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ダイレクト・マーケティングの意味を理解して効果的に活用するやり方

ITの発達した現代において、多くのビジネスでインターネットを活用したマーケティング活動が行われています。消費者の観点から見ても、購買プロセスにインターネットでの検索という行動が自然と組み込まれているのを実感できると思います。

 

しかし、このような世の中で、本当の意味で正しくマーケティング活動を行えている事業者はどの程度いるでしょうか。インターネットの普及により便利になった世の中だからこそ、正しくマーケティングを行うことで、これまで以上に事業を成長させることができるのです。

 

しかし、反対に間違った方法で行っていれば、成果が上がるどころかライバルにどんどん差をつけられてしまいます。そこで、確実に成果を上げるために、ITとの相性が最も良いマーケティング手法である、ダイレクト・マーケティングのやり方を解説していきます。

 

ダイレクト・レスポンス・マーケティング(DRM)とは

 

ダイレクト・マーケティングはダイレクト・レスポンス・マーケティングとも呼ばれています。人によって呼び方は違いますが、ここでは同じ意味だと考えてください。

 

それでは、ダイレクト・レスポンス・マーケティングとはどういったマーケティング手法なのでしょうか。

 

ダイレクトとは「直接」という意味です。レスポンスは「反応」です。つまり、直接反応マーケティングです。では、マーケティングとはどういう意味でしょうか。

 

マーケティングとは

 

経営学の父といわれるP.F.ドラッカーは、以下のように言っています。

 

「マーケティングの理想は販売を不要にすること」

 

多くの人が勘違いしていますが、マーケティングは販売(セールス)に関することではないのです。むしろセールスとは正反対のものです。

 

販売(セールス)とは「売り込み」のことです。もう少しわかりやすく表現すると「お客さんに買ってくださいと提案(お願い)すること」です。ドラッカーは、マーケティングの理想は「お客さんに買ってくださいと提案(お願い)すること」を不要にすることだと言っているのです。

 

つまり、マーケティングとは「商品・サービスが自動的に売れていく仕組」だと考えられます。

 

ダイレクト・レスポンス・マーケティングの正しい意味

 

上記からダイレクト・レスポンス・マーケティングの意味を考えると、「直接反応を得て、商品・サービスが自動的に売れていく仕組」ということになります。

 

では、何から直接反応を得るのでしょうか。それは顧客や見込み客です。言い換えればマーケット(市場)ですね。

 

つまり、ダイレクト・レスポンス・マーケティングの正しい意味は、「マーケットから直接反応を得て、商品・サービスが自動的に売れていく仕組」となります。

 

ダン・ケネディの3M

 

それでは、ダイレクト・レスポンス・マーケティングの正しい意味が理解できたところで、これを正しく行う方法を考えていきましょう。

 

億万長者メーカーと呼ばれているダンケ・ネディはダイレクト・レスポンス・マーケティングの権威の一人です。彼はダイレクト・レスポンス・マーケティングを活用して自身が億万長者になっただけでなく、その方法を他人に教え、多くの億万長者を生み出してきました。

 

彼はダイレクト・レスポンス・マーケティングを正しく行うためには3つのMが重要だと言っています。以下がその3つのMです。

 

・マーケット
・メッセージ
・メディア

 

3M

 

この3つのMのうち一つでも誤ったものがあれば、ダイレクト・レスポンス・マーケティングは失敗してしまいます。つまり以下のものは全て間違った施策となります。

 

誤ったマーケット − 正しいメッセージ − 正しいメディア
正しいマーケット − 誤ったメッセージ − 正しいメディア
正しいマーケット − 正しいメッセージ − 誤ったメディア

 

ダイレクト・レスポンス・マーケティングを成功させるには以下の組み合わせが必須だということです。

 

正しいマーケット − 正しいメッセージ − 正しいメディア

 

では、3Mに関してそれぞれ詳しく考えてみましょう。

 

正しいマーケット

 

マーケット(市場)というと抽象的なイメージを持ってしまいがちですが、簡単にいうとお客さんのことです。つまり正しいマーケットを選ぶということは、正しいお客さんを選ぶということです。

 

もう少し詳しくいえば、自社の商品に適した見込み客をターゲットにしましょうということです。これが正しくできていないと、誤ったマーケットを選んでしまうことになります。

 

例えば、あなたはコンピューターに詳しく、パソコン教室を運営しようと考えているとしましょう。そして教室を開く候補地を探しています。そこであなたはひらめきます。

 

「IT企業が集まるオフィス街に教室を開けば、パソコンを使う人が多いので、すぐに生徒が集まるはずだ!」

 

しかし、お気づきの通り、これでは上手くいかないでしょう。なぜなら、IT企業で働く人たちは元々パソコンが得意なので、パソコン教室で学ぶ必要がないからです。パソコン教室に通おうと思う人は、IT企業が集まるオフィス街には少ないでしょう。

 

実際にはパソコン教室がターゲットにすべき人々は、パソコンに疎いシニア世代かもしれません。その中でも、主婦はパソコンの知識が少ない方が多いので、ターゲットとしては最適ではないでしょうか。

 

このように、誤ったマーケットを選ぶと、全く的外れな人にアプローチしてしまうことになります。「誰」に対してメッセージを発信するのか、ターゲットを正しく選択することは非常に大切です。

 

正しいメッセージ

 

メッセージとは、ターゲットとなる見込み客を獲得するために、マーケットに対してあなたがオファーするものです。例えば、商品やサービス、資料、無料体験、景品などです。

 

このメッセージが不適切なものであると、見込み客は全く反応しません。先ほどのパソコン教室の例で考えてみましょう。

 

あなたはパソコン教室のターゲットをシニア世代の主婦と決めました。そこで、その人たちを集客するために何かしらのメッセージを届けなければなりません。

 

あなたは、まずパソコンの基本スキルとなるワープロや表計算ソフトの使い方について需要があるのではないかと考えました。そこで、その基本知識をまとめた簡単な小冊子を作り、見込み客に配布することを思いつきます。その小冊子の中に教室の案内を入れておけば、問い合わせがくるだろうという狙いです。

 

しかし、待てど暮らせど問い合わせが来ません。目論見が外れてしまい、途方に暮れていました。そんなある日、とうとう問い合わせの電話が鳴ります。電話に出てみると、「インターネットのやり方は教えてくれますか?」と聞かれました。

 

あなたはそこで、ようやく自分の大きな過ちに気がつきました。見込み客はインターネットのやり方を知りたかったのです。自分にとってはインターネットのやり方など当たり前すぎて、頭からすっぽり抜けていたのでした。

 

よくよく考えてみれば、シニア世代の主婦に対してワープロや表計算ソフトについての小冊子を配っても、反応がないはずです。彼女たちの日常にそんなものを使う場面はほとんどないのですから。それよりも、インターネットを使って調べ物をしたり、ショッピングをしたりする方法を知りたかったのです。

 

これが、誤ったメッセージを発する例です。この場合、パソコン初心者であるシニア世代の主婦にメッセージを届けるのですから、インターネットのやり方やパソコンの選び方、セッティングの仕方など、もっと初歩的なメッセージを発信しなければならなかったのです。

 

正しいマーケットであっても、誤ったメッセージを発していては、見込み客を獲得することはできません。

 

正しいメディア

 

正しいマーケットを選定し正しいメッセージを用意できたら、最後は正しいメディアを選ばなければなりません。メディアにはさまざまな種類があります。

 

例えば、TVや新聞、ラジオ、雑誌、Webサイト、ブログ、SNS、DM、チラシ、FAX、メール、看板…などです。

 

メディアを選ぶ基準は、ターゲットとなる見込み客が、どのメディアに多く触れているかということです。見込み客が普段接していないメディアに広告を出しても、反応が得られず広告費が無駄になってしまいます。

 

パソコン教室の例で考えてみると、例えばインターネットのやり方を知りたいというターゲットに対して、オンライン広告を出したらどうなるでしょうか。

 

当然、インターネットを使うことができない人がオンライン広告を見ることはできないので、まったく意味がありません。この場合は、オフラインのメディアを選ぶべきです。例えば、地元の雑誌やチラシなどですね。

 

パソコン教室の例ではオンライン広告は使えませんが、Web広告はターゲットを細かく指定することができるので、上手に運用すれば効率よく見込み客にアプローチすることが可能です。

 

正しいマーケットに正しいメッセージを正しいメディアを通して届けることが重要なのです。

 

ダイレクト・レスポンス・マーケティングのメリット

 

それでは、ダイレクト・レスポンス・マーケティングを行うことのメリットを解説していきます。ダイレクト・レスポンス・マーケティングは全ての企業で活用することが可能ですが、特に中小企業や個人事業主にメリットのある手法です。

 

ダイレクト・レスポンス・マーケティングのメリットは大きく以下の3つです。

 

・効果測定ができる
・接近戦ができる
・ジェイ・エイブラハムの売上の方程式に沿って施策を行える

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

効果測定ができる

 

ダイレクト・レスポンス・マーケティングはレスポンス(反応)を得ながら行うマーケティングです。レスポンスとは、問い合わせの電話や資料請求、メルマガの登録など、あなたが顧客や見込み客に要求する行動全てを指します。

 

レスポンスを得られることによって、効果測定を行うことができます。行った施策に対して、どの程度反応があったかを、具体的な数字で確かめることができるのです。

 

このレスポンスはメディアを通して顧客や見込み客へ要求するものですが、広告の中で行うことが多いです。そこで、ダイレクト・レスポンス・マーケティングを理解するうえで、広告には大きく2種類あることを知っておかなければなりません。

 

ブランド広告とレスポンス広告

 

広告にはブランド広告(イメージ広告)レスポンス広告の2種類があります。

 

ブランド広告とは、わかりやすくいえば一般的なテレビCMです。例えば、自動車のテレビCMはかっこよくスタイリッシュなので、視聴者の印象に残るものが多いでしょう。しかし、この広告は印象には残りますが、視聴者に何もレスポンスを要求していません。

 

一方、レスポンス広告とは、それを見た人に何らかのレスポンスを要求する広告です。例えば、資料請求やサンプルの申し込みを促す広告などがそれに当たります。レスポンス広告で有名な企業でいえば、基礎化粧品のドモホルンリンクルを扱っている「再春館製薬所」などがあります。

 

また、「ジャパネットたかた」のようなテレビショッピングも、「今すぐお電話ください」などのレスポンスを要求していますので、レスポンス広告になります。

 

そして、ダイレクト・レスポンス・マーケティングでは、レスポンス広告しか使ってはいけません。なぜなら、ダイレクト・レスポンス・マーケティングはその名前の通り、レスポンス(反応)を得ながら行うマーケティングだからです。

 

レスポンスが得られるということは効果測定ができるということです。効果測定ができれば、軌道修正をしながら正しい施策を打つことができます。

 

ブランド広告ではレスポンスが得られないので、効果測定ができません。そのため、感覚でマーケティングを行うことになってしまいます。自動車のテレビCMでは、視聴者のうち何人がその車に興味を持ち、何人がそのCMによって購入したかを計測することは不可能です。

 

そのため、ダイレクト・レスポンス・マーケティングではブランド広告を使用しません。一般にブランド広告を活用して効果を得られるのは、年商300億円以上の企業だと言われています。つまり、多くの中小企業や個人事業主はレスポンス広告を活用しなければならないのです。

 

レスポンス広告を活用することにより、その広告に何人が反応し、最終的に何人が購入したかを計測することができます。

 

テストしながら施策を行う

 

効果測定ができるということはとても重要です。

 

なぜなら効果測定ができれば、テストができるからです。Aというマーケティング施策とBというマーケティング施策があった場合に、テストを行い効果の高かった方を選ぶことができます。

 

例えば、ある商品の資料請求を求める広告を2種類作成し、最低限の広告費でそれぞれの広告を市場に投下します。地域や時期を分けて、どちらの広告にどの程度反応があったかわかるようにしておきます。そして、資料請求(レスポンス)の多かった方の広告を採用すれば、より高い成果を見込むことができるのです。

 

このように、効果測定ができれば事前にテストが行えるので、効果のない施策に莫大な費用を投下せずに済むのです。これがブランド広告であれば、効果があることを祈ることしかできません。また、他により良い広告案があったとしても、客観的なデータを得られないので、「こっちの方がいい気がする」といった主観で判断するしかないのです。

 

テストを行い効果測定をしてから広告を出すことで、最終的な成果を予測することができます。これがダイレクト・レスポンス・マーケティングのメリットの1つです。

 

接近戦ができる

 

先ほどダイレクト・レスポンス・マーケティングは中小企業や個人事業主ほどメリットがあると書きましたが、その理由の一つに接近戦で戦えるということが挙げられます。

 

ダイレクト・レスポンス・マーケティングはその名の通りダイレトに(直接)行うマーケティング手法です。ダイレクトとは見込み客に直接接触するということです。

 

有名なビジネス戦略の中にランチェスター戦略というものがあります。ランチェスター戦略とは、フレデリック・ランチェスターが見つけ出した戦争における法則を、ビジネスに応用したものです。

 

ランチェスター戦略の中に「弱者の戦略」というものがあります。弱者とは市場シェア2以下の全ての企業のことを指しますが、ここでは単に中小企業や個人事業主などの弱小企業と捉えた方がわかりやすいでしょう。

 

つまり、「弱者の戦略」とは弱小企業がいかにして大企業と戦うか、もしくは市場において一定のシェアを獲得するためにはどのような戦術を用いるべきか、を教えてくれるビジネス戦略です。

 

ランチェスター戦略では、弱者は「接近戦」を用いるべきだと教えています。つまり、顧客と一番近いところで戦わなければならないということです。その理由は、強者より先に顧客ニーズの把握や顧客とのコミュニケーション強化を図って、商品のヒット率を上げるためです。

 

そして、ダイレクト・レスポンス・マーケティングは、まさに顧客から直接レスポンスを取りながら施策を行うので、弱者に有利なマーケティング手法なのです。

 

ジェイ・エイブラハムの売上の方程式に沿って施策を行える

 

ジェイ・エイブラハムとは全米No.1コンサルタントと呼ばれるマーケッターで、彼の顧客にはIBMやマイクロソフト、シティバンクなどの世界的な大企業が名を連ねています。

 

ジェイ・エイブラハムはビジネスを成長させる方法は以下の3つしかないと言っています。

 

・クライアントの数を増やす
・クライアント一人当たりの平均販売額を増やす
・クライアントの購入する頻度を増やす

 

つまり、ビジネスの総収入は以下の方程式で決まります。

 

クライアント数(何人)×客単価(何円)×取引回数(何回)=総収入

 

この方程式にしたがって、それぞれの数字を増やしていけばビジネスを大きく成長させることができるのです。そして後ほど詳しく解説していきますが、ダイレクト・レスポンス・マーケティングでは、上記の3つの施策を全て行うことができます。

 

以上が、ダイレクト・レスポンス・マーケティングの3つのメリットです。

 

ワンステップマーケティングとツーステップマーケティング

 

それでは、どのようにダイレクト・レスポンス・マーケティングを進めていけばよいのでしょうか。具体的な説明に入る前に、まずはそのプロセスを理解しておかなければなりません。

 

ダイレクト・レスポンス・マーケティングには、基本的に以下の2つのやり方があります。

 

・ワンステップマーケティング
・ツーステップマーケティング

 

ワンステップマーケティングとは

 

ワンステップマーケティングは広告で直接商品を販売する手法です。例えば、インターネット上のバナー広告をクリックすると商品販売ページに飛ばされることがあると思います。これがワンステップマーケティングです。

 

世の中の多くの商品がこのワンステップマーケティングで売られています。ワンステップマーケティングは低価格な商品には適していますが、高額商品は売りにくいというデメリットがあります。

 

ツーステップマーケティングとは

 

ツーステップマーケティングとは、まず商品・サービスに興味がある人を集めて、信頼関係を築いてから販売するという手法です。ワンステップマーケティングと比べて、見込み客と信頼関係ができている分、高額商品でも売りやすいという特長があります。

 

具体的な方法としては、まずは資料やサンプルを請求させるなどして、見込み客情報(電話番号や住所、メールアドレスなど)を取得します。次に見込み客とコミュニケーションを取り信頼関係を築きます。そして、信頼関係ができた状態で最後に販売を行うというプロセスです。

 

フロントエンドとバックエンド

 

ダイレクト・レスポンス・マーケティングでは、商品は大きく2種類に分けられます。それはフロントエンドバックエンドです。この2種類の商品を活用してお客を集めて利益を上げていきます。

 

フロントエンドとは

 

フロントエンドとは「集客商品」のことです。その名の通り、集客するための商品です。例えば、スーパーマーケットの折り込みチラシなどに、「本日の目玉」などと書かれてある、原価ぎりぎりや原価割れで販売される商品があると思います。あれがフロントエンドです。

 

つまり、利益を出すためではく、お客さんを集めるために販売する商品です。そのため、価格は低く設定され利益は出ません。

 

フロントエンドは、まだ見込み客と信頼関係ができていない状態で販売するものなので、とても売りにくいという特徴があります。そのため、価格を安くしなければならないのです。

 

バックエンドとは

 

バックエンドとは「利益商品」のことです。フロントエンドによって集まったお客さんに販売し、利益を上げるための商品です。スーパーマーケットの例でいえば、格安の目玉商品以外の定価で売られている商品です。バックエンドは顧客と信頼関係ができているため、売りやすいという特長があります。

 

そのため、バックエンドは比較的容易に高額な商品を販売することもでき、利益に貢献します。

 

ダイレクト・レスポンス・マーケティングの3原則

 

ここからはダイレクト・レスポンス・マーケティングの核心部分を解説していきます。ダイレクト・レスポンス・マーケティングには必ず行わなければならない原則があります。それは以下の3つです。

 

・見込み客を集める
・見込み客を育成し信頼関係を築く
・見込み客に販売する

 

それぞれ詳しく解説していきます。

 

見込み客を集める

 

ダイレクト・レスポンス・マーケティングは、まず見込み客を集めることから始めます。見込み客は「リード」と呼ばれ、この見込み客を集める施策を「リードジェネレーション」と呼びます。

 

これは、見込み客リストをつくるという意味でリストマーケティングと呼ばれることもあります。

 

リードジェネレーションには2つの方法があります。有料でリードを集める方法と無料でリードを集める方法です。

 

有料でリードを集める方法

 

有料でリードを集める方法とは、広告を打つことです。媒体はさまざまですので、TVや新聞、雑誌、DM、チラシ、Webなどに広告を出します。そして、ここで行う広告は必ずレスポンス広告でなければなりません。

 

相手からレスポンスを得るために、資料やサンプル、景品などを提示し、それらと引き換えに見込み客情報を取得するのです。

 

広告は即効性がありますので、すぐにリードが集まるというメリットがあります。反対に、広告費がかかるのがデメリットです。

 

無料でリードを集める

 

無料でリードを集めるには、オウンドメディアを持つ必要があります。例えば、代表的なものでいえばブログやポータルサイトです。その他にもSNSを活用する方法もあります。

 

この方法はコンテンツマーケティングインバウンドマーケティングSEO(検索エンジン最適化)などと呼ばれますが、基本的にどれも同じ意味です。

 

インターネット上で文章や動画などの無料コンテンツを公開して、ネット検索によってオウンドメディアに訪問してもらう手法です。そこで、資料請求や無料レポート、無料特典などと引き換えに、見込み客情報を取得(メルマガに登録してもらうなど)します。

 

オウンドメディアを活用することは、広告費をかけずにリードを集められるというメリットがあります。反対に、オウンドメディアは簡単には育ちませんので、効果が出るまで時間がかかるというのがデメリットです。

 

このように、リードジェネレーションには有料で行う方法と無料で行う方法があります。それぞれにメリットとデメリットがありますので、上手く組み合わせながら行うと良いでしょう。

 

見込み客を育成し信頼関係を築く

 

リードジェネレーションの次は、見込み客を育成し、その結果として信頼関係を築く必要があります。この施策をリードナーチャリング(見込み客の育成)と呼びます。他にも、「リストを教育する」という人もいますが、同じ意味です。

 

なぜ、見込み客を育成し信頼関係を築かなければならないかというと、この後に商品を販売しなければならないからです。リードジェネレーションの段階では、まだ見込み客は「少し興味がある」という状態です。

 

そこで、ステップバイステップで商品の情報やベネフィットを見込み客に与えていくことで、「商品が欲しい」という状態になるまで育成していくのです。

 

そして、扱っている商品やその業界に関して、あなたの会社は専門家であるというように認識されれば、見込み客の信頼を得ることができます。この関係性ができれば、商品を売ることはとても簡単になるのです。

 

リードナーチャリングの方法

 

リードナーチャリングの方法としては、例えばメルマガやニュースレターなどを活用することが考えられます。Web上で見込み客を集める場合は、メルマガに登録してもらうという方法がよく用いられます。

 

メルマガに登録してもらえれば、ステップメールで段階を追って見込み客に情報(役に立つコンテンツ)を提供できるので、リードナーチャリングに向いています。提供するコンテンツに関しては、テキスト情報であったり、音声ファイルや動画であったりします。

 

商品のスペックなどではなく、見込み客の役に立つ情報やベネフィットを伝えることが重要です。

 

単純接触効果(ザイアンス効果)を利用する

 

単純接触効果とは米国の心理学者であるロバート・ザイアンスが提唱したもので、簡単に説明すると「人は接触する回数が多いほど好感を抱きやすくなる」という法則です。

 

リードナーチャリングでは、この単純接触効果を利用することで、見込み客と信頼関係を築きます。そのため接触回数を増やさなければならないので、一気に情報を与えず、コンテンツは小出しにしていきます。

 

例えば、7〜30日間など、ある程度の期間毎日メルマガを送るなどして、接触回数を増やすことが重要です。

 

リードジェネレーションとリードナーチャリングによって、ジェイ・エイブラハムの売上の方程式の一つ、「クライアント数」を増やすことができるのです。

 

見込み客に販売する

 

見込み客を育成し信頼関係を築けたら、いよいよ販売(セールス)を行います。すでに見込み客との信頼関係があるので、ワンステップで売る場合に比べて、格段に売りやすい状況になっています。

 

しかし、実際にお金を支払うということは、ハードルの高い行為であることに変わりはありません。そのため、見込み客に対して強烈で説得力のあるメッセージを送らなければならないのです。そのメッセージをつくるうえで、以下の2点を意識する必要があります。

 

・USP(ユニーク・セリング・プロポジション)
・オファー

 

USP(ユニーク・セリング・プロポジション)とは

 

USPとは競合に対する自社の位置づけを明確にするものです。そして、商品・サービスの一番の売りを端的に知らせる方法です。

 

USPの説明で最も多く用いられる例にドミノ・ピザがあります。ドミノ・ピザのUSPは「焼きたてアツアツのピザを30分以内にお届け。遅れたら代金はいただきません」というものでした。

 

このUSPによりドミノ・ピザは一気に大企業となりました。それだけUSPの威力は絶大であり、ビジネスに重要な要素なのです。これは言い換えると、「他の人からではなく、なぜあなたから買わなければならないのか?」とうい疑問に答えるものです。

 

あなたも、見込み客からこの質問をされた際に、明確に答えられなければなりません。そうでないと、見込み客は他社から類似品を購入することになるでしょう。しかし、この質問に説得力を持って答えることができれば、あなたのUSPは強烈な威力を発揮するはずです。

 

オファーとは

 

オファーとは、言葉としてはよく耳にするものですが、実際にその正確な意味を理解している人はとても少ないです。オファーとは、「売り手と買い手の取引条件」のことです。

 

例えば、テレビの通販番組ではよく以下のような光景を目にします。

 

「定価49,800円のところを今なら40%OFFの29,880円でご提供いたします。さらに、本日ご注文いただいた方に限り、200個限定でこちらの○○を無料でプレゼント!さらにさらに、12回の分割払いOK。分割手数料は弊社で負担いたします!」

 

この通販番組の例でいえば、上記の内容全てがオファーとなります。つまり、相手に提示する取引条件全てがオファーであり、このオファーが魅力的であればあるほど、成約率は高まるのです。

 

オンラインビジネスの場合は、よく「返金保証」というのを見かけます。これはリスク・リバーサルといって見込み客の不安を取り除く手法です。プライベートジムのライザップは「30日間全額返金保証」というリスク・リバーサルを取り入れて、事業を成長させました。

 

価格や特典、そしてリスク・リバーサルなどを上手く組み合わせられると、強烈なオファーをつくることができます。

 

セールスを行う際は、強烈なUSPとオファーをつくるために、十分な時間を割いて取り組むようにしましょう。

 

アップセルとクロスセル、バックエンドを販売する

 

ダイレクト・レスポンス・マーケティングでは、セールスは1回で終わりません。可能な限り何回でもセールスを行います。信頼関係を築けているクライアントに対して何回もセールスを行うことで、利益を最大化していくのです。

 

それでは、どのようにして複数回売り込みを行っていくのでしょうか。その方法は以下の3つです。

 

・アップセル
・クロスセル
・バックエンド

 

アップセルとは

 

アップセルとは、ある商品を購入しようと考えている人に、その商品の上位版をすすめて販売する手法です。

 

例えば、ハンバーガーショップを例に考えてみた場合、チーズバーガーを購入しよう考えているお客に、それよりも高額なダブルチーズバーガーをすすめるというものです。上位の商品を販売することにより、売上がアップします。

 

クロスセルとは

 

クロスセルとは、ある商品を購入する人に、その関連商品をすすめるという手法です。ハンバーガーショップの例でいえば、ハンバーガーを購入する人に「ポテトもご一緒にいかがでしょうか」とすすめるのがクロスセルです。

 

アップセルとクロスセルを活用することにより、ジェイ・エイブラハムの売上の方程式のうち「客単価」を上げることができます。

 

また、その後に何度もバックエンド(利益商品)を販売することにより、方程式の最後の要素である「取引回数」を増やすことができるのです。そのため、バックエンドは複数用意しておかなければなりません。

 

もしバックエンドで販売する自社商品がなければ、他社の商品を販売して、売上の一部を課金する方法(アフィリエイト)でバックエンドを用意することもできます。

 

DRMはマーケティングファネルの下に連れていく作業

 

ダイレクト・レスポンス・マーケティングの3原則は理解できたでしょうか。見込み客を集め、育成し信頼関係を築いてから、最後に販売をするという、実はとてもシンプルなものです。

 

なぜ、このような段階を踏んだマーケティング活動をするのかというと、見込み客をマーケティングファネルの下に連れていくためです。マーケティングファネルとは、広く集客した見込み客をふるいにかけ、段階を追って一番下の「ファン」の状態にまでもっていく作業を、ファネル(漏斗)に見立てたものです。

 

マーケテイングファネル

 

最初は「見込み客」から始まり、「顧客」「リピーター」そして「ファン」にまで育て上げていくことが目標です。「ファン」とは言い換えると信者のことです。

 

例えば、Appleファンの人はMacやiPhoneなどの新製品が出ると無条件で購入します。その製品が必要かどうかに関係なく、Apple製品というだけで店頭に並んでまで一番に購入しようとするのです。そのため、Apple信者とも呼ばれています。

 

これが「ファン」の状態であり、ファンになれば高額な商品であっても無条件で購入してくれるようになります。ダイレクト・レスポンス・マーケティングはマーケティングファネルを通して見込み客をファンの状態にまで連れていくことが目的です。

 

ダイレクト・レスポンス・マーケティングの本質を示す2つの指標

 

ここまででダイレクト・レスポンス・マーケティングの内容は理解できたかと思います。見込み客から直接反応を得ながら行うマーケティングで、3原則に従ってマーケティングファネルの下に連れていく施策ですね。

 

それでは、この施策を行ううえで最も意識すべきポイントはどこなのでしょうか。実は、ダイレクト・レスポンス・マーケティングの本質を示す指標が2つあります。それは以下の2つです。

 

・CPO(Cost Per Order)
・LTV(Life Time Value)

 

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

CPO(Cost Per Order)

 

CPO(Cost Per Order)とは、商品購入などコンバージョン1件あたりにかかった広告費のことです。つまり、新規のお客さんを1人獲得するのに、いくらコストがかかったのかという数字です。

 

例えば、1万円の広告費をかけて2件の新規購入があった場合は、CPOは5,000円です。計算式は以下のようになります。

 

10,000円(広告費)÷2件(受注)=5,000円(CPO)

 

CPOが下がれば下がるほど利益は大きくなります。なぜなら、より安い価格で新規のお客を獲得できるからです。

 

コンバージョン(CV)とは

 

また、この場合の新規購入をコンバージョン(CV)といいます。CVが高まればCPOは下がります。CVは主にフロントエンドの購入を指しますが、目的によっては資料請求、無料サンプルの申込みなどをCVに設定する場合もあります。

 

LTV(Life Time Value)

 

LTV(Life Time Value)は、日本語で「顧客生涯価値」といいます。1人のお客さんが一生涯にもたらしてくれる粗利益の平均額のことです。

 

ダイレクト・レスポンス・マーケティングを行ううえでは、一人のクライアントと取引するのは1回ではありません。バックエンドを何度も販売することで、利益を最大化します。そうすることで、1人のクライアントが生涯で使ってくれる総額がLTVです。

 

例えば、Aという携帯電話会社は平均して毎月5,000円の通信費がかかり、顧客は平均して3年間継続して契約しています。この場合のA社のLTVは18万円です。計算式は以下のようになります。

 

5,000円(平均購買単価)×12回(購買頻度)×3年(継続購買期間)=180,000円(LTV)

 

LTVが上がれば上がるほど利益は大きくなります。なぜなら、その分バックエンドが売れているということだからです。

 

そして、LTVよりCPOが安ければ商売が成り立ちます。例えば、一人のお客さんを獲得するのに2万円の費用がかかったとしても、そのお客さんが生涯に5万円の粗利益をもたらしてくれるなら儲けが出るのです。

 

しかし、ここで気になるのが継続購買期間だと思います。生涯といっても、10年経たないとCPOを超えないというのでは、商売は成り立ちません。実際の事業では資金繰りの関係で、早くキャッシュを生まなければならないからです。

 

そのため、企業によってその期間は異なると思いますが、3か月程度を実感値として持っておくとよいかと思います。もちろん、財務的な体力がある企業の場合は、6か月や1年でも構いません。

 

このように、CPOを下げ、LTVを上げれば収益を最大化できるのです。つまり、ダイレクト・レスポンス・マーケティングの本質は、CPOを下げることとLTVを上げることの2つだということがわかります。

 

CPOとLTVの2つの指標を意識してマーケティングに取り組むことが必要です。

 

経営者が日々チェックすべき3つの数字

 

CPOとLTVが重要だということは理解できたかと思います。しかし、経営者が日々チェックすべき数字はもう少しシンプルなもので問題ありません。具体的には以下の3つの数字を毎週計測するようにしておけば、施策が打ちやすいと思います。

 

・リード(見込み客数)
・CV(新規購入:新規クライアント数)
・LTV(一定期間内での平均粗利額)

 

リード(見込み客数)

 

リードは見込み客のことでしたね。見込み客の数を把握しておくことは大切です。見込み客が多ければ新規クライアントが増える可能性が高くなりますし、少なければ低くなります。

 

リードを定期的にチェックして、少なくなってきているという兆候があれば、リードジェネレーションのやり方を見直してみましょう。

 

CV(新規購入:新規クライアント数)

 

CVはフロントエンドの購入数(クライアント数)と考えるとわかりやすいと思います。つまり、何人が見込み客から顧客に転換しているかをチェックするということです。

 

CVが低くなっている兆候があれば、セールスの方法を見直したり、リードナーチャリングのやり方を変えてみたりする必要があるでしょう。

 

LTV(一定期間内での平均粗利額)

 

LTVは顧客生涯価値のことですが、期間を設定してその数字を把握しておくべきです。例えば3か月間の平均粗利額をチェックし、下がってきているようであれば、新たにバックエンドを作成したり、クロスセルを取り入れてみたりといった施策が必要です。

 

このようにリードとCV、LTVを日々チェックしていれば、打つべき施策が明確になります。ただ、全てを同時に行う必要はありません。日々チェックする中で、トレンドとして弱くなってきているところがあれば、優先して対策をするようにしましょう。

 

以上、ダイレクト・レスポンス・マーケティングに関して詳しく解説してきました。このマーケティング手法を正しく理解して、地道に行っていけば必ず成果が出ます。

 

特に中小企業や個人事業主には効果絶大です。ぜひ、できるところから少しずつ取り入れてみましょう。

 

まとめ

 

・ダイレクト・レスポンス・マーケティングとは、「マーケットから直接反応を得て、商品・サービスが自動的に売れていく仕組」である

 

・ダン・ケネディの3M(正しいマーケットに正しいメッセージを正しいメディアを通して届ける)が重要である

 

・ダイレクト・レスポンス・マーケティングのメリットは、「効果測定ができる」「接近戦ができる」「ジェイ・エイブラハムの売上の方程式に沿って施策を行える」の3つである

 

・ジェイ・エイブラハムの売上の方程式とは「クライアント数(何人)×客単価(何円)×取引回数(何回)=総収入」である

 

・ダイレクト・レスポンス・マーケティングには、「ワンステップマーケティング」「ツーステップマーケティング」の2通りの手法がある

 

・ダイレクト・レスポンス・マーケティングの3原則は、「見込み客を集める」「見込み客を育成し信頼関係を築く」「見込み客に販売する」である

 

・ダイレクト・レスポンス・マーケティングはマーケティングファネルの下に連れていく作業である

 

・ダイレクト・レスポンス・マーケティングの本質を示す指標は、「CPO(Cost Per Order)」「LTV(Life Time Value)」の2つである

 

・経営者が日々チェックすべき数字は、「リード(見込み客数)」「CV(新規購入:新規クライアント数)」「LTV(一定期間内での平均粗利額)」である

 

おすすめ教材

 

ダイレクトレ・レスポンス・マーケティングをもっと学びたければ、DRMの権威であるダン・ケネディの著書をおすすめします。

 

億万長者の不況に強いビジネス戦略(著者:ダン・ケネディ)

 

億万長者の不況に強いビジネス戦略

 

ぜひ、読んでみてください。


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