環境分析を行うことが非常に重要となっています。

 

情報の整理には、フレームワークを活用することが効果的であり、それぞれの特徴を知った上で使い分け、組み合わせて環境分析をすることが大切になります。

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