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意思決定の方法を学ぶ その2

?何が正しいかを考える
意思決定においては何が正しいかを考えなければなりません。
これは誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてはならないということです。

 

いずれは妥協が必要な場面が訪れるので、満たすべき必要条件を満足させる上で何が正しいかを知らなければ、正しい妥協と間違った妥協を見分けることができなくなってしまいます。

 

経営学の世界的権威であるP.F.ドラッカー曰く、妥協には二種類あります。

 

一つは「半切れのパンでも、ないよりはまし」という諺に表されるような半分は必要条件を満たすものです。

 

半切れのパンであろうが、それは実際に食べられる食用のパンであることに変わりはありません。

 

もう一つはソロモン王の裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」という認識に基づく、必要条件を全く満たさないものです。

 

半分の赤ん坊は命あるものではなく、二つに分けられた赤ん坊の死骸です。

 

妥協をする場合にはこの二つを見極めなければなりません。
しかし、最初から何が正しいかを知らなければ正しい妥協もできません。

 

「一番上席の上司が言っているから」や「この場の雰囲気ではこの意見が受け入れられそう」など、そういったことを考えるのは時間の無駄であり無益です。

 

?行動を決定のプロセスに組み込む
組織内の決定事項では行動への取り組みがその中に組み込まれていないことが多々あります。
決定において最も時間のかかる部分は、成果を上げるべく決定を行動に移す段階です。

 

決定は行動に移されなければ意味がありません。
したがって、決定は最初の段階から行動への取り組みをその中に組み込んでおかなければ成果を上げることは難しいのです。

 

決定の実行が具体的な手順として誰か特定の人の仕事と責任になるまでは、いかなる意思決定も行われていないものと考えなければなりません。

 

長い時間会議をして、ある仕事の方針は決まったが、誰の担当にするかは後ほど決めようと言ったまま、結局その決定が実行されないということがあります。

 

社長が年始の挨拶で新たな経営方針を打ち出し皆の前で発表したとしても、その担当者を明示しなかったがために、今年も結局去年と何も変わらないということがあります。

 

決定というものは、その場で誰の責任においてどういう手順で実行されるかまで決めなければ、結局は形骸化し意味のないものとなってしまいます。

 

また、決定を行動に移すには以下の4点を問う必要があります。

 

1、誰がこの意思決定を知らなければならないか
2、どのような行動が必要か
3、誰が行動をとるか
4、その行動はいかなるものであるべきか

 

特に1と4が忘れられることがよくあるので注意しなければなりません。
例えばこんな例があります。

 

あるメーカーが一つの製品について生産の中止を決定しました。

 

しかし、このメーカーの購買部の担当者は、元々売上に応じて一定の割合で部品を購入するよう指示されていたので、生産の中止を知らず大量に部品を購入してしまいました。

 

倉庫には、既に不要となった部品が大量に残されたため大きな損失となってしまいました。
これは上記の1の問いがなされなかった為に起こった典型的な失敗例です。

 

また意思決定を実施に移すための行動は、その行動をとるべき人たちの能力に合ったものでなければなりません。

 

自分たちには当たり前のようにできると考えていたものでも、実際に行動する人たちにとってあまりに難しいものであっては実行されないからです。

 

また決定を実行に移し成果を上げるには、評価の基準や仕事の水準、動機などを、現状からその決定に見合ったものへ変更しなければなりません。

 

例えば、近年ビジネスのグローバル化にともない、社内公用語を英語にしようという企業が出てきております。

 

しかし、そういった企業内において英語力に対する評価基準が明確にされていなければ、いくら英語を公用語にしようといってもなかなか浸透していくことは難しいでしょう。

 

また、社内の有力なポストに英語が喋れない人間がついてしまったら、他の社員たちに経営者はこの方針に真剣ではないのだと思われてしまいます。

 

以上のようなことを初めから全て念頭において意思決定を行うのはなかなか難しいと思われるかもしれません。

 

しかし少なくとも決定の実施に必要な行動が何であり、命ずべき仕事が何であり、その実施にあたらせる人は誰がいるのかを考えることはできるはずです。

 

 

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