トップマネジメントの役割
マネジメントの中でも社長を中心とする経営幹部などのトップマネジメントには他とは違った固有の役割があります。
トップマネジメントの役割としての性質は少なくとも4つあり、それはつまり、考える人であり行動する人、人間的な人、表に立つ人です。
そしてトップマネジメントの役割は多元的であり、大きく以下の6つの役割があります。
?事業の目的を考える役割
?基準を設定する役割
?組織を作り上げ、それを維持する役割
?渉外の役割
?儀礼的な役割
?重大な危機に自ら取り組む役割
?事業の目的を考える役割
トップマネジメントは「我々の事業は何か、何であるべきか」を考える、つまり組織の事業を定義する役割があります。
これを行わなければ目標の設定、戦略計画の作成、明日のための意思決定を行うことはできません。
?基準を設定する役割
これは組織全体の規範を定める役割です。
主たる活動分野において、ビジョンと価値基準を定めなければなりません。
?組織を作り上げ、それを維持する役割
明日のための人材、明日のためのトップマネジメントを育成し、健全たる組織の精神を作り上げなければなりません。
また組織構造を設計する役割も担います。
?渉外の役割
顧客や取引先、金融機関、労働組合、政府機関などとの渉外はトップの座にある者として行う必要があります。
トップマネジメントでなければ行えない交渉や情報のやりとりというのは必ず存在します。
そういった関係者との渉外にあたるのも重要な役割です。
?儀礼的な役割
行事や夕食会への出席など事業とは直接関係のない儀礼的な役割は以外と多いものです。
しかしこれはときに逃れようがなく時間のかかる仕事となります。
?重大な危機に自ら取り組む役割
著しく悪化した問題などはトップが自ら出動しなければなりません。
これは責任の問題でもありますし、放棄することは許されません。
有事には最も経験があり、最も賢明で傑出した人間がことにあたる必要があります。
また逆にそういった人間がトップマネジメントに任命されなければなりません。
またトップマネジメントは一人で行うものではありません。
トップマネジメントに要求されるものを一人で担うことは不可能です。
一人では仕事の量が多すぎますし、一人の人間の持つ資質はそれほど多くはありません。
したがって、トップマネジメントとはチームによって行われるべき仕事なのです。
そしてトップマネジメントにはチームワークが必要になりますが、チームとして機能するには以下の6つの条件を満たさなければなりません。
?トップマネジメントのチームメンバーは、それぞれの担当分野において最終的な決定権を持たなければならない。
これは当然ですが他の人間に最終決定を委ねてはなりません。
?トップマネジメントのチームメンバーは、自らの担当分野以外の分野について意思決定を行ってはならない。
これは上記の?と表裏の関係ですが、越権行為を行ってはなりません。
それらの決定はすぐに担当のメンバーに回さなければなりません。
?トップマネジメントのチームメンバーは攻撃し合ってはならない。
これは仲良くしなければならいとか、尊敬し合わなければならないという意味ではありません。
しかし立場上、他の人間に影響力が強いが故に、会議の外などで批判をしたりけなしたりしてはなりません。
そういった行為は組織全体の士気を低下させます。
?トップマネジメントのチームにはリーダーが必要である。
トップマネジメントはチームであり、チームには必ずキャプテンが必要です。
多数決では解決し得ない課題があります。
最終決定に責任を持ち、チームの精神的な支柱となる存在が必要です。
組織全体が混乱した状態のときには明確な命令系統が必要不可欠だからです。
?トップマネジメントではチーム全体で意思決定する課題を決めておく必要がある。
チームメンバーがそれぞれで最終的な意思決定をしなければならない課題とチーム全体で意思決定しなければならない課題とがあります。
チーム全体に諮らなければならない課題とは、例えば事業の定義を決めることや巨額の資本投資の決定や主要な人事の決定などです。
?トップマネジメントは意思の疎通に注力しなければならない。
トップマネジメントのメンバーはそれぞれの担当分野において最大限の自立性を持って取り組まなければなりません。
しかし意思疎通がはかられていなければ、組織はバラバラになり混乱をきたします。
したがって、自立性は意思疎通があってはじめて許されるものなのです。
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