「市場規模」の作成
今回は市場規模の作成について説明していきます。
この文章を読むことで、「市場規模が必要な理由」「市場規模によって理解できること」について学ぶことができます。
市場規模を把握するために
事業計画書において、「市場規模」を作成することは必要です。
それは、自社が対象としている市場の規模が分かれば、自社がどのくらいの市場占有率になるかで売上予想をすることができるからです。
例えば、市場規模が1,000億円で、市場占有率が0.1%であれば、売上は1億円となります。
その時に、市場規模が将来に渡って拡大していく予想であれば、市場占有率が同じでも売上は伸びていくと予想されます。
もし、市場占有率が0.1%で変化がなくても、市場規模が1,000億円から2倍の2,000億円になれば、売上は2億円となります。
逆に、市場占有率に変化がなくても、市場規模が縮小すれば売上が減少してしまうともいえます。
つまり、「自社の対象としている市場はどこか?」「その市場規模がどのくらいか?」、そして「その市場規模が拡大傾向なのか?縮小傾向なのか?」を把握することで、自社の売上の状況も予測がつくのです。
よって、事業計画書において、売上の将来予測の信頼度を高めるためにも、市場規模を把握することは必要となります。
しかし、市場規模の把握は意外に難しいです。それは、自社が対象としている市場において、正しい市場の統計があるとは限らないからです。
費用をかければ独自調査をすることはできるかもしれませんが、市場規模だけに多くの費用をかけるわけにはいきません。
そこで、国や地方自治体の調査したものや、シンクタンク(調査機関)が調査したものを使うことになります。
国などの公共団体が調査したものが一番信用度は高いですが、なかなかちょうど合うものが見つかりにくかったり、将来性の分析があまりされていなかったりすることがあります。
逆に、シンクタンクの方は詳細に市場を分けて調査していたり、市場の将来性も分析していたりしますが、費用が高くなる傾向にあります。
よって、市場規模を調べるためには、上記の方法やインターネットなどを含めて様々な資料に当たることが大切です。
そして、最終的には、正しい統計がない限り、それらの資料から市場規模を類推していくことになります。
<事例>
Kさんは経理担当者ですが、社長より事業計画書を作成するように指示されました。それは、銀行借入のための事業計画書です。
よって、事業計画書の中の売上や利益の伸びをなるべく信頼性の高い数字にしていく必要性に迫られています。
Kさんは日常の経理処理は得意ですが、事業計画書を作成したことはないので、まずは市場規模を把握することで売上などの数字を計画していきました。
Kさんの会社は玩具に使われる部品を製造しています。よって、市場規模といってもそのままずばりの数字の統計はありません。
そのため、「現状の子供の人数と今後の子供の人数の推移予想」の統計は、国の白書を見て把握できます。
そして、「玩具業界自体の市場規模」は、シンクタンクの資料の方がより詳しいのでそれを取り寄せました。
しかし、「Kさんの会社が対象としている玩具自体の市場規模」は具体的な数値はありません。
よって、市場調査の結果や競合他社の状況などから推定していきました。
こうして様々な角度から調査し、事業計画書の中で市場規模を記載し、売上や利益を予想していったので、信頼度の高い事業計画書となったのです。
<解説>
Kさんの会社のように、そのままずばりの市場規模の資料がない場合、様々な角度から資料を収集し、最後には類推していきます。
この場合の信頼度の度合いは、どこまで真剣に取り組むかによって変わります。
よって、「資料がなかったので適当に類推した」というものでは信頼性が低くなってしまいます。
事業計画書の信頼度を上げるためにも、市場規模の作成にはしっかりと取り組んでください。
まとめ
・以下の内容を把握することで自社の売上の予想がつく
「自社の対象としている市場はどこか?」
「その市場規模がどのくらいか?」
「その市場規模が拡大傾向なのか?減少傾向なのか?」
・事業計画書の中で売上の将来予測の信頼度を高めるために、市場規模の把握は必要
・そのままずばりの統計資料がない限り、様々な資料から市場規模を類推していく
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