「事業ドメイン」の作成
今回は、事業ドメインの作成について説明していきます。
この文章を読むことで、事業をスムーズに行うための事業ドメインの作成について学ぶことができます。
事業ドメインの決定方法
事業計画書の中では、「どの事業ドメインで事業を行っていくか」を明確にします。
事業ドメインとは、「だれに、どこで、どうやって」事業を行っていくかを決めるものです。
事業ドメインが決まっていると、事業がスムーズに進むことになります。
逆に、事業ドメインがあいまいですと、競合他社との差がつかず、売上に結びつかなくなってしまいます。
例えば、〇〇駅前でホテルを経営しているとします。
この時に、「〇〇駅前のホテル業」を事業ドメインとしてもよいのですが、これですと「高級ホテル」「安いビジネスホテル」「カプセルホテル」「老舗の旅館」がすべて競合他社になってしまいます。
こうなると、様々なドメインの属するホテルに対抗する必要が出てきます。
これでは、どんなホテルを目指していけばよいのかが分からなくなり、お客様から見ても「良さ」が伝わらなくなってしまいます。
よって、「どの事業ドメインで事業を行っていくか?」を明確にすべきなのです。
つまり、「どんなお客様を対象にしていくか?」を絞っていくことになります。
ここで、さらに注意が必要です。
それは、「事業ドメインを一度決めると簡単には変更できない」ということです。
「あまりに絞り過ぎて、対象顧客が少なすぎた」とか「ビジョンやコンセプトと事業ドメインとの整合性を考えなかったので、事業ドメインの選択を間違えた」ということのないようにしていきます。
<事例>
Iさんはある駅前でパン屋をしています。その地域では、今までパン屋さんがIさんのお店しかなかったので、それほど事業ドメインなどは気にせずやってきました。
しかし、ここ数年で近くに「フランスで修業したシェフが作る高級なパン屋さん」ができ、近所のコンビニでも出来立てで安いパンを提供するようになりました。
このままだと、高級なパン屋に対抗するために高いパンを売り出してみても売れず、コンビニに対抗して安いパンを売っても利益にならずと苦しむことになります。
そのため、Iさんは事業ドメインを絞り込む必要がでてきました。
「他社のお客様は誰で、自社のお客様は誰だろう」と調査していくと、高級パン屋さんは一部の富裕層が買っており、コンビニのパンは忙しいサラリーマンや学生向けだと分かります。
そして、自社のパンは主婦の方がご家族と一緒に楽しんでいることが分かりました。
そこで、自店の事業ドメインを「地元に密着した一般家庭向けのパン屋さん」と位置づけ、その事業ドメインに合ったお店の雰囲気、パンの品ぞろえにしていくことにしました。
これにより、他社との差別化が明確になり、お客様も安心して購入されるお店になっていきました。
<解説>
Iさんのように、事業ドメインが広いと競合他社に振り回されてしまいます。
事業ドメインを明確化する(絞る)ことにより、自社にとってもお客様にとっても迷いがなくなるようになります。
まとめ
・事業計画書の中ではどの「事業ドメイン」で事業を行っていくかという点を明確にすべきである。
・「事業ドメイン」が決まっていると事業がスムーズに進むが、「事業ドメイン」があいまいだと競合他社との差がつかず、売上に結びつかなくなる。
・事業ドメインをいったん決めたら簡単には変更できないので、しっかりと調査をする。
・事業ドメインを決めるためには以下のことを行う。
1.「だれに、どこで、どうやって」を決める
2.1を決めるために自社や周りの会社の状況を調査する
3.ビジョンや事業コンセプトとの整合性があるかを判断する
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