事業計画書とは
今回は事業計画書について説明していきます。
この文章を読むことで、「事業計画書の内容や目的」について学ぶことができます。
事業計画書とは
事業計画書とは、「自社が行う事業の計画(ビジネスプラン)を書類にしたもの」です。
よって、この事業計画書を読めば…
「会社の概要や経営者の考え方はどのようなものか?」
「この会社の事業はどのようなものなのか?」
「その事業をどのような計画で進めて行くのか?」
「この事業は儲かるのか?儲からないのか?」
「その事業の実現性はあるのか?」
などが分かるように作成されます。
計画書と言っているので未来の計画であり、既存事業だけでなく、これから始める事業を対象として含まれます。
逆に、既存事業をどのように成長させていくか、これから始める事業をどのように実行できるか、を示すために過去と現在の企業の状況も分析することになります。
つまり、事業計画書には企業の「過去」「現在」「未来」が書かれていることになります。
このように考えると、事業計画書には企業のすべてが詰まっていることにもなるのです。
事業計画書の目的
では、この「過去」「現在」「未来」と言う企業のすべてが詰まった事業計画書は、どんな目的で作成されるのでしょうか?
様々な目的がありますが、大きく3つの目的があります。
1.経営者、経営幹部が経営をしていくためのツール
2.社員が仕事をしていく上での方針・指針を示すためのツール
3.取引先・銀行などの社外への説明ツール
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.経営者(経営幹部含む)が経営をしていくためのツール
経営者(経営幹部含む)が経営をしていく上で、計画があった方がより良い経営をすることが出来ます。
起業の段階では、自分自身の考えをまとめたり、自分のアイデアに事業性があるかどうかを徹底的に検証したりする資料になります。
また、実際に経営をスタートさせてからでも、事業年度ごとに計画を立て、その計画通りに経営が進んでいるかどうかチェックする役割もあります。
これらを経営者自身の頭の中だけで行う場合もありますが、書類にして明確化しておいた方がスムーズに経営を進められることになります。
経営は自分一人だけで成り立つわけではないので、文書化しておくと、以下のようにその他の目的にも使えるようになります。
2.社員が仕事をしていく上での方針・指針を示すためのツール
起業したばかりの頃は、経営者しかいないので、事業計画書も経営者自身のためのものですが、社員が段々増えていくとその事業計画書を社員に伝える必要が出てきます。
社員数が少ないうちは、書類・文書化しなくても経営者自身の言葉で伝えることが出来る場合もありますが、徐々に社員数が増えたり、拠点が増えたりしていく中で、経営者の考え(方針・指針など)が伝わりにくくなります。
そのときに、事業計画書を活用して経営者の考えを伝えることで、社員が仕事をしていく上での方針・指針にすることができるようになるのです。
3.取引先・銀行などの社外への説明ツール
経営は社内だけで完結するものではありません。取引先があったり、資金調達のために銀行との取引があったりします。
また、補助金など申請や許認可を得るために公共機関への提出が求められこともあります。
そのような社外の関係者に対して自社の事業を説明(プレゼン)するための資料としても事業計画書が活用できます。
特に、資金調達ができるかどうかで事業の成長スピードは変わりますので、金融機関に対しての説明資料としては重要なものとなります。
資金調達でいえば銀行だけでなく、投資家からの資金調達の際にも事業計画書が必要となります。
その時に、「机上の空論」のような事業計画書では資金調達は難しくなります。
よって、自社の状況をPRしながらも、「机上の空論」とならないしっかりとした事業計画書作成が求められることになります。
以上のように、大きく分けて3つの目的があります。
事業計画書の内容
では、どのような事業計画書を書けばよいのでしょうか?
事業計画書は、財務諸表のように「法律でこのように書きなさい」という決まりはありません。自由形式になります。
しかし、「経営者自身のため」「社員のため」「社外への説明のため」などを考えていくと、それらに必要な事項をまとめていけば事業計画書を作成できます。
また、事業計画書とよく混同されがちなのが「企画書」です。
企画書は、ある一つの企画(アイデア)を提案書としてまとめたもので、事業計画書は事業全体のプランニングです。
つまり、「一つ企画」と「事業全体」という範疇の違いがあります。
もちろん、起業時は一つのアイデアで事業を始めるので、企画書と事業計画書との差はあまりないかもしれません。
しかし、企業が成長していき事業を進めていく中では、企画書と事業計画書の範疇の違いを把握せず混同していると、上記の事業計画書の3つの目的は達成できません。
このように目的や範疇を考えながら事業計画書を作成していくと、より良い事業計画書となっていくことになります。
<事例>
Aさんは、社員数50名の会社を経営しています。
事業計画書は、起業する時に金融機関(日本政策金融公庫)から借入をするために作成しましたが、それ以降は作成していません。
しかし、設立から10年経ち、さらに事業拡大のために銀行からの資金調達を考えています。
そこで、資金調達のために銀行へ提出するための事業計画書を作成することにしました。
事業計画書を起業時以降はまともに作成したことがないので、税理士さんと経営コンサルタントに意見を聞きながら作成していきます。
その際に、資金調達のためだけでなく、「経営の進捗状況をチェックすることができるようにするため」や「社員へ会社の方針を伝えるため」にも活用してみては?と言う意見も出ました。
それは、社員数が数名の時には社長の指示で皆が動き、結果も把握していたため社長と社員も意思疎通が取れていましたが、50名にもなると社長と社員との会話も少なくなり、会社の方針(社長の考え)が社員に伝わりにくくなっていたからです。
よって、銀行へ提出する資料としてだけでなく、「経営の進捗度チェックのための計画」であり、「社員の前でプレゼン(事業計画発表会)を出来るような資料」として作成していったのです。
3つの目的があるので、単なる「机上の空論」にならないように、また社員にも伝わりやすいよう言葉にも気をつけて、数字を使って進捗のチェックがしやすいようにと、様々な面から検討して事業計画書を作成していきました。
こうすることによって、経営者であるAさんの頭の中もまとまり、社員も方針を理解し、さらに資金調達にも成功し、さらなる成長のキッカケとすることができたのでした。
まとめ
・事業計画書とは、「自社が行う事業」の「計画(ビジネスプラン)」を「書類」にしたものであり、企業の「過去」「現在」「未来」すべてが詰まっているもの。
・事業計画書を読めば、以下のことがわかる。
「会社の概要や経営者の考え方はどのようなものか?」
「この会社の事業はどのようなものなのか?」
「その事業をどのような計画で進めて行くのか?」
「この事業は儲かるのか?儲からないのか?」
「そもそもその事業の実現性はあるのか?」
・事業計画書の目的は大きく3つある。
1.経営者、経営幹部が経営をしていくためのツール
2.社員が仕事をしていく上での方針・指針を示すためのツール
3.取引先・銀行などの社外への説明ツール
これら3つの目的を考えながら作成していくと、より良い事業計画書となる。
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