「ビジョン」の作成
今回はビジョンの作成について説明していきます。
この文章を読むことで、「ビジョンとは」「ビジョンの作成方法」について学ぶことができます。
ビジョンとは
前回説明したように、事業計画書を作成する上で、まずは「事業コンセプト」および「ビジョン」を作ります。
「ビジョン」とは、「事業の最終目的地(ゴール)」であり、「事業のあるべき姿」です。
事業コンセプトが「事業は何のために行い、どのようなものなのか」を一文で表したものであれば、ビジョンは「その事業コンセプトのゴール」です。
よって、ビジョンがなければどの方向に進んでよいか分からず、事業運営が迷走してしまいます。
なので、ビジョンを明確にすることは、ゴールを決めるということだけでなく、方向性まで決めることにもなるのです。
ビジョンの作成方法
では、「ビジョン」はどのように作っていくのでしょうか?
1.あるべき姿を想像する
2.それを具体的に言葉にしてみる
3.数値にできるのであれば数値にしてみる
それぞれ見ていきます。
1.あるべき姿を想像する
「ビジョンは最終目的地である」といったように、その事業のゴールを想像してみます。
そして、そのゴールと事業コンセプトには整合性がなければいけません。なぜでしょう?
事業コンセプトは事業の枠組みですので、それを実行した先にゴール(ビジョン)があります。
よって、事業コンセプトとビジョンに全くつながりがないということは、どちらかがズレているということです。
こう考えると、事業コンセプトだけで成り立たないですし、ビジョンだけでも成り立たないということが分かると思います。
両者をしっかり踏まえてイメージする必要があります。
2.それを具体的に言葉にしてみる
あるべき姿を想像しただけですと、まだ頭の中のイメージであり人に伝えることができません。
ビジョンも事業コンセプトと同様に、経営者のビジョンを従業員や社外の人に伝える必要があります。
そのため、思い描いているビジョンを言葉にしてまとめてみる必要があります。
ビジョンに共感することによって、従業員のモチベーションが上がったり、取引先が取引を開始してくれたりするのです。
3.数値にできるのであれば数値にしてみる
上記で示したように、ビジョンは最終ゴールですので、できるだけ具体的に示した方がよいです。
そのときに、言葉だけでなく数値化するとより具体的になります。
なので、数値にできるのであれば、どんどん数値にしていきましょう。
ここで注意が必要なのは、ビジョンを数値で表した場合、「事業計画書の後半の数値計画との整合性が必要だ」という点です。
これを忘れると、ビジョンと後半の数値計画のどちらを信じてよいのか分からない状態なり、それを読んだ人からの信頼を失うことにもなりかねません。
なお、ビジョンで数値目標が決定できれば、それを計画に落とし込んで進捗管理もでき、組織としての目標が明確になります。
<事例>
Hさんは店を開業しようと決心しました。飲食店をすることは決めたのですが、それ以外は何も決まっていません。そこで、様々なお店に足を運んで情報収集をしていきました。
Hさんの住んでいる〇〇市は東京からかなり離れている地方都市です。古くからの居酒屋さんはあるものの、お酒を出すおしゃれなお店が少ないことに気づきました。
そして、Hさんは自分自身がワイン通であることも思い出したのです。
それらを踏まえて、事業計画書の中で「事業コンセプト」と「ビジョン」を考えていきました。
Hさんは、「〇〇市でも世界中の流行りのワインが気軽に飲めるワインバル」というコンセプトにしました。
そして、ビジョンは「3年で〇〇市内で一番のワインバル、年商5千万円を達成する」というものにしたのです。
こうしてコンセプトとビジョンがきまり、枠組みと方向性が決まったのでそれに向けて動き出したのでした。
<解説>
Hさんのようになんとなくやりたいことが決まっていても、その枠組みやゴールを明確にしていないことがあります。それでは何を始めてよいのかも分かりません。
よって、コンセプトとビジョンを明確にすることによってどこを目指していけば良いのかが分かり、そのための第一歩も進めることができようになるのです。
まとめ
・事業計画書を作成する際には、まず「事業コンセプト」と「ビジョン」を作る。
・「ビジョン」とは、「事業の最終目的地(ゴール)」であり「事業のあるべき姿」である。
・「事業コンセプト」が「事業は何のために行い、どのようなものなのか」を一文で表したものであれば、「ビジョン」はその事業コンセプトのゴールを一文で表したものである。
・「ビジョン」の作り方
1.あるべき姿を想像する
2.それを具体的に言葉にしてみる
3.数値にできるのであれば数値にしてみる
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