「事業コンセプト」の作成
今回は「事業コンセプト」の作成について説明していきます。
この文章を読むことで、「事業コンセプトとは」「事業コンセプトの作成方法」について学ぶことができます。
事業コンセプトとは
事業計画書を作成する上で、まずは「事業コンセプト」および「ビジョン」を作ります。
事業コンセプトとは、「事業の存在意義」であり、「この事業は何のために行い、どのようなものなのか」を一文で表したものです。
もう一つのビジョンは次回詳しく説明しますが、事業の目的地です。
よって、事業コンセプトはそのビジョン(事業の目的地)を「どのように達成するのか?」と言う枠組みのことを言います。
事業計画書では、まず「ビジョン」と「事業コンセプト」で全体像を伝え、その詳細を後に説明をしていくものです。
つまりは、事業コンセプトが決まっていなければ事業計画書もないですし、そもそも事業自体が成り立ちません。
もし、事業コンセプトが明確になっていないまま事業をしているのであれば、どの方向に進むのかも分からず、迷走してしまうことになります。
このように、事業コンセプトを明確にすることは大切です。
事業コンセプトの作成方法
では、事業コンセプトはどのように作っていくのでしょうか?
上記のように、事業コンセプトは「事業の存在意義」であり、「この事業は何のために行い、どのようなものなのか」を書いていきます。
つまり、この詳細を書いていくこと自体が「事業計画書を書くこと」です。事業計画書=事業コンセプトと言い換えてもよいほどです。
ですが、事業計画書=事業コンセプトというと話が大きくなり過ぎてわかりにくいので、ここでは事業コンセプトは、「事業計画書の内容を一文(キャッチコピー)にまとめる」という面で見ていきます。
この事業コンセプトを聞いただけで、「この事業は何をしていくのか」が分かることになります。
そのためには、まずは「この事業はどんな事業なのか?」を明確にします。
1.どの市場、どの業界なのか?
2.どんな製品、商品、サービスを提供するのか?
3.事業の強みは何か?
4.他社との差別化のポイントは何か?
5.それによってどんな存在意義が生まれるのか?
これらを明確にして、それをキャッチコピー(一文)にまとめます。
例えば、「自転車屋さん」だけでは、どんな存在意義でどんなことを提供する会社なのか具体的ではありません。
そこで、「〇〇市内に一つしかない、プロ仕様の自転車を提供する自転車屋」という事業コンセプトにすると分かりやすくなります。
このように事業コンセプトを明確にすることによって、従業員、顧客、取引先などにどのような事業なのかを明示することができるようになります。
それが、事業計画書の最初にキャッチコピーで書かれていれば、興味を持って詳細の内容を読むようになるのです。
<事例>
Gさんは長年、美容室に美容師として勤務してきました。
そして、今回自分の店舗を出すことに決めました。そこで事業計画書を作成することになりました。
しかし、いざ事業計画書を作成しようとしたところ、「単に新しい美容室をオープンします」だけでは売上が上がらないことに気がつきます。
それもそのはずです。新しく店舗を出そうと考えている地域には、たくさんの美容室がすでにあります。その中で、顧客から選ばれる美容室にならないと売上にはつながらないからです。
そこで、事業コンセプトが明確になっていないと顧客に伝わらないと考え、それを検討していきました。
Gさんは自分自身にも子供がおり、お子様連れのお客様でも気軽に来られる美容室にしようと考えました。キッズスペースを設け、「お子様も楽しめる美容室」というコンセプトにて美容室を開業したのです。
今までその地域にはないコンセプトのお店だったので、主婦の方を中心に人気店になっていきました。
<解説>
Gさんのように、コンセプトを考えることによって他社との差別化できるようになります。
裏を返せば、コンセプトがないまま事業を始めると失敗する可能性が高いのです。
また、Gさんは最初にコンセプトを決めたので、店舗を作る際にもキッズスペースを設けることができました。
このように、事業コンセプトを最初に明確にしておくとよいでしょう。
まとめ
・「事業コンセプト」とは、「事業の存在意義」であり「この事業は何のために行い、どのようなものなのか」を一文で表したものである。
・「事業コンセプト」の作成の流れ
まず、「この事業はどんな事業なのか?」を明確にする。
1.どの市場、どの業界なのか?
2.どんな製品、商品、サービスを提供するのか?
3.事業の強みは何か?
4.他社との差別化のポイントは何か?
5.それによってどんな存在意義が生まれるのか?
次に、それらをキャッチコピー(一文)にまとめる。
・コンセプトを考えることによって他社との差別化できるようになる。
裏を返せば、コンセプトがないまま事業を始めると失敗する
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