儲かるビジネスモデルの仕組みと作り方を理解する
同じような商売をしていても、儲かっている企業とそうでない企業があります。なぜ、そのような違いが生まれるのでしょうか。
資本金の違いでしょうか。従業員数の違いでしょうか。確かに、資本金や従業員が多い企業の方が、投資も多くできますし、広範囲にわたって営業もかけられます。しかし、小資本で数人で運営しているような中小企業でも、大きく稼いでいる会社はあるのです。
それでは、そのような勝ち組企業は、他と何が異なるのでしょうか。その答えは「ビジネスモデル」です。
成功している企業は、必ず稼げるビジネスモデルを作り上げています。この記事では、中小企業や個人事業主でも構築可能な、儲かるビジネスモデルの仕組みと作り方を解説していきます。
ビジネスモデルは5W1Hで考える
儲かるビジネスモデルを構築するためには、まずビジネスモデルとは何かということを理解する必要があります。ビジネスモデルを考えるうえで役に立つのが、5W1Hです。つまり、以下の枠組みでビジネスを捉えていきます。
・WHO(WHOM):誰に
・WHAT:何を
・WHEN:いつ
・WHERE:どこで
・WHY:なぜ
・HOW:どのように
そして、この6項目の後ろに「売るのか?」という言葉を足します。つまり、次の6つの質問に答えることが、ビジネスモデルを考えるということです。
・誰に売るのか?
・何を売るのか?
・いつ売るのか?
・どこで売るのか?
・なぜ売るのか?
・どのように売るのか?
これらの質問に明確に答えられれば、ビジネスモデルを構築することができます。例として、基礎化粧品を通信販売している再春館製薬所の場合を考えてみます。
・誰に売るのか:30代以上の女性
・何を売るのか:基礎化粧品ドモホルンリンクル
・いつ売るのか:24時間
・どこで売るのか:TVや雑誌、インターネットなど
・なぜ売るのか:老化による悩みや苦しみを和らげ、幸せに年齢を重ねることを応援する為
・どのように売るのか:通販(ダイレクト・テレマーケティング)
このように、5W1Hで考えて整理すると、とてもわかりやすくビジネスモデルを理解できると思います。しかし、ただ思いつきで5W1Hの項目を埋めていっても、儲かるビジネスモデルを作ることはできません。
例えば、再春館製薬所が「誰に売るのか」の項目を、10代の女性に設定してしまったら、ドモホルンリンクルは全く売れないでしょう。年齢肌が気になる30代以上の女性をターゲットにしているから、大ヒット商品となったのです。
このように、それぞれの項目で「正しい答え」を導き出さなければなりません。それでは、各項目ごとに注意すべき点を詳しく解説していきます。
誰に売るのか(WHO):ターゲット市場を考える
これからビジネスを始める人にとっても、新規事業を計画している企業にとっても、市場の選択は最重要となります。マネジメントの父と呼ばれるP.F.ドラッカーは、「真のマーケティングは、顧客から出発する」と言っています。
つまり、正しい市場(顧客)を選択しなければ、ビジネスは最初から躓いてしまうのです。そして、新しくビジネスを始める際には、ターゲットを絞ることが大切です。需要が多様化している現代では、誰にでも売れるモノなどありません。自社商品の価値を理解してくれる一部の人々に向けて、商品を販売していくのです。
資本も知名度もない中小企業にとっては、ニッチ市場をターゲットにすると良いでしょう。例えば、化粧品の販売で考えた場合、「30代以上の女性」では広すぎます。このような大きな市場をターゲットとすることは、再春館製薬所という大企業だから可能なのです。
これから、化粧品市場に打って出るのであれば、例えば「女子大生専用」など、もっと市場を狭めてターゲットを絞る必要があります。しかし、ターゲットを絞ると聞いて、多くの人が陥る落とし穴があります。それが「ニッチの罠」です。
ブルーオーシャンによるニッチの罠
一時期、「ブルーオーシャン戦略」という言葉がビジネスパーソンの間で流行しました。ブルーオーシャン戦略とは、競合ひしめく飽和市場(レッドオーシャン)を避けて、競合企業が手を出していない新市場(ブルーオーシャン)を開拓し、そこで一人勝ちをするという戦略です。
ブルーオーシャン戦略のメリットは、競合がいないので、低コスト高単価でビジネスができるということです。ブルーオーシャン戦略が流行してから、多くの企業が自社だけの新市場を見つけようとやっきになりました。中には大成功を収めた企業もあります。
しかし、大多数の企業は失敗しました。その大きな理由は、ブルーオーシャンに魚がいなかったというものです。魚とは、商品を欲しがっている人々です。せっかくニッチな市場を見つけたのはいいのですが、そこには自社商品の需要がなかったということです。これを「ニッチの罠」と私は呼んでいます。
特にビジネスの素人は、ブルーオーシャンを見つけようと極端にニッチな市場をターゲットに選んでしまいがちです。例えば、化粧品市場で考えた場合に、「女子中学生専用化粧品」などは、魚のいないブルーオーシャンでしょう。
確かに女子中学生専用というのはニッチな市場です。しかし、女子中学生はまだ子供ですので、そもそも化粧をしないという子も多いと思います。また、化粧に興味を持っていたとしても、化粧品を買うだけのお金を持っていないでしょう。
このような市場をターゲットにしても、商品が売れることはありません。これは極端な例ですので、普通はそのような失敗はしないと思うかもしれません。しかし、多くの人がこのような「ニッチの罠」に嵌るのです。そのため、ビジネス素人は本来、ブルーオーシャンで勝負をするべきではありません。
レッドオーシャンの一部を取りにいく
市場を選択する場合におすすめなのは、レッドオーシャンの一部を取りにいくという考え方です。レッドオーシャンには多数の競合が存在しますが、競合が多いということは儲かる市場だということでもあります。つまり、レッドオーシャンには多くの需要があるのです。
需要が多いということは、市場のパイが大きいということでもあります。その大きなパイを多くの企業で取り合っています。新しくビジネスを始める際は、需要があることが保証されている分、大きなパイの一部を取りにいく方が簡単なのです。
例えば、基礎化粧品市場はレッドオーシャンです。しかし、市場自体はとても大きいので、1つの企業だけでは全ての需要に応えることはできません。そこで、「60代女性専用基礎化粧品」など、大きな市場の一部にターゲットを絞って狙い撃ちします。そうすることで、レッドオーシャンの中にニッチを作り出すことができるのです。
このように、「誰に売るのか」を考える際には、まず需要があることが絶対条件だということを忘れてはなりません。魚がたくさんいる場所で、独自のニッチ市場を作り上げることが重要です。
何を売るのか(WHAT):売れる商品を考える
「誰に売るのか(WHO)」が明確になったら、次は「何を売るのか(WHAT)」を考えていきます。
まず、商品やサービスを設計するうえで考慮すべきことは、売れないモノを売ってはならないということです。これは、不良品や低品質な詐欺商材のようなガラクタのことを言っているのではありません。そのようなものを販売することは倫理に反するので、もちろん行ってはなりません。
しかし、ここでいう売れないモノとは、世の中で普通に販売されている高品質な商品やサービスです。しかし、その中でも売れるモノと売れないモノがあるのです。その違いは、商品やサービスが製品ライフサイクルのどの時期にあるかということです。
突然、製品ライフサイクルと言われても、よくわからないと思いますので、詳しく解説していきます。
製品ライフサイクルを理解する
製品ライフサイクルとは、製品が市場に登場してから退場するまでに、「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4つの段階を経るという理論です。通常の製品ライフサイクルは、販売数を縦軸に、時間を横軸にプロットした場合に、S字の曲線を描きます。
導入期
導入期は、まだ市場に製品が認知されていないので、広告費などの莫大なマーケティング費用がかかります。この時期に参入してしまうと、コストがかかりすぎて利益が出せず赤字になってしまうことが多いでしょう。
成長期
成長期は、導入期で行ったマーケティング活動の結果、製品が認知され始める時期です。そのため、これまで鳴かず飛ばずだった商品が急に売れ始めます。成長期は、黙っていても商品が売れていくので、顧客獲得コストも下がり、顧客の獲得に最も適した時期だといえます。
成熟期
成熟期は、市場のほぼ全ての購入者に製品が行き渡り、成長が止まる時期です。各企業のマーケットシェアも固まっていき、パイの奪い合いになります。また、新規参入が難しくなります。
衰退期
衰退期は、製品の売上が減少していき、製品が市場から退場に向かう時期です。
例えば、スマートフォンは2000年頃に市場に登場しましたが、しばらくは一部のマニア層のユーザーしかいませんでした。しかし、2007年にiPhoneが発売されたのをきっかけに、世界的な流行となります。そして2017年には、日本のスマートフォン普及率は約8割となっていました。
これを製品ライフサイクルに当てはめると、スマートフォンは2000年頃〜2007年頃が導入期で、2008年頃から成長期に入っていると考えられます。今後、普及率が100%を超えたあたりで成熟期が来るでしょう。
このように、全ての商品・サービスにはライフサイクルがあります。そして、自社の商品が製品ライフサイクルのどの時期にあるのかを把握することはとても重要です。なぜなら、製品ライフサイクルの中で利益を得られる時期は限られているからです。
利益は成長期と成熟期のみで得られる
上記の製品ライフサイクルの図を見てみると、販売数はS字カーブを描いています。しかし、実は利益は販売数と同じようなS字カーブを描きません。商品から得られる利益は、製品ライフサイクルの中で以下のような曲線を描きます。
導入期では、商品の市場浸透を図るために、莫大なマーケティング費用がかかるので、利益を得ることは難しいのです。衰退期は、売上自体が激減していく時期ですので、同じく利益は出ません。
つまり、利益は成長期と成熟期のみで作られるのです。しかし、成熟期では値下げ競争などで、利益率がどんどん落ちていきます。そのため、実質的に十分な利益を得られるのは成長期であると言えるでしょう。
このことから導き出される結論は、成長期にない商品であれば、新規参入をしても成功する確率が低いということです。
米国の億万長者であるロバート・アレンは、成熟期以降の商品を扱うことは、「下りのエスカレーターを上る」ようなものであると表現しています。どんなに努力をしても、下りのエスカレーターに乗っていては上に行くことは困難です。
そのため、商品を選択をする際は、上りのエスカレーターに乗ることが、つまり成長期にある商品を扱うことがとても重要なのです。特に、成長期の前期にある商品は、顧客獲得コストがとても低いため、顧客リストを構築するにはうってつけと言えます。
賢い経営者は、商品の成長期に売って売って売りまくり、まずは顧客リストを構築します。そして、その後にバックエンド商品を顧客リストに向けてセールスをすることにより、利益を上げていくのです。
ビジネスモデルにおいて、何を売るのか(WHAT)を考える際には、まず「成長期にある商品」であるということを大前提として選択することが大切です。
既存商品がすでに成熟期にある場合の対処法
これから起業する場合や新規事業を始める場合は、扱う商品を選択することが可能です。しかし、既存の商品、既存のビジネスが成熟期に入ってしまっていて、打開策を探っているということもあるでしょう。
既に自社の商品やサービスが製品ライフサイクルの成熟期に入ってしまっている場合は、次の3つの施策を行うことによって、再び成長曲線を描くことができるようになります。
1. 専門化する
2. ローコスト化 or 高級化
3. 市場を変える
それぞれ詳しく解説していきます。
1. 専門化する
例えば、化粧品で考えてみましょう。あなたが化粧品メーカーを経営していて、売上、利益ともに減少してきている状況に悩んでいるとします。多くの化粧品はすでに成熟期に入っているので、今後大幅な成長は見込めません。
しかし、ここで再春館製薬所のドモホルンリンクルのように、基礎化粧品のみに特化してマーケティングを行うとどうでしょうか。あなたの会社は、基礎化粧品専門の化粧品メーカーであるという認識が広がれば、新規の顧客が増えていく可能性があります。
他の商品を捨てて、一つの商品に絞れということではありません。入口となる商品を専門化して、まず顧客を獲得します。その後、既存客に対して、他の商品もすすめていけばよいのです。
このように、入り口となる商品(フロントエンド)を専門化することにより、既存商品であっても、新たな成長カーブを描くことができます。
2. ローコスト化 or 高級化
ローコスト化 or 高級化とは、極端な値下げをするか、極端な値上げをするということです。まず、ローコスト化では、ビジネスにかかる費用を可能な限り抑え、カットできた費用分を値下げするのです。
例えば、化粧品は元々製造コストが安く、粗利率の高い商材です。実は、高価な化粧品のコストの大部分は広告費であることが多いのです。化粧品業界では、ブランドイメージの構築が重要となるため、必然的に広告費が高くなり、その分が価格に反映されていきます。
しかし、広告費を大幅に削って、その分の価格を値引きした場合、「安くて品質の良い商品であれば、ブランドにはこだわらない」という層から支持を得られるかもしれません。このように、ローコスト化によって、新たな客層を取り込むことができる場合もあります。
反対に、高級化では極端に価格を上げます。これには、ブランドの構築が必要なので、さらなるマーケティング費用がかかります。しかし、その分値上げをすることにより、「高いけれど良いもの」というイメージを作り上げるのです。
高級化路線のメリットは、富裕層を相手にすることができるということです。富裕層をターゲットにしたビジネスは、少ない顧客数でも収益を得ることができるので、効率の良いビジネスモデルを作り上げることができます。
3. 市場を変える
市場を変えるとは、既存の商品を新しい市場に投下するということです。先ほどと同様に、化粧品の例で考えてみましょう。例えば、女性用の口紅を製造しているメーカーが、それまでの技術を用いて、リップクリーム市場に参入する場合などが市場を変えるということです。
口紅とリップクリームは似たような商品ですが、使用用途は全く違います。口紅はおしゃれのために使用しますが、リップクリームは乾燥防止のために用いるものです。つまり、市場が異なります。
このように、従来とは異なる市場に既存商品を投下することによって、新たな成長曲線を描くことができるのです。
以上、既存のビジネスが成熟期に入ってしまっている場合は、上記の3つの方法を試してみるとよいでしょう。
いつ売るのか(WHEN)、どこで売るのか(WHERE)
5W1HのWHENとWHEREの部分、つまり、「いつ売るのか」「どこで売るのか」に関しては、業態に規定されます。例えば、新宿の歌舞伎町で居酒屋を経営するのであれば、以下のようになるでしょう。
いつ売るのか(WHEN):17時〜26時
どこで売るのか(WHERE):歌舞伎町2丁目
インターネット通販会社であれば、次のようになります。
いつ売るのか(WHEN):24時間
どこで売るのか(WHERE):WEBサイト
つまり、いつ、どこで、というのは、あなたの会社の業態に依存するのです。しかし、時間的、空間的な制約がない方が、購買機会が増えます。そのため、売上のことを考えるのであれば、インターネットを活用して、「24時間どこでも買える」という体制を取り入れられると有利になります。
例えば、居酒屋の例で考えると、「自社オリジナルのサラダドレッシングをインターネットで通信販売する」など、顧客の購買機会を増やす工夫をすることが大切です。
なぜ売るのか(WHY):企業理念を考える
優れた企業には、必ず優れた企業理念があります。企業理念とは、創業者の想いと言い換えてもよいでしょう。ビジネスを行う理由であり、事業を運営する目的となるものです。
例えば、有名なものでは、以下のような企業理念があります。
・株式会社セブンーイレブン・ジャパン
「私たちは いかなる時代にもお店と共に あまねく地域社会の利便性を追求し続け 毎日の豊かな暮らしを実現する」
・松竹株式会社
「日本文化の伝統を継承、発展させ、世界文化に貢献する。時代のニーズをとらえ、あらゆる世代に豊かで多様なコンテンツをお届けする」
・株式会社タニタ
「私たちは、「はかる」を通して世界の人々の健康づくりに貢献します」
・株式会社エイチ・アイ・エス
「ツーリズムを通じて、世界の人々の見識を高め、 国籍、人種、文化、宗教などを越え、世界平和・相互理解の促進に貢献する」
・株式会社アミューズ
「感動だけが人の心を撃ち抜ける」
上記に挙げた企業理念で共通しているのは、「社会への貢献」を目的としているということです。どの企業もお金を儲けるためにビジネスを行っているのではありません。お金を儲けることは、目的を達成するための手段なのです。
「お金儲け」を目的としたビジネスは長続きしません。社会への貢献であったり、自身が情熱を持てる何かを得るために、ビジネスを行うのです。「なぜ売るのか(WHY)」を考えるにあたっては、この企業理念を明確にする必要があります。
上記のような大企業の企業理念を見ると、とても立派に感じるので、自身も同じような理念を掲げなければならないと思うかもしれません。しかし、そのように気負い過ぎる必要はありません。
あなたが、なぜビジネスを行いたいのか、なぜその商品やサービスを扱いたいのか、少し立ち止まって考えてみましょう。
確かに、最初は「お金持ちになりたい」「起業ってかっこよさそうだから」などの動機があったかもしれません。しかし、それだけではいつか挫折してしまいます。ビジネスを行うことは、つらいことの方が多いです。そのときに、「お金」や「見栄」だけではモチベーションを維持できません。
情熱を持てるものを見つけましょう。お金がなくてもやり続けられるほどの情熱です。それは、子供の頃からの夢であったり、社会的なミッションであったりすると思います。そのような夢やミッションを企業理念として紙に書き出し、どのような逆境でも忘れないように心に刻み込みましょう。
どのように売るのか(HOW):ジェイ・エイブラハムの売上の方程式
5W1Hの最後は、「どのように売るのか(HOW)」です。つまり、どのように売上を上げていくのかということです。これには、全米No.1コンサルタントと呼ばれるジェイ・エイブラハムの売上の方程式を理解する必要があります。
ジェイ・エイブラハムの売上の方程式とは、以下のようなものです。
売上=クライアント数(何人)×客単価(何円)×取引回数(何回)
この方程式からわかることは、ビジネスを成長させる方法は以下の3つしかないということです。
・クライアントの数を増やす
・クライアント一人当たりの平均販売額を増やす
・クライアントの購入する頻度を増やす
つまり、売上を上げるためには、この3つの方法のいずれか、もしくは全てを行えばよいということです。それでは、どのように上記3つの施策を行えばいいのか、具体的な手法を解説していきます。
クライアントの数を増やす施策
クライアントの数を増やすにあたって大事なことは、顧客獲得単価を下げるということです。ただ単に顧客を獲得すればよいということではありません。いかに少ない費用で多くのクライアントを得られるかが重要です。
例えば、広告を打てばお客さんは集まってくるでしょう。しかし、広告費が高すぎて、利益が出なければビジネスとして成り立ちません。そのため、低コストで顧客を集める方法を探さなければなりません。
そこで、私が推奨する手法が、コンテンツマーケティングです。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、インバウンドマーケティングとも呼ばれますが、簡単にいえば、自社のオウンドメディアを持ち、そこにアクセスを集め、集客していくという手法です。
オウンドメディアとは、ブログや専門ポータルサイトのことです。自社のビジネスや商品、サービスに関することなどを、ブログやサイトの記事として投稿します。その記事の読者は、あなたの会社や商品に関心がある可能性が高いです。
そこで、オウンドメディア上から資料請求や問い合わせを受け付けることで、見込み客を集めていくのです。
リストマーケティング
他にも、無料オファーで見込み客リストを集めるという方法があります。読者がもっと知りたいと思うような情報を、PDFや動画にまとめて、無料のプレゼント(無料オファー)を作成するのです。無料オファーと引き換えに、読者の名前やメールアドレスを取得し、見込み客リストを築いていきます。
その後メルマガを発行して、見込み客とコミュニケーションを図り、信頼関係を築いてからセールスを行うと、成約率が高くなります。このような手法をリストマーケティングやメールマーケティングと呼びます。
これらの手法は、ほとんど無料で行うことができるので、顧客獲得コストの面から見ると、とても効果的であるといえます。しかし、SEOと呼ばれる検索結果に自社の記事を上位表示させる施策を行わなければなりませんので、時間と手間がかかります。
集客に時間がかけられない場合は、やはり広告を打つことが最も手っ取り早い方法です。集客にお金をかけるのか、時間と手間をかけるのか、そのときの状況に合わせて選択すると良いでしょう。
クライアント一人当たりの平均販売額を増やす施策
クライアント一人当たりの平均販売額を増やすとは、一言でいえば「客単価を上げる」ということです。クライアント数が少なくても、客単価が上がれば売上は高くなります。
それでは、客単価を上げるにはどのような方法があるでしょうか。最も簡単な方法は、値上げをするということです。値上げをすれば、その分客単価は上がります。しかし、値上げをすると、多くの場合、客数が減ります。特に、値上げをする十分な理由が提示できない場合は、客足が遠のくでしょう。
それでは、値上げをする以外に、客単価を上げる方法はないのでしょうか。実は、値上げ以外にも客単価をアップさせる方法がいくつかあります。例えば以下の手法は効果的です。
・アップセル&クロスセル
・特典をつける
・情報商品をつくる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
アップセル&クロスセル
アップセルとは、顧客に上位版の商品をすすめる手法です。例えば、喫茶店で珈琲を注文するお客さんに、高級なプレミアム珈琲を薦めるというやり方です。
クロスセルとは、顧客に関連商品をすすめる手法です。例えば、喫茶店で珈琲を注文するお客さんに、一緒にケーキをすすめるというやり方です。
この手法に反応する顧客は必ず一定数います。比較的簡単にできる手法ですので、アップセルとクロスセルをまだ行っていないのであれば、すぐに取り入れてみましょう。
特典をつける
テレビショッピングを見てみると、値段の発表の後に、必ず何かしらの特典がついてくると思います。例えば布団のテレビショッピングの場合、「本日こちらの布団をご注文いただいたお客様に限り、特典として低反発枕をプレゼントいたします」といったシチュエーションを目にしたことがあるかと思います。
この場合の価格は、実は低反発枕の値段も含まれた金額になっています。それを特典という見せ方をすることで、お得感を演出できるのです。
このように特典をつけることで、単価を上げることができます。
情報商品をつくる
情報商品を売るとは、顧客の役に立つ情報を冊子や文字データ、動画などにまとめ、販売するということです。情報商材やデジタルコンテンツなどと呼ばれています。既存の商品やサービスとは別に、原価をかけずに商品を用意できるので、比較的簡単に商品ラインナップを増やすことができます。
情報商品は単独で販売することも可能ですし、特典やクロスセル商品として扱うこともできます。最大のメリットは、原価がかからないので売上のほとんどが粗利になるところです。非常に粗利率が高い(場合によっては粗利率100%)ので、全体の利益にも貢献します。
これらの手法を取り入れて、客単価を上げる工夫をしてみましょう。
クライアントの購入する頻度を増やす施策
クライアントの購入する頻度を増やすには、顧客と継続的にコミュニケーションを行う必があります。顧客は常日頃から広告に晒されているので、コミュニケーションが途切れた時点であなたの企業のことを忘れてしまいます。
継続的なコミュニケーションを図ることを前提として、購入頻度を増やす効果的な手法に以下のものがあります。
・情報提供によって接触回数を増やす
・バックエンドを複数用意する
・継続課金の仕組みを取り入れる
それぞれ詳しく解説していきます。
情報提供によって接触回数を増やす
接触回数を増やすことには、心理学的に意味があります。単純接触効果(ザイアンス効果)といって、人は接触する回数が多いほど好感を抱きやすくなるという法則があるのです。そのため、接触回数を増やすことにより、顧客との信頼関係を強め、定期的な購買につなげていきます。
しかし、意味もなく何度も接触を図ると、反対に顧客から嫌われる可能性が高いです。下手をするとスパム行為だと思われ、接触を拒否されることもあります。それでは、どのように顧客と接触を図ればよいのでしょうか。
答えは、定期的に情報提供を行っていくのです。情報提供とは、顧客の役に立つ情報をメルマガやDMなどで提供していくものです。
例えば、寝具の通販会社であれば、顧客は「安眠」や「快眠」に関心があることが容易に想像できます。そのため、「安眠」「快眠」に関する情報を提供していけば、顧客に喜ばれるでしょう。
「最も深い眠りにつける時間帯」「安眠に最適な室温」など、顧客の興味を先読みして情報コンテンツをつくり、メールなどで提供していきます。そうすることで、顧客に喜ばれながら接触回数を増やすことができます。
これにより、顧客が寝具を購入しようと思ったときに、真っ先に自社を思い出してもらえるようになります。
バックエンドを複数用意する
バックエンドとは、一度商品を購入してもらった既存顧客に販売する商品で、一般的に利益率の高い商品です。ビジネスでは、新規客に商品を販売して終わりではありません。むしろ、既存客にセールスをすることによって、利益を確保していくのです。
新規客に商品を売る場合は、広告費などのマーケティング費用がかかるので、利益は薄くなります。しかし、既存客であれば、余計なマーケティングコストがかからないので、利益率が高いのです。
クライアントの購入頻度を増やすには、バックエンドを複数用意する必要があります。なぜなら、購入頻度を増やそうにも、売るものが少なければ限界があるからです。そのためには、継続的に商品やサービスの開発を行っていく必要があります。
しかし、商品開発には時間がかかるので、即効性は求められません。そのため、すぐにバックエンドが欲しいという場合は、他社の商品を販売するという方法もあります。正確には、他社の商品を紹介して、売上の一部を手数料として課金するという手法です。これを「アフィリエイト」といいます。
アフィリエイトと聞くと、サラリーマンの副業のようなイメージがありますが、それだけではありません。ビジネスにおける効果的な手法として、多くの企業で取り入れられています。
しかし、アフィリエイトばかり行っていると、自社商品のブランド価値が落ちてしまいますので、バランス良く取り入れることが肝要です。
継続課金の仕組みを取り入れる
クライアントの購入回数を増やす最も効率的な方法は、継続課金の仕組みを取り入れることです。継続課金とは、毎月1回など、決められた期間で自動的に課金される仕組みです。例えば、新聞や携帯電話の料金などは継続課金の代表的なものです。
自社のビジネスに継続課金のシステムを取り入れられれば、自動的に顧客の購入回数を増やすことができます。継続課金を導入するためには、会員制のサービスを取り入れたり、消耗品の販売を行ったりする手法があります。
継続課金に関しては、この後の項目で詳しく解説します。
以上、5W1Hでビジネスモデルを見てきました。このように細かく分解して考えていくと、漠然とした概念ではなく、具体的なフレームワークとしてビジネスモデルを理解できると思います。
儲かるビジネスの4条件
ここまで、ビジネスモデルの作り方を解説してきましたが、ここからは、具体的にどのようなビジネスモデルが儲かるのか解説していきます。儲かるビジネスモデルにはいくつかの共通点があります。例えば、実業家の堀江貴文氏は、儲かるビジネスの4条件として、以下のポイントを挙げています。
・粗利が高いビジネス
・在庫を持たないビジネス
・月極収入のあるビジネス
・小資本で始められるビジネス
それぞれ詳しく説明していきます。
粗利が高いビジネス
粗利とは、売上から、材料費や仕入れ費用などの売上原価を引いた利益のことです。粗利が高いビジネスとは、粗利率が高い、もしくは粗利額が高い商品を扱っているビジネスということです。
なぜ粗利が高くないといけないのかというと、ビジネスには固定費がかかるからです。固定費とは、事務所の賃料であったり、人件費であったり、商品が売れても売れなくても必ず毎月かかる費用のことです。
また、商品を販売するためには、広告費などのマーケティング費用がかかります。粗利が低いと、いくら売上が上がっていたとしても、このようなコストを差し引いた場合に、利益が薄くなってしまいます。下手をすれば、売った分だけ赤字になるということもありえるのです。そのため、十分な利益を確保するためには、高い粗利が要求されます。
例えば、紙の書籍と電子書籍では、電子書籍の方が粗利率が高いことがわかると思います。なぜなら、紙の書籍は材料費や印刷代がかかりますが、電子書籍はデジタルデータなので、その両方の費用がかからないからです。
このようなことを考えると、販売するために同じ労力がかかるのであれば、電子書籍を扱った方が有利であることがわかります。
それでは、具体的にどの程度の粗利があればよいのでしょうか。日本でのダイレクト・マーケティングの第一人者であり、経営コンサルタントの神田昌典氏は、粗利率なら70%以上、粗利額なら10万円以上が理想だと言っています。
現在はIT技術の発達によって、さまざまなコストが削減できるようになっているので、粗利率を高める工夫がしやすい環境になってきています。コストを下げる、価格を上げる、ぜひ両方の面から多くのアイディアを出してみましょう。
在庫を持たないビジネス
在庫を持たないビジネスとは、例えばサービス業やデジタル商品の販売業などです。治療院や美容院などは手技を売るビジネスなので、在庫が必要ありません。また、先ほども言及した電子書籍の販売なども、デジタルデータなので、在庫が不要です。
在庫はバランスシート上では資産に含まれるのですが、実際問題として売れなければお金が入ってきません。売れ残ればそのまま損失となってしまうのです。そのため、在庫を持たないビジネスの方がリスクが低いことがわかります。
在庫が必要なければ、仕入れや製造にかかる費用も不要となりますので、資金的にも大変有利になります。
月極収入のあるビジネス
月極収入とは、毎月一定の収入が自動的に入ってくるということです。購入頻度を増やす施策のところで言及した、継続課金の仕組みと同じ意味です。
なぜ、月極収入のあるビジネスが儲かるかというと、1回のセールスで継続的な売上を得ることができるからです。通常の販売手法では、1回のセールスにつき、1回の売上となります。しかし、月極収入は、1回セールスを行えば、その後解約されるまでに何度も収入を得ることができるのです。
また、将来の売上が予測できるというメリットもあります。来月どの程度売上があるかわからない不安定なビジネスの場合、将来に向けての投資をすることに躊躇してしまうでしょう。しかし、月極収入があれば、数か月先、場合によっては数年先までの売上予測を立てることができるので、設備投資や新商品開発などの投資を積極的に行うことができます。
このように考えると、他のビジネスモデルに比べて、月極収入のあるビジネスがいかに優れているか理解できるかと思います。
小資本で始められるビジネス
これから起業する場合や、新事業を開始する場合、少なからず資本金が必要になります。しかし、当然ですが、ビジネスとは成功するかどうかわからない、先行き不透明なものです。最初から大資本を投下してビジネスを始めてしまった場合、失敗したときの損失が大きすぎます。
また、ビジネスは動きながら修正を繰り返していくものです。最初の計画通りに事は運びません。そう考えると、小回りが利く方が有利であり、軌道修正がしやすいのです。大資本を投下して事業を開始してしまうと、そのような柔軟性が失われる可能性があります。
現在は、IT技術の発達により、小資本でもビジネスをスタートすることができるようになってきました。必要最低限の投資は必要ですが、最初から全てを揃えようとせず、小資本から始める方が賢明です。そして、軌道修正を繰り返しながらビジネスを成長させていくようにしましょう。
以上、儲かるビジネスの4条件を解説してきました。ここからは、上記の条件を踏まえたうえで、私が奨励する具体的なビジネスモデルを2つ紹介していきます。
情報仲介型ビジネスは利益率が高い
まず最初にお勧めするビジネスモデルは、「情報仲介型ビジネス」です。このビジネスモデルは、利益率が非常に高いという特長があります。
情報仲介型ビジネスとは、その名の通り、情報を仲介することで収益を上げるビジネスモデルです。例えば、不動産仲介業などが、このビジネスモデルの代表的なものです。
不動産仲介会社は、自社で不動産を保有しているのではなく、不動産を借りたい人と貸したい人を仲介することで手数料を稼いでいます。そこには、在庫は存在せず、情報だけが介在します。また、情報には原価がありませんので、売上の大部分が粗利となり、大変利益率が高いのです。
実は、大企業の中にも、この情報仲介型ビジネスモデルを取り入れている会社が多くあります。一般に「元請け」と呼ばれる立場にある企業です。例えば、大手の広告代理店はこのビジネスモデルを取り入れています。
大手の広告代理店は、広告主と広告制作会社を仲介しています。実際は、下請けというかたちで広告制作会社に発注をしているので、広告主側には広告制作会社は見えていません。しかし、多くの場合、自社の社員が広告物を制作をしているのではなく、広告制作会社のスタッフが請け負っていることが多いのです。
つまり、広告を出したい企業と、広告を作りたい企業の情報を仲介しているという構造になっています。
また、建設業界における「ゼネコン」と呼ばれる総合建設会社も、情報仲介型ビジネスを取り入れています。デベロッパーと呼ばれる開発業者(依頼主)から依頼を受けて、ビルなどの建物を建設しますが、実際に現場で工事を行うのは、土木や内装、設備などの専門工事会社です。
ゼネコンは元請けとなって、下請けの工事会社に発注しているという構造になっているので、デベロッパーには各工事会社は見えていません。しかし、実際は、デベロッパーと工事会社の仲介をしているのです。
このように、「元請け」という立場になって、情報仲介をするビジネスモデルはとても儲かります。上記で紹介した例は大企業のモデルとなりますが、もちろん中小企業や個人事業主でも、情報仲介型ビジネスモデルを取り入れることができます。
それでは、弱小企業はどのようにこのビジネスモデルを取り入れていけばよいのでしょうか。以下に具体的な方法を3つご紹介します。
・アフィリエイト
・ドロップシッピング
・マッチングビジネス
それぞれ詳しく解説していきます。
アフィリエイト
アフィリエイトとは、他社の商品やサービスを紹介することで、成果が上がった場合に売上の一部を報酬として得られるという仕組みです。アフィリエイトは、自社で商品を持つ必要がなく、他社の商品の情報をお客に紹介すればいいだけなので、売上の大部分が粗利となります。
アフィリエイト・サービス・プロバイダ(ASP)という成功報酬型広告を配信するサービス・プロバイダがあり、そこでさまざまアフィリエイト商品を取り扱っています。アフィリエイトを行う場合は、このASPに登録することで、簡単に始めることができます。
アフィリエイト商品を販売する具体的な方法としては、ブログやサイト、メルマガなどのオウンドメディアで、ASPに登録されている商品の販売ページURLを紹介します。そして、そのURL経由で商品が売れた場合に、成果報酬を得られるという仕組みになっています。
ASP以外でも、紹介したい商品やサービスがあれば、直接その会社と交渉して契約するということも可能です。直接交渉した方が、報酬の面などで有利な条件で契約できる場合のあります。
ドロップシッピング
ドロップシッピングとは、ネットショップの一形態であり、主に物販に用いられる手法です。WEB上でネットショップを開設し、商品が売れた場合に、メーカーや卸売り業者から消費者に直送させるという仕組みのビジネスモデルです。
ドロップシッピングではネットショップの運営者は、在庫を持つ必要がなく、発送作業も不要です。仕入れ値だけが決まっているので、販売価格は自由に決められます。そのため、やり方次第では、大きな粗利を得ることが可能です。
また、事務所や倉庫も必要ありませんので、低リスクで運営できますし、効率的な物販ビジネスといえます。
マッチングビジネス
マッチングビジネスとは、「人と人」「企業と企業」「企業と人」を結びつけるビジネスモデルです。先ほども言及した不動産仲介業などが、これにあたります。他にも、転職サイトや結婚相談所なども、マッチングビジネスの代表的なものです。
不動産仲介業では、不動産を借りたい人と貸したい人をマッチングする。転職サイトでは、転職したい人と採用したい企業をマッチングする。結婚相談所では、結婚したい男女をマッチングさせます。
このように、両者の需要がマッチするように互いの情報を仲介するのが、マッチングビジネスです。
マッチングビジネスの具体的な取り入れ方としては、現在ではマッチングサイトを運営するというのが主流です。例えば、転職サイトのように、求人情報を多数掲載して、求職者を会員登録させることにより、マッチングを行っていきます。
マッチングサイトの特長として、ユーザーが増えれば増えるほど、ビジネスの価値が高くなっていくということが挙げられるでしょう。そのため、いかにユーザー数を確保できるかが勝負となります。
マッチングビジネスも、在庫が必要なく小資本で始められますので、非常に粗利率の高いビジネスモデルといえます。また、一度事業が軌道に乗り始めれば、少しのメンテナンスだけで自動的に収益をもたらしてくれるので、少ない労力で運営できるというメリットもあります。
以上が、中小企業や個人事業主が情報仲介型ビジネスモデルを取り入れるための、具体的な方法です。3つのうちのいずれかをあなたのビジネスに活用することで、収益構造が改善すると思いますので、ぜひ取り入れてみましょう。
ストックビジネスは、最小限の労力で継続収入を得られる
次に私が推奨するビジネスモデルは「ストックビジネス」です。ストックビジネスとは、以下の2つ条件を満たすビジネスモデルです。
・継続的な収入がある
・ビジネス自体を売却することができる
例えば、新聞社や携帯電話の通信キャリアなどが、このビジネスモデルに当てはまります。つまり、継続課金の仕組みを取り入れているビジネスと言い換えることができます。
しかし、人材に依存するビジネスや下請けのビジネスはストックビジネスとは言えません。
例えば、予約が何か月先も埋まっている、有名なシェフが経営するレストランがあるとします。確かに、先々まで予約が入っているので継続収入が見込めますが、その有名シェフがいなくなれば客足は途絶えてしまいます。つまり、シェフである経営者は、レストランを現在の価値のまま売却することができないので、ストックビジネスとはいえません。
また、大口顧客により継続的に仕事の発注をもらえる下請け企業も、継続的な収入が見込めます。しかし、大口顧客が倒産したり、他の業者に切り替えられてしまったりした場合に、一気に収入が途絶えてしまうでしょう。このようなビジネスモデルも、ストックビジネスとは呼びません。
ストックビジネスのメリット
ストックビジネスのメリットは、最小限の労力で、将来に渡って継続的な収入を得られるということです。儲かるビジネスの4条件の中の「月極収入のあるビジネス」でも説明しましたが、1回のセールスで継続収入が確保でき、将来の売上予測が立てられることが最大のメリットとなります。
ストックビジネスの反対はフロービジネスです。フロービジネスとは、例えば、ラーメン屋が1杯のラーメンを作り、700円の売上を上げて終わりというものです。これでは、労働した分しか収入が得られませんし、常に新規客を集め続けなければなりません。
例え、人気のラーメン屋になり、お客の行列ができたとしても、増えたお客の分だけラーメンを作る労力も増えていきます。これでは、労働集約的なビジネスモデルとなってしまい、人件費などのコストも増加するので、効率が悪いのです。
しかし、この人気ラーメン屋の看板を貸し出して、他人に経営させ、売上の一部を課金したとしたらどうでしょうか。ラーメン屋の店主は一切働かなくても、毎月自動的に収入が入ってくる仕組みを作ることができます。つまり、最小限の労力で継続収入を得ることができるようになるのです。
この手法をフランチャイズといいますが、フランチャイズもれっきとしたストックビジネスです。ストックビジネスでは、フロービジネスにはない効率性を得ることができます。
ストックビジネスの作り方
もちろん大企業だけでなく、中小企業や個人事業主でもストックビジネスの仕組みを構築することができます。それでは、どのようにストックビジネスのモデルを取り入れていけばよいのでしょうか。私が推奨する方法は次の3つです。
・固定課金モデルを導入する
・ロイヤリティ課金モデルを導入する
・消耗品購入モデルを導入する
それぞれ詳しく解説していきます。
固定課金モデルを導入する
固定課金モデルとは、毎月決まった金額を顧客に課金するモデルです。例えば、雑誌の定期購読などがこれにあたります。このモデルを取り入れるのに有効な方法は、会員制をビジネスを取り入れることです。
会員制ビジネスとは、例えば、大型倉庫店の「コストコ」やオンライン動画配信会社の「ネットフリックス(Netflix)」、24時間利用可能な「スポーツジム」などです。いずれも定額料金を支払っている会員でないと利用できないサービスを提供しています。
会員制モデルは、さまざまな業種で取り入れることができます。例えば、ラーメン屋で会員制を取り入れるのであれば、毎月一定の会費を支払えば、「毎回ラーメン1杯100円引き」「無料のトッピングを受けられる」といったような特典を与えるのです。
ラーメンの原価はそれほど高くないので、若干の値引きをしても利益を確保できますし、会費という継続収入があることは安心につながります。また、会員になることで常連客になってもらえる可能性も高いのです。
このように、会員制モデルは、工夫次第で多くのビジネスに取り入れることができますので、固定課金モデルを導入するには最適といえます。
ロイヤリティ課金モデルを導入する
ロイヤリティ課金モデルとは、先ほど解説したフランチャイズビジネスのように、看板(ブランド)やノウハウの利用対価として、売上に対して一定の報酬を課金する仕組みです。
フランチャイズは飲食店やコンビニエンスストアなど、さまざまな業種で取り入れられています。しかし、ロイヤリティ課金モデルはフランチャイズだけではありません。例えば、コンサル業などでも取り入れることが可能です。
コンサル業といえば、毎月顧問料を徴収する固定課金モデルが一般的ですが、ロイヤリティ課金モデルを構築することもできます。例えば、他社の新規事業の立ち上げや起業時に、経営コンサルタントとしてノウハウを提供するとしましょう。
その際に、最初は小額か無料でコンサルを行います。そして、事業が軌道に乗り、売上が上がった段階で、「売上の10%」など一定の報酬を課金するのです。そうすれば、コンサルをした会社が存続する限り、将来に渡って継続的に収入を得ることができます。
ロイヤリティ課金モデルは収入を得るまでに時間がかかりますが、一度構築してしまえば、ほとんど労力をかけずに毎月報酬を得られるという仕組みを作ることができるのです。
消耗品購入モデルを導入する
消耗品購入モデルとは、ビジネスの世界では「ジレットモデル」とも呼ばれています。なぜジレットモデルと呼ばれるのかというと、カミソリ製品を扱うジレット社に由来しているからです。
ジレット社はカミソリを販売するにあたって、まずカミソリ本体をタダ同然で販売しました。それにより、ジレット社のカミソリを使うユーザーが爆発的に増えたのです。しかし、そのカミソリ本体は、ジレット社の扱う「カミソリの刃」しか交換できない仕様になっていました。
そのため、ジレット社のカミソリを使用する人々は、継続的にジレット社からカミソリの刃を購入することになります。そして、ジレット社は「カミソリの刃」の販売で莫大な利益を上げました。
このように、「カミソリの刃=消耗品」であることから、消耗品購入モデルがジレットモデルと呼ばれているのです。消耗品購入モデルは、カミソリ以外にも多くの企業で用いられています。
例えば、プリンターも消耗品購入モデルに該当するでしょう。オフィスに置かれているプリンターは、格安で販売されています。なぜなら、プリンター自体は耐久品ですが、プリンターのインクは消耗品であるため、プリンターメーカーはインクで収益を上げているからです。
他にも、ウォーターサーバーもこのモデルを採用しています。サーバー自体は無料か格安で販売し、「水」で利益を上げているのです。
このように、最初に本体を格安で提供し、その後に付随する消耗品の継続購入によって収益を上げていく仕組みが、消耗品購入モデルです。このモデルを取り入れられるのは、消耗品を扱っている企業に限られますが、もしあなたの会社が消耗品を扱っているのであれば、ぜひ導入してみてください。
ポイントとなるのは、以下の2点です。
・本体を無料もしくは格安で提供すること
・消耗品に互換性がないこと
ユーザー数を増やすことがこのビジネスモデルの肝ですので、最初は赤字覚悟で本体を広く提供し、顧客を獲得することが重要です。
また、消耗品に互換性があると、他社の安い類似品を使用されてしまうリスクがありますので、必ず自社の製品を使ってもらえるような、製品上の工夫をしましょう。
以上、ストックビジネスを自社のビジネスモデルに取り入れる方法を解説してきました。ストックビジネスは、あらゆるビジネスの中でも優位な仕組みといえます。また、情報仲介型ビジネスとも相性が良いので、2つのモデルを組み合わせることができれば、最強のビジネスモデルを構築することができるでしょう。
ぜひ、あなたのビジネスにも取り入れてみてください。
まとめ
・ビジネスモデルを考える際には、5W1Hのフレームワークを活用する
・誰に売るのか(WHO)を決める際は、レッドオーシャンの一部を取りに行くことを考えるのがベターである
・何を売るのか(WHAT)を決める際には、製品ライフサイクルの成長期にある商品を扱うべきである
・いつ(WHEN)どこで(WHERE)売るのかは、自社の業態に規定されるが、インターネットを活用して「24時間どこでも買える」という体制を取り入れられると有利である
・なぜ売るのか(WHY)を決める際には、社会への貢献であったり、自身が情熱を持てる何かを得ることを目的として企業理念を掲げるべきである
・どのように売るのか(HOW)を決める際には、ジェイ・エイブラハムの売上の方程式に従うと良い
・儲かるビジネスの4条件はとは、以下である
1. 粗利が高いビジネス
2. 在庫を持たないビジネス
3. 月極収入のあるビジネス
4. 小資本で始められるビジネス
・利益率の高い情報仲介型ビジネスを始めるには、「アフィリエイト」「ドロップシッピング」「マッチングビジネス」のいずれかを取り入れると良い
・最小限の労力で継続収入を得られるストックビジネスを始めるには、「固定課金モデル」「ロイヤリティ課金モデル」「消耗品購入モデル」のいずれかを導入すると良い
おすすめ商材
最も儲かるビジネスモデルの1つであるストックビジネスの中に「会員制ビジネス」があります。
会員制ビジネスをもっと詳しく学びたければ、シリコンバレー企業に対するコンサルタントであり、会員制ビジネスのスペシャリストであるロビー・ケルマン・バクスターの著書をおすすめします。
「シリコンバレー発 会員制ビジネス起業術(著者:ロビー・ケルマン・バクスター)」
会員制ビジネスは数多あるビジネスモデルの中でも最強なので、ぜひ読んでみてください。