事業計画書作成の際の注意点
これまで事業計画書の作成の流れを見てきましたが、ここでは「事業計画書作成の際の注意点」を説明していきます。
主な内容は以下の3つです。
?事業計画書作成がゴールではない
?「想い」と「思い込み」
?撤退戦略も考えておく
?事業計画書作成がゴールではない
事業計画書を作成することは、かなりのボリュームがあり大変な作業です。
そこで注意が必要なのが、「素晴らしい事業計画書が完成して終わり」とならないようにすることです。
事業計画書は様々な目的に使われますが、本来の目的は事業を実行していくためのものです。よって、事業計画書だけ完成しても実行されなければ意味がありません。
そして、もし実行に移したとしても、「事業計画書の通りにやっていれば大丈夫だろう」というような受け身では事業を遂行できません。
事業計画を実行していく途中で困難にぶつかることがあります。
そのときに、「強い意志」を持って、時には「常識の枠を超えた発想」で、事業計画書以上の成果を出す積極的な姿勢が必要となります。
このように、事業計画書は「作成することがゴール」なのではなく、それを実行して「より良い成果を出していくためツール」なのです。
?「想い」と「思い込み」
事業計画書には経営者の「想い」を強く反映させます。
事業計画書を実行していく中で、「想い」はとても重要です。
しかし、この「想い」が強すぎて「思い込み」になってしまうと、事業計画書自体の質が下がることになります。
「こうしていきたい」「こうありたい」という想いが強すぎて理想を追い求めるあまり、実現性の低い事業計画書になってしまっては本末転倒です。
つまり、「想い」が強すぎると「思い込み」になってしまって、実行できない事業計画書や実行できても成果の上がらない事業計画書になってしまう恐れがあるのです。
この「想い」と「思い込み」は紙一重ですので、難しいところではあります。しかし、「想い」を持ちながら客観性も忘れないで、事業計画書を作成していくことが重要です。
?撤退戦略も考えておく
事業計画書自体は、将来に向けての成長性を記載していくものです。
事業が予定通り上手くいかなくても、次にどのような対策を立ててそれに対応していくかも重要となります。
しかしながら、それでも撤退しなければならない状況に陥る場合もあります。
そこで、撤退する基準を設けておくことで、ズルズルと引き延ばして赤字の幅を広げてしまい、必要以上に周りに迷惑をかけることのないようにしておきます。
いつのタイミングで、どのような撤退基準でという撤退戦略を考えておくとよいでしょう。
特に社内ベンチャーや別会社での新規事業の場合は、社内向けに撤退戦略を事業計画書の中に盛り込むこともあります。
<事例>
Dさんは起業をしようと考え、起業塾に加入して事業計画書を作成していきました。その起業塾では半年間のコースで事業計画書の作成の仕方を学びながら、実際に事業計画書を作成していくということを行いました。
市場調査や分析をしてビジネスモデルを考え、数値目標を設定するなど、かなり時間をかけて事業計画書を作成しました。Dさん自身も友人も、「素晴らしい事業計画書が出来た」と感動していました。
しかし、いざ事業を開始しようとすると、Dさんは戸惑ってしまったのです。
半年間、事業計画書を作ることが目的となり作業を行ってきたので、事業開始の段階になって「よし事業をやるぞ」という強い気持ちが薄れてしまっていたのです。
<解説>
上記のようなケースは多々あります。事業計画書はあくまで、「実行することが目的である」ということを忘れてはいけないのです。
事業計画を実行するためには、本人の強い意志や積極的な姿勢が重要となるのです。
まとめ
・事業計画書作成の際の注意点
?事業計画書作成がゴールではない
?「想い」と「思い込み」
?撤退戦略も考えておく
・事業計画書だけ作成しても、それが実行されなければ意味がない。実行できる事業計画書である必要がある。
・事業に対する「想い」が強すぎて「思い込み」になってしまうと、事業計画書自体の質が下がる。
・ズルズルと事業を引き延ばして赤字の幅を広げてしまい、必要以上に周りに迷惑をかけることのないように、撤退する基準を設けておく。
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