「売上計画」の作成
今回は売上計画の作成について説明していきます。
この文章を読むことで、「売上を伸ばすために考えるべき要素」について学ぶことができます。
売上計画作成の具体例
事業計画書の中では数値計画が重要です。
特に、売上に関する計画(=売上計画)は重要性が高いです。
なぜなら、最終的には利益を出すことが目的ですが、利益の一番の元になっているのは売上だからです。いくら経費削減や原価低減をしても、売上がなければ利益が出ることはありません。
では、売上計画はどのように作成していくのでしょうか。
業種によって様々な計算がされると思いますが、ここでは基本的な考え方を見ていきましょう。
売上を分解すると、「売上=商品単価×購入数量×購入頻度」となります。
例えば、1万円の商品1,000個を月に2回購入する取引先があるとします。
この時、月の売上を計算すると「1万円×1,000個×2回=2,000万円」となります。
事業計画書の中で売上を伸ばしていくことを考えれば、これらのうちのいずれか、または全部を伸ばしていくことになります。
例えば、パソコンメーカーであれば「機能を充実させた新製品を開発し、単価を上げる」、パン屋であれば「朝食用のパンを購入する人におやつ用パンを促すことによって、購入数量を増やす」、ラーメン屋であれば「今まで月1回しか来ない顧客に対して特典カードを発行することで、月2回に来店頻度を増やす」などです。
このように考えると、自社がどのような業態かを考える必要があります。
自社の業態から分析すると、以下のように分けて考えることもできます。
?営業を仕掛けてこちらからPRする
?店舗で顧客が来るのを待っている
?それらの複合系である
営業を仕掛けてPRする?の場合、例えばBtoBビジネスだとすると、対企業に対して営業を行うことが多いと思います。
そのとき、どの企業に対してどのような対策を行うかということまで考えます。
新規営業であれば、どのような企業を対象にするのか、その市場規模はどのくらいかなど具体的に調べていきます。
既存の取引先があるのであれば、「売り上げシェア上位2割の取引先に対してどんな対策を打つのか」「下位の企業に対してはどのように対応するのか」などを具体的にしていきます。
そうすることによって、売上計画の精度が高まります。
次の店舗型?の場合、来店を増やしたり、購入数を増やしたりすることを考えるのと同時に、効率化を考えます。
例えば、10席しかない飲食店では同時に入れる顧客数は限られます。そのため、顧客の回転率を考えなければなりません。
旅館などでは、週末の稼働率が100%であれば、週末の売上はこれ以上伸びないということになりますが、平日の稼働率を上げることによって、売上全体の底上げを図っていきます。
よって、基本は「売上=商品単価×購入数量×購入頻度」ですが、各業種、各企業によってさらに細かく分析し、売上の計画を立てていくことなるのです。
<事例>
Sさんは美容院を経営しています。店舗を改装するために銀行から融資を受けようとしています。
そこで、事業計画書を初めて作成し、その中で「売上計画をどのように作成しようか」と考えています。なぜなら、ここ数年の売上が横ばいだからです。
そのため、まずは店舗を改装して「単価アップ」を図り、売上を伸ばす計画を立ててみました。
しかし、周りには競合店も多く、店舗が新しくなったからといって「価格を上げてしまっては顧客が離れてしまう」と考えました。
次に、過去の分析をみてみると、広告のクーポンを使い1度来店した顧客は、2回目以降の来店が少ないことに気がつきました。
そこで、それらの顧客に対してダイレクトメールを送付してみたのです。
すると、約1割の人がリピートしてくれるようになりました。つまり、ダイレクトメールを活用することによって来店頻度を上げることに成功したのです。
この結果に基づき、今後の売上の伸びを予想して売上計画を作成していきました。
<解説>
Sさんは当初、「単価アップ」による売上上昇を思いつきましたが、自分なりに分析し、現実的ではないと考えて別の方法を模索しました。
このように、売上計画の精度を高めるためにも、様々な視点から「本当にそれが実現できるのか」を考え、実際に出来る範囲で小さくテストを行っておくと良いでしょう。
まとめ
・事業計画書の中では数値計画が重要である。特に、売上に関する計画(=売上計画)は重要性が高い。
・売上を分解すると、「売上=商品単価×購入数量×購入頻度」となる。
・事業計画書の中で売上計画を作成する場合は、売上のどの要素を伸ばすかを考える必要がある。
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